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不審者
漠然と残る不安。
柴ちゃんと共に家路を急いだ。
ーーそれにしても、変な人だったな。
新しい家族。
「柴ちゃん」が来てから、私は柴ちゃんと見たもの、感じた事を日記に書き起こしている。
その日も、母に報告をして部屋に戻って日記をつけた。
今日出会った柴犬。そして変わった飼い主の事をーー。
ベッドに入ると、私は重いため息を一つ溢すと、、独り言のように呟いた。
ーー随分、痩せ細った犬だったな、、と。
今日はその事しか思い出せないくらい、一番印象深い出来事だった。
いつの間にか、眠っていたようだ。
ガタンッ。
小さな音で私は目を覚ます。
ぼんやりとした顔で、窓の外を見つめる。
カーテンがかかっているから、外は見えない。私は物音がした方に歩いていった。
窓際に立ち、カーテンを開ける。
私は目を見開いた。
そこには見知らぬ男がしゃがみこんでいるのを見て、私は驚いて声をあげた。
悲鳴にも似た声。
一体、どこからあんな声が出るのかと思ってしまうくらいにーー。