柴ちゃん2
ワンワン。
犬語で何かを話しているのだろうか?
黒い毛並みの犬が、吠えている。
人にはわからない様に犬語で話す。
「ーー安心しろ、俺らが敵を打ってやるからな」
そう柴ちゃんに言う。
ーー違うんだ。
ーーあの子だけは違うんだ。味方なんだ。
「ーーお前、何を言ってるんだよ?」
あの子だけなんだ。子供たちとバラバラになるその瞬間まで、何度も泣いてくれたのはーー。
「ーーそう言えば、あの女の子が言ってたぞ」
「何を?」
「ーーお前が家族と一緒にいられる方がいーんじなないか?って、、。結果的にお前を手放す事になってもーーそんな事を言ってたんだ。お前はどうしたいのか?って」
「俺は、あの子と一緒にいたいんだ。例え、家族と離ればなれになっても」
「そう伝えていいんだな?人間の言葉でーー」
「頼む。俺、なんか急に話せなくなっちまったんだ」
「ーーわかった」
トコトコトコトコ。
黒い毛並みのリーダーが歩いていく。
例の少女は不安そうに待っている。
「ーー聞いてくれた?」
少女は真っ直ぐに黒い毛並みの犬に向かって言った。
「あぁ、ちゃんと聞いたよ」
「どうしたいって??」
「あんたと、一緒に過ごしたいってさ。家族がバラバラになってでもーー」
ふう。
小さなため息をつく。
「ーー良かった。そう言ってもらえて」
また何かが地面に滴り落ちた。
雨水の様だった。




