個性
目を開けると、夕夏に祐司ーーそして柴ちゃんが心配そうに見守ってくれていた。
「起きた」
純粋に夕夏が喜ぶ。
「おいおい、心配かけんなよ」
生意気に柴ちゃんが言う。
ーー生意気な奴だな。
そう柴ちゃんを撫でながら、祐司が声を立てて笑った。
静香がようやく起き上がる。
「ーーごめんな、知らなかったのか。」
柴ちゃんが静香に言った。
「全然ーー何にも知らずに死んでいくよりはいいもの」
静香が笑う。
「ーーショックだったよな、、俺たちはそんな思いをさせないようにしような」
祐司が言う。
「ーーあなた次第でしょ?」
「ーー確かに」
「ーーそれより、どうして柴ちゃんが知ってたの?私の過去の事をーー」
柴ちゃんに聞く。
「ーーあの人、毎日の様に言ってたぜ」
あの人って、恐らくは先程の老人の事だろう。
「私には自慢の娘がいるんだーー残念ながら離れて暮らしている」と。
その子は前の夫との子供で、親権争いになった時、連れていかれてしまったーー取り戻す事は出来なかった。でも静香はずっと私の娘だとーー。
それを聞かせていたから、覚えてしまったのか?
犬がしゃべる事もあり得ないし、、私の過去を知る事だってあり得ない。
だけど、私が何一つ知らなかった本当のお母さんに思われているのも、不思議な話だ。何にせよ、今我が家には不思議な事件が、重なっているのだ。
いつの間にか、柴ちゃんは眠っている。
「この子、かわいーよね」
「見た目だけはかわいーんだけど、外でしゃべられると困るのよね、、散歩中とか」
「いいんじゃない?個性だもん」
夕夏がそう言った。
「個性」ーーこれはそうなるのだろうか?
捨てろとは言わないが、しゃべるのはやはり気持ち悪い。
ーーそーいえば、柴ちゃんって名前にしたけど、しゃべると雄みたいだったな、、。
ずっとメスだったと思い込んでいたが、もしかして??




