和解
街は黒い巨大な雲で覆われている。
雨雲だろうか?
玄関のドアが開く。
「今だー!!かかれー!!」
黒い毛並みのリーダー(クロ)が指示を出すと、周りを取り囲んでいた犬達が、一斉に飛びかかる。
よくも。
よくもアイツの子供をーー。
茶色い犬は右腕を、灰色の犬は左手を、白い毛並みで黒の斑点模様の子は左足を噛みついている。
「ーーや、、やめてくれ」
後ろからそう聞こえてくる。
すべての犬が振り返ると、そこには人間に慣れ、人間に染まってしまった柴ちゃんがいる。
「ーーこいつも裏切りものだ!!やっちまえ」
白い毛並みの黒い斑点模様の犬が勢い余って言う。
「違うんだ。裏切ってなんかいない」
柴ちゃんは必死になって、元仲間たちの悪巧みを食い止めようとする。
「ーーじゃ何なんだ?」
ドアが開いた。
「ーー何をやってるの?うちの柴ちゃんをいじめないで」
そこで悲しそうな顔をしていたのは、先程の少女だった。
ーーニンゲンハシンジナイ。
ーーニンゲンハ、、。
取り囲んでいる犬たちに近づいていく。
「ーーあなたたち、どーしてうちの柴ちゃんをいじめるの?」
犬たちに威嚇されたまま、少女はそこに中腰になった。
「ーー元はいい子たちでしょ?」
威嚇されている犬たちを撫でている。
ガルル、、。
威嚇していた声が、小さく聞こえなくなっていく。
「ーーどーしてこんな事をしたの?ーー話せるでしょ?」
「ほ、、ほんとうは、、」
黒い毛並みの犬が何かを言いかけると、黒い斑点模様の子が突然噛みつきに行った。
「ーー話してごらん」
少女はニッコリ笑っていった。
先程までの怒りが、ゆるゆると浄化されていく。
「ーー僕たちと、この柴ちゃんは元々、仲間だったんだ。何度も人間の都合で飼われ、捨てられてきた。」
「ーーそっか、、大変だったね」
少女は悲しい顔をする。
「それはあなたたちを無下に扱った人間が悪いねーーごめんね。でも、柴ちゃんは裏切り者でもないし、柴ちゃんは幸せになろうとしてるんだよ。許してあげて」
そう言って、微笑んだ少女に黒い毛並みのリーダー犬が言う。
「ーー幸せな訳ないじゃないか。自分の子供たちと引き離されて、心配でたまらないはずだ」




