怠
三題噺もどき―にひゃくごじゅうさん。
――――――――――は。
「……」
寝ていたな………?
休みだからと油断しきって寝ていたな…?
いや、自分のことだから責めるように言っても、自分が傷つくだけなのだが。
寝ていたなぁ。
「……」
視界が逆さなのだが、どういう事だろう。
身体の節々が少々どころじゃない痛みを訴えているのだが、何だろう。
特に、首あたりがいたいんだが……足も少々痛いな。
「――てっ…」
あぁ、はい。目が覚めた瞬間気が抜けた。
おかげで頭から落ちた。
思っていたより外側に体重がかかっていたみたいだ。
おちるかもしれないという本能で目が覚めたんだろう。
落ちてちゃいみないが。
「……」
あー首痛い…。
頭よりも首がものすごく痛い。
脱力状態の頭がぶら下がっていたらそりゃ重いのか……。
でも、頭に力入れるって言わないよな……ん?何を言っているんだ?よくわからん。
「……」
とりあえずあれだ。
全身を床に下ろそう。
現在の状況?
ソファの上に寝転がっていたら、いつのまにか寝おちて。頭だけが床側に落ちそうになっていて、目が覚めて。落ちて、体をズルズルと、床に下ろしている。「イマココ←」って感じ。
肩から順に、胸と腰と太ももまで下ろして、止まる。
足上げている姿勢って案外楽でいいよな。
「……」
さて、今は一体何時なのだろう。
知りたくもないが、本日これからの予定を立てるために確認しなくてはいけない。
カーテンのひかれた窓から見える空は、どこまでも青く晴れ渡っている。外はきっと暖かいのだろう。今朝のニュースで花見日和だと、キャスターが言っていた。
平日ですけれどねぇ。
「……」
視線の先を、外から自分の手元へと移す。
これだけは離すまいと、しかと握っていたスマートホンがそこにはある。
寝落ちすると大抵落としているのだけど、今日は離さなくて済んだらしい。
…依存しているみたいでやだな。
「……」
電源はしっかりと切っているあたりが、何とも自分らしいが。
―と、ここで勝手に切れたと思わないあたりも自分らしい。
「……」
寝落ち前の記憶が正しければ、まだ午前中のはずだ。
きっと、30分かそこら、少し落ちただけだろう。
「……」
んん。
さすがに寝落ちが、すぎる。
普通に睡眠時間のレベルで寝ている。
ショートスリーパーの人とか、このぐらいの時間で睡眠しているんだろう?それはそれですごいが、なんだか疲れそうだ。
スマホの中に示されたデジタル時計の数字が、すでに午後を示すものが並んでいる。
4桁も数字が並んでいるぅ。
「……」
再度電源を切り、ぱたりと、見なかったことにする。
できるだけ遠くに置く。
今一瞬携帯の画面を見ただけで、気分が悪くなりかけたので。
……そういう事にさせて欲しい。
「……」
しかしなぁ。このままというのも、なんだかもったいない気がする。
休みとはいえ、時間は無限ではないし。
「……」
かといって、何をする気にもならん。
むしろもう1回、寝たいとすら思いだした。
「……」
ぼぅと、天井を見つめる。
何もない。
そこには白い壁が広がるだけだ。
埋め込まれた照明が並んではいるが。
なんだかあの並びだと、目があるみたいできもいな……。
だから何だって感じだが。
「……」
そのまま視線を下に向けていくと、壁がある。家である以上当たり前か。
実はそこに、1枚の絵を飾っている。
なんかちょっとおしゃれにしたいなとか思っていた、過去のあほな自分の遺産だ。
「……」
今見ればおしゃれでも何でもない。
ただの辺鄙な白地図だ。
なんでこれ貼ったんだろうな。ま、なんというか、虚無感というか。何もないシンプルな感じがはまったのかもな。
まっさらな白の紙の上に、黒の線で輪郭が描かれただけの地図。
文字はない。色もない。
黒の細い線で、ただこの世界の陸地の輪郭を描いただけのモノ。
「……」
外せばいんだけどな。
外すのすら面倒なのだ。
が、そろそろ変えたいよな。
見飽きたわけではないが、いい加減やめた方がいいように思う。
「……」
あーでもはがした後の方がなぁ。これ捨てるわけにもいかないしとか、なりそう。
いらないものは捨てるができないので。
……なんかもうめんどくさくなってきた。
今度で良いか…。
今日やることは明日の自分に任せるとしよう。
「……」
「……」
「……」
ねよ。
お題:白地図・時計・空