絆は強さに変わる
ポチを病院に連れていくと、医師から診断されたものは、私が想像していたものと同じだった。
ポチもまた心の病を発症していたのだ。
これまでの飼い主がそうしていたように、ポチも周りに当たることで、自らを納得させようとしていたのかも知れない。
「心の病は、完治までに時間がかかるだろう」
医師はそう言った。
「私たちにできる事は、何かありますか?」
由美は真剣な表情で聞く。
「ただ優しく見守ってあげる事が大事ですので、ムリに頑張らせないように、見守ってあげてください」
医師の言葉は由美には冷たく感じた。
ーーそんな風に出来るくらいなら、同じ時間を過ごしてきていないだろう。
由美の心の中に反発が生れた。
医師への反発。そして何も出来ない由美自身への疑問ーー。
こんな時、私は一体どーしてあげたらいいのだろう?
ポチの飼い主なのに。
何もしてあげられないなんて。
目に見えない「心」の奥が、ぎゅーーっと締め付けられるような気がした。
私の心を見透かした様に、ポチは私の顔を舐めると言った。
「ーー大丈夫。俺、もー1人じゃないから」
「そうーーあなたはもう一人じゃない」
由美はまるで呪文のようにその一言を繰り返した。
大好きなポチ。
大事なポチ。
由美の中のポチへの愛情が溢れてくるのが感じられたような気がしたが、あれは、錯覚だったのだろう。
愛はきっと見えないものだから。




