大切に思うから
ーーそんなのは、私たちだって一緒だよ!!
これまで穏やかに話していた少女が、声をあらげた。
「一緒って?」
不思議そうな小さな声で、黒い毛並みの犬が鳴く。
「可愛がってる柴ちゃんが赤ちゃんを産んだ事はとても素敵な事だし、出来る事なら全部まとめて飼いたいよ。ーーでも、まとめて飼ってエサとかあげられる余裕がなくなったら?柴ちゃん一家の生死にも関わってくるんだよ、、だから、人間は人間で、離れたくないのに無理やり離れてるんだよ」
少女はゆっくりと深呼吸を繰り返して、元の呼吸を取り戻した。
「ーーただ、捨てられたって言ってるけど、飼い主は泣かなかったの?笑ってたの?」
少女は犬たちに聞いた。
「ーー笑ってはいなかったよ、、なぁ」
周りの犬たちに同意を求めるのは、黒い毛並みのリーダーの様な犬だった。
ーー憎んでばっかりじゃ、不幸だよ。
ーー幸せになる為に、人を受け入れて。お願い。
これは夢か?
人間らしくない言葉を言っている。
僕らのためにーー??
ヒトはシンジタライケナイーーんじゃなかったのか?
何だこれ?
え?
イミガワカラナイ。
シンジテナルモノカ、、。
シンジテ、、。
これまでの思いが空気に溶けていく様だった。
ーー僕らはこれまで、襲撃を企ててまで一体何をしていたんだろう?
「人間の言葉を話せるくせに、言葉を理解する事が出来ない訳じゃないでしょ?ーーわかってくれた?私たち人間の思いもーー」
「ーー人間もきっと、あなたたちを捨てたくて捨ててる訳じゃないと思うから」
ワンワン。
都合の悪い時なのだろうか?
黒い毛並みのリーダーは、いきなり犬語で話しているのか?ワンッと鳴いた。
空が曇り、小雨が降り始めた。
わずか数分で、それは土砂降りに変わっていく。




