赤ちゃん
柴ちゃんの様子がおかしくなってから、2日が経過した頃。
柴ちゃんがようやく顔を出した。
これまで柴ちゃんが隠れていたベットの下を覗いてみる。
ーー何かが動いてる。
よくよく見てみると、柴ちゃんそっくりのチビ助がウニョウニョと動いている。
「ーーわぁ。赤ちゃんだ!かわいー」
思わず、声を張り上げると、心配そうにして、柴ちゃんが駆けてくる。
「ーー柴ちゃん、よく頑張ったね」
夕夏が柴ちゃんを撫でる。
まだ小さい子供たちの元に、柴ちゃんがいくとすぐに子供たちはミルクを飲み始める。
命の神秘とはこーゆー事なんだろう。
その姿を見ていたら、涙が滴り落ちていた。
とても温かい気持ちに包まれていく。
命の瞬間を見たからだろうか?
小さいチビ助たちに、群がられている柴ちゃんは眠ってしまっている。
1、2、3、4、5ーー。
チビ助は五匹も生まれている。
純粋に私は嬉しかった。それを母が知るまではーー。
翌朝。
いつもなら、母が柴ちゃんを見る日になるはずだった。
「今日は夕夏が柴ちゃんを見て」
私はそう頼まれたのだった。
「ーーどーして?」
早く柴ちゃんの赤ちゃんを見せたい。でも、捨てろと言われたらーーそんな事も考えられる。
一体どーするべきなのだろう?
「ーーねぇねぇ、おじさん、ちょっと来て」
祐司の手を引き、柴ちゃんの赤ちゃんのいる場所に連れていく。
「何だ?」
何が何だかわからないまま、連れて来られる祐司。
「ーー見てみて!赤ちゃんがいるよ?」
「ーー本当だぁ」
祐司の目が輝いている。
ーーまだ生れたての、だけどちゃんとした柴ちゃんの子供。
祐司も新しい命が生まれてきた事に感動しているようだ。
涙を流している。




