日常的変身についての考察
黒森冬炎さまご企画「標語まみれMK II ◇ 変身企画2023」参加作品です。
230字限定ですので、読者様のご想像にお任せします。
「へ、変身できないっ」
とある遊園地のヒーローショー特設会場裏で、俺は地面に座り込んだ。
変身できるという唯一の特技でこの世に存在を許されていたのに。
今朝から妙に鼻がむず痒い、この花粉症症状のせいか?
表には子どもたちがヒーローを呼ぶ声がこだましている。
そこへ、てとてとと女児が近づいてきた。
「パパ、お花~」
俺はパパなんぞじゃないはずだ。
女児の後ろに女性が立つ。
「今日一日でいいので、この子のパパになってくれませんか?」
突拍子の無い変身依頼に、俺は膝の砂を払った。
お好きなように解釈、ご標語ください。