悪夢
うーん。
うーん。
体が動かない。
何でだろう?ーー体の自由が聞かない。
黒い影が言った。
「ーー重いだろう。苦しいだろう」
「クゥーン」
冷たい眼差しを感じる。
「人間と同じ言葉をしゃべれるなんてーーあんな子仲間じゃない」
そういい放つ黒い影。
顔のない影。
だが、遠い昔、そんな事を言われた仲間がいた。黒い毛並みの薄汚れた犬だった。
ーーはっ。
目を開けると真っ暗な闇が広がっている。
あたりを見渡す。
「ーー重いよ。夕夏」
柴ちゃんは精一杯の力で、夕夏を押し戻そうとするが、夕夏が重たくて動かない。
「いたっ」
夕夏が飛び起きる。
思わず、爪を立ててしまっていた様だ。
「ーーごめん。俺、、重たくてつい」
まるで言い訳でもしているように、そう言っていた。
事実なのに言い訳じみて聞こえるのはどーしたものか?
「ーー私の寝相が悪かった?」
夕夏は笑った。
「ーー怒ってる?」
柴ちゃんが不安そうな顔で聞いた。
「大丈夫だよ。私はそんな事で怒らないよーーそれよりごめんね。重たかったね」
柴ちゃんの頭を撫でる。
ーーホントに怒ってないかな?夕夏は優しいから。
心配だった。
夕夏が無理をしていないか?
心を隠して笑っていないか?
夕夏の腕から、赤い液体が流れ落ちた。
それが何なのか?分からない。
「ーーそれ?」
柴ちゃんが心配そうにそれを舐める。
ペロペロペロペロ。
なんかとても変な味がした。
「大丈夫。悪いものが出ただけだから」
夕夏がいう。
「ーークゥーン」
申し訳なさそうにいつまでも、流れ出た赤いものをペロペロとなめ続けている。
でも、それは止まらなかった。




