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願い  作者: みゆたろ
10/75

散歩

夕方になると、少し風がひんやりと冷たくなってくる。

柴ちゃんの散歩は、私が担当する事になった。


「ーーお散歩いこう」


にこやかに、柴ちゃんに声をかける。

柴ちゃんは私の言葉を理解している様で、声をかけた途端に落ち着かないそぶりを見せる。

いつもの事なのに、そんなにも散歩が嬉しいのだろうか?


「ワンッ」


いつものそれとは比べ物にならない元気な声だ。首輪に紐を通す。


「ーー行ってきまーす」


私は慌てて外に飛び出した。

柴ちゃんに連れ出されたと言っても過言ではないかも知れない。

柴ちゃんの紐を短めにして、あまり離れないように固く握った。

けして手放さないようにーー。

15分前後、柴ちゃんを連れて歩いていると、同じような柴犬を連れた人とすれ違う。


「こんばんは」


軽く挨拶をして、その場を通りすぎようとするが、柴ちゃんは動きを止めてしまった。

その場にゆっくりと腰を下ろし、毛繕いを始めてしまう。

こんな時、強引につれていくのも可哀相だ。


「朝晩は少し冷えますね」

ニッコリと笑った。

しょうがなく私は柴犬の飼い主に話しかけた。この間を持たせるために。


「そうですね」

無愛想な男の人だった。


「柴犬、飼い始めてどれくらいですか?」

私は聞く。

「もう6年くらいですかね?」

「可愛いですよね?」

しばらくの間、男は黙っていた。


重い沈黙、、。


「ーーこんな犬、いないほーがいい」


ぼやくように男は呟いた。

どうやら、彼の飼っている柴犬は「ポチ」というのだそうだ。

よくよく見てみると、彼の飼っている犬は、飼い始めて6年も経っているのに、細いままーーむしろ痩せすぎなんじゃないだろうか?

まだ飼い始めたばかりで、よく分からないのも事実だが。


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