ガルガンティア城伯子息の喫茶店
ネスさんの経営するという貴族専用の喫茶店へ向かうことに。
少し歩くと見えてきた。
オルドリンという名の喫茶店が。
「凄いですね、カフェを経営されているなんて」
「俺の趣味でね。身分の高い者だけが利用できる特別なオープンカフェなんだ」
確かに外に机と椅子が並んでいた。ざっと見ても十席はあった。ほぼ満席で、利用者は爵位を持つような方達ばかり。優雅に紅茶やコーヒーを楽しんでいる様子だった。
「カフェは初めて利用します。ちょっと緊張しちゃいますね」
「大丈夫。俺がついているから」
手を引いてくれるネス。空いている席へ向かった。
直ぐにメイドが現れ、メニューが出てきた。へえ、たくさん種類があるのね。
帝国製高級ダージリン、アッサム、ヌワラエリア……。キリマンジェロ、レッドマウンテン、モカなどなど。
「迷っちゃいますね、おすすめは?」
「紅茶ならダージリン。コーヒーならモカかな。どちらも一般には流通していないし、ここでしか飲めないから、特別だよ」
「そうなのですね。では、ダージリンで」
メニューを決め、しばらく待つことに。
ここは、のどかで良い。
こんな素敵な場所で読書しながら、ゆっくりするのもアリかもしれない。
けれど、事態は直ぐに急変した。
「おや、アリシャさんじゃありませんか!」
「こんなところにアリシャ・クラインがいるとは」
「結婚してくれないか」
「これは大変お美しい……僕は心を奪われてしまった」
「前世で婚約しましたよね?」
油断している男性貴族が殺到していた。
えぇ……ウソでしょう。
これでは、ゆっくりもできない。
どうしようと悩んでいると、ネスが立ち上がってくれた。
「みなさま、ここは紳士的な振舞を」
すると、男性貴族たちは焦っていた。
「おい、あの方はエリオット・ネス様じゃないか」
「ガルガンティア城伯子息ネス家長男か……」
「このカフェのオーナーじゃん」
「ちぇ、これは勝ち目ねぇよ」
「いや、僕は諦めないね」
などなど様々な反応がありつつも、みんな退いていった。へえ、ネスさんはガルガンティア城伯の息子なんだ。ということは元老院議員の息子ということでもある。
「よかった、みなさん席へ戻ってくれた」
「ネスさんがオーナーであり、凄い人だからだと思います」
「いや、たいした者ではないよ。――そうだ、もしアリシャさんがよければ、今後も俺が求婚してくる貴族を排除しようか?」
「それは魅力的な提案ですね。ぜひ、お願いしたいです」
「任せてくれ」
直後、紅茶が届いた。
黄金色で、フルーティーな香りね。
さっそく味わってみると……うん、やわらかい渋みとほんのりとした苦味。これは確かに普通では味わえない高級感と気品を感じる。
「とても美味しいです」
「気に入ってもらえて良かった」
それからも談笑に話を咲かせていこうと思ったのだけれど。
また囲まれてしまった。
今度は女性貴族だ。
ま、またなの……!




