無罪の確信
「道真は本当に優秀な男だったよ。学問に優れていて、人柄もよくて、歌の才能もあって、しかも、漢詩にも優れていた。あんなに素晴らしい男は見たことがない」
宇多上皇は道真を褒めちぎった。
「道真殿は素晴らしい方でございます」
「道真がいたらなあ……。道真さえいれば、この国は安泰なのに」
宇多上皇は道真を惜しんだ。
「私も道真殿を慕っておりました。道真殿は私の憧れでしたから」
他の者も口々に言った。
「私だって同じです」
「私も同じ気持ちですよ」
「私なんて、道真さんがいなかったら、この世にいないんです」
「私なんか、道真先生がいなきゃ、何もできない人間になっていましたよ」
「私にとっての道真は、学問の神であり、人生の師であった。道真がいなくなったことで、私は生きる目的を失った。道真のことが忘れられないのだ」
宇多上皇は涙を浮かべた。
「私はどうしたらいいのだろう?」
宇多上皇は悩んでいた。すると、ある人物がやって来た。
「失礼します」
その人物は菅原道真の弟子だった。
「おお、よく来てくれた」
宇多上皇は喜んだ。
「実は、道真様に頼まれていたことがありまして……」
「何だい?」
「道真様は、宇多上皇のことを心配しておられました。もし、自分がいなくなっても、上皇を支えてほしいと」
「道真が……」
宇多上皇の目からは大粒の涙が流れた。
「はい……」
「道真は朕のことを案じてくれていたのか。朕は道真に愛されていたのか?」
「もちろんでございます。道真様は宇多上皇のことが大好きでございました」
「ありがとう!嬉しい!」
宇多上皇は再び涙を流した。
「そこで、宇多上皇にお願いがあるのですが……」
「何だい?」
「道真様の代わりに、私が宇多上皇のお力になります」
「本当かい!?」
宇多上皇の顔に笑みが浮かんだ。
「はい!私は道真様のように優秀ではありませんが、精一杯頑張ります!」
「頼んだぞ!これからよろしく頼むよ」
「はい」
こうして宇多上皇には新しい側近ができた。
「それにしても、なぜ道真は大宰府へ左遷されてしまったのだろう?」
宇多上皇は疑問を抱いた。
「左遷の理由は、おそらく、道真の名声が高まりすぎたせいだ。もしかすると、道真は誰かの陰謀に巻き込まれたのではないか?そうだとしたら、誰がそのような陰謀を仕掛けたのであろうか?もし、道真が無実だとしたら大変なことだ。道真の名誉のためにも真相を突き止めなければならない!」
宇多上皇は推測した。
「まずは道真と親しかった者達の話を聞いてみるか。道真は大宰府へ行ってしまったから、代わりに、道真の部下達を訪ねてみるとしよう。彼らはきっと道真のことを知っているだろう。彼らに話を聞けば、道真が左遷された原因がわかるかもしれない」




