イタズラ
一晩中、降り続けた強い雨も上がり、空は晴れ渡った。
天気予報は気温が上昇すると伝えている。
翔大はすくすくと成長している。
「おはよ」
毎朝の様に声をかけてくれるのは夕夏だ。
ワンッ。
尻尾を振り、最大限の喜びを表現する。
声がする方にかけていく。
だんだんと手足を思うように動かせる様になってきている。
翔大がかけていくと、そこにはもうお母さん(柴ちゃん)が座っていた。
ワン。
寂しげにトボトボと歩いて、背を向けると夕夏が言う。
ーーここにおいで。
夕夏の横には、柔らかい座布団が敷かれている。
ストン。
腰をかけると、温かい夕夏の体温が伝わってきた。この暖かさーーなんか、、ほっとする。
「ーー今日は一緒にお散歩行こっか?」
ワンッワンッ。
柴ちゃんと翔大の声がキレイに重なる。
夕夏とのお散歩の後は、お風呂が待っている。
ーー他の人に入れられるお風呂は嫌いだ。だけど、夕夏にいれてもらう時のお風呂は大好きだ。
いつものお散歩コースをゆっくりと歩いていく。何も変わらないはずなのに、お散歩も楽しく思える。
スルッ。
ーーあれ?何だか体が軽い。
振り返ると、首輪と繋がっていたはずのヒモが取れている。
「ーー柴ちゃん、戻ってきて」
夕夏の声が聞こえる。
ーーヒモのないお散歩も楽しい。もう少し歩いてみよう!!
ただの興味心だった。
「ーー待ってよー!!」
夕夏のかけてくる足音。
少し疲れているのだろうか?少しだけゆっくりになってきているようだ。
キキキーッ。
ドンッ
突然の衝突音。
タダゴトでは無さそうな空気。
僕はゆっくりと振り返る。
大きな車。
その手前に横たわる少女。
ーー一体、何が起きたんだ?ワカラナイ。
恐る恐る夕夏の元に歩み寄る。
クンクン。
臭いは夕夏のものだった。
何で、寝てる?
ナンデ?
なんで?




