プロポーズ
「俺は詳しくは知らない。でも、命を救ってくれた犬を捨てるのは反対だ」
祐司は言い切った。
「ーーどーしてあなたにそんな風に言われなきゃいけないのよ」
腹が立った様で、静香が噛みついている。
「ーー何が気にいらないんだ?お前、犬は大好きなはずだろ??昔飼ってたじゃないか、、」
祐司が諭す様に言う。
「ーーあなたには関係ないでしょ?」
静香は涙を流しながら言った。
彼女は何かを隠すようにうつむいた。
「お前、何かあったのか?」
今更、とも思うが、必死だった。少しでも静香の役に立てたらーー。
純粋にそんな思いで、口をつくように言葉が出てくる。
「うん。でも今はーー」
静香はそう言ってうつむく。
「ーー俺は、ずっとお前を守ると言いながら
守る事が出来なかったって事なんだな」
「ーーそうよ。今まで放っといて、どーして今頃になって、ヨリを戻したいとか言うのよ?」
静香は冷静な口調だが、真剣に聞いた。
「俺、あの後この家を出ていって、すぐに別れたんだ」
重苦しい空気が、場を支配する。
部屋の温度が急に下がった気がした。
「もう戻れない。ーーお前を忘れようって何度もしたんだ。でも、忘れられなくて、戻って来ちゃったんだ」
「ーー何よ、それ。勝手なんだから」
静香の顔に少しだけ笑顔が浮かんだ。
まるで喧嘩した後の様にも思えた。
「ーー今まで本当にすまなかった。もう一度、俺とやり直してくれないか?」
静香は真剣な眼差しで俯いた。




