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反省
懐かしいーー。
急にそんな気分になった。
いろいろな事が積み重なって、私の願いが叶った日。
柴ちゃんがこの家に来て、家族の一員として迎え入れた日が鮮明に思い出される。
思えばこれまで、母を助けてくれた犬なのに、本当の家族として、柴ちゃんを見ていただろうか?
しゃべる犬なんてーー。
気持ち悪い。
とか。
捨ててきなーー。
柴ちゃんに対して、さまざまな言葉で侮辱してきた。
そんな母も今では気持ちの落ち着きを見せている。
人間たちの無慈悲な言葉が、柴ちゃんを傷つけて来たのだろう。
おおいに反省するべきだ。
静香も、そして祐司もーー。そして大人の言いなりになって、捨てる事を考えたりもした私もーー。
今は日常の中に、柴ちゃんがいて当たり前になっている。
むしろ、柴ちゃんがいないと、私は耐えられない。
そんな事に思いをはせていると、トコトコと柴ちゃんがやってきた。
大きなため息を一つついて、柴ちゃんが言った。
ーー俺なんて、、。
ーーもう、、。
もう一度、深いため息を吐く。
「ーー柴ちゃん、どーしたの?」




