こんなところに梅がある⑪
❑沼
今、私は膝下半分近くまで沼に浸り、たたずんでいる。沼の近くを散策しているうちに足を滑らせてしまったのだ。
とにかくここから出なくては。
一歩、また一歩と、少しずつ足を進めていく。心に絶望を抱えたまま沼の淵に近寄ると、時としてこのような事が起こる。
❑読書
私は木陰で読書をしながら、いつのまにかうたた寝をしていた。
ふと、目を覚まして隣を見ると、見知らぬ犬が姿勢を正して座っている。
「何か御用?」
私が声をかけると犬はニッと笑って言った。
「余計なお世話だとは思うんだけど。
貴方が以前から読んでるその本、なかなか1頁より先に進まないね」
Twitter140文字小説⑪