決断
いっそのこと、柴ちゃんもろとも捨てちゃえればーー。
柴ちゃんは、子供と一緒に生活出来るだろう。
トコトコトコ。
柴ちゃんはゆっくりと歩いて、私の膝の上で眠っている。子供たちも柴ちゃんの側で眠っている。
「ーーねぇ、柴ちゃん、、話して」
夕夏が話しかける。
ワンワン。
どこか元気のない声で、柴ちゃんが吠えた。
「ーーそうじゃなくて、前みたいに、、同じ言葉で話してよ」
ワンワン。
犬語でワンワン言われても、私にはわからない。ーーどうして欲しいのか?
もう奇跡は起きないのだろうか?
柴ちゃんの赤ちゃんの最後の一匹も、貰い手がついてしまった。
由美が声をかけてくれたクラスメートの子だった。
その子は私も知っている。
すごく優しい、とてもいい子だと思っているから、安心ではあるが。
「ーーねぇ、一体どーしたいの?捨てられても家族で暮らせた方がいーんじゃないの?ーー答えてよ」
目には大粒の涙を流している。
夕夏は本当に大切に思ってくれていたんだろう。
でも急に話が出来なくなってしまったのだ。
なぜだか、分からないけどーー。
「ーー本当はずーっとこの家で、みんなと一緒に暮らしたいんだ」
柴ちゃんの気持ちが、夕夏にはまったくわからなくなってきた。
言葉を話してくれなくなったから。
里親が徐々に決まり始めた頃。
突然、柴ちゃんは言葉を発さなくなった。
普通の犬に戻ってしまったようだ。




