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別れ
ワンワンワン。
犬たちが遠吠えの様にして吠え続けている。
家族の終わりを惜しむかの様にーー。
ーーいつか、また会える。
ーーお前らきっと無事でいろよ。
恐らくはそんな会話をしているのだろう。
目の前の「別れ」を惜しんでーー。
「それじゃ、この子の事頼むわね」
静香が犬を任せた人に言った。
「ーーじゃ、バイバイしなさい」
夕夏の頭を撫でながらそう言った。
負担が軽くなったのか。
今までよりも、優しい声に聞こえた。
「大人になったら、必ず迎えに行くからねーー今は、バイバイ」
大粒の涙で、柴ちゃんの子供の顔が滲んでいく。
ーー私が大人になったら必ず。
ーー必ず会いに行こう。
私は心の中でひっそりと決意を固めた。
こうして、一匹。また一匹と、赤ちゃんたちは私から旅立っていった。
ーーもう少し大きくなるまでは飼っててもいいのかと思っていた。
私はバカだった。
まだ生まれて二日目なのに、お母さんから引き離されて、この子たちは不幸だ。
その夜。
私は涙が止まらなかった。
食欲もない。
もう、どうでもよく思えた。
生きている事も、大人たちの勝手に振り回される事もーー。




