運命
風が強い日だ。
「必ず、静香を説得するから、後は俺に任せてあの公園に行っててくれ」
元は父だったらしい。祐司が少しだけ頼もしく見えた。
ーー絶対だよ。約束。
私は父と指切りをして、静香との約束通り、私は柴ちゃんを捨てるべく、玄関を出た。
「ーー行ってきます」
悲しげな声で、柴ちゃんが嫌そうにしながら無理やり連れ出されていく。
ーー可哀想。
ーー捨てたくない。でも、私には何かを変える力はない。
心の一部分に微かな希望を抱いて。
目的地に着くと、柴ちゃんは座り込んだ。
「ーーあー、疲れた」
犬なのに、まるでおっさんの様な口調だ。
「疲れたねぇ、、どうしようか?ーー捨ててきなさい、と言われたけど。せっかく飼えるようになったのに、捨てたくないしー」
私は精一杯笑って見せた。
「とりあえず、ゆっくりしよ」
私は柴ちゃんの首から頭を撫でた。
「うちに、帰れるといいねぇーー風も強いし」
ワンッ。
犬っぽく柴ちゃんが吠えた。
尻尾が下向きになっている。
ーークゥーン。
柴ちゃんの寂しそうな声。
「夕夏ーー」
遠くから声が聞こえた。
祐司のものだった。もうどれくらい外にいたのか。
わからないくらいだ。




