表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
音を司りし者が望むもの  作者: お狐
6/17

5.食い違い③

GW中に沢山投稿してしまいたいと思っています!

怒涛の連続掲載です!

「皆さん。ありがとうございました。このお店のオーナーさんから許可を頂けたら明日もこの時間にまた歌いたいと思います。これからもよろしくお願いします。」


拍手と歓声を背中に受けつつ、ステージを降りました。


「いやぁ、まさか嬢ちゃんがここまでの腕前だとは思わなかったよ。……ほら、給料は色をつけといたから、これからもウチに来てくれよ?」


「ありがとうございます。また明日も同じくらいの時間に来てもよろしいでしょうか?」


「もちろんだ!嬢ちゃんなら、飛び入り参加も大歓迎だぜ!」


「感謝します。では、また明日。」




ふう。思ったよりもお金を稼ぐことができました。もう夕暮れ時ですね。明日も頑張って稼ぎましょう!






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






今日も劇団は騒がしい感じだったので、噴水のある広場に来てみました。

ここでは、多くの駆け出しの演奏者や吟遊詩人がパフォーマンスを披露しているそうです。


……実を言うと、道端で演奏して通りすがりの人たちに拍手をもらったりするのに憧れてたんですよね。

せっかく異世界に来たんですから、やりたいことは全てやりましょう!!





作法やルールがわからないので、ギターのようなもので演奏しているお姉さんに聞いてみましょう。


………うーん?魔法は使わないのかなぁ?あっ!少し映像が見えた!……きっと、まだ駆け出しなんだろうな。



パチパチパチ



「聞いてくださりありがとうございました!」


声を観客にかけられ、おひねりをもらい終わったようです。落ち着いたようだし、質問をしてみましょう。


「あの、すみません。」


「はい?私ですか?………もしかして!私のファンだったりしますか!?キャー!どうしよう!嬉しい!」


「いや、あの、何も言ってない……」


「もー照れないでいいのよ!貴方お名前は?」


「えっ………クリスと言います。」


「クリスちゃんね!可愛い名前!」


「あの、私は貴方に質問があるのですが……」


「そうなの?なんでも聞いて!」


「ありがとうございます。こちらで歌を歌いたいと思っているのですが、何かマナーやルールはあるのでしょうか?」


「うーん。特にないわよ?強いて言えば、他の人が演奏してる隣で演奏してはいけないとか、邪魔はしちゃいけないとか……そう言う当たり前のことくらいね。あぁ、あと、お金は貰うのが当たり前よ!貰えなかったらよほど酷かったんだなって感じね!」


「そうだったのですか。ありがとうございます。」


「ねぇねぇ!今からやるの?見ていっていい?」


「えぇ。勿論です。」



なんだか、勘違いしているようだけど好かれたようなら構わないですね。話も通じないようだし放っておきましょう。




「皆さんおはようございます。駆け出し音楽家のクリスです。お忙しい中かもしれませんが、足を止めて聞いていただければ幸いです。それではお聴きください。」



まだ少し早い時間帯の忙しいような、ゆっくりしているような、そんな時間の流れの中、水の音と緑に囲まれ歌う気持ち良さ。爽快感。


そんな気持ちを明るく歌いました。


光が差し、朝露が光り、小動物が集まってのんびりしている映像が魔法によって構築されました。


私の気分はまるで白雪姫。そんな優雅な気分で楽しく歌うことができました。



……あぁ。なんて幸せ。音楽と触れ合えることに感謝しましょう。




「……っふぅ。ご清聴ありがとうございました。私は只今楽器を買うお金が無いため、資金集めにご協力頂けると嬉しいです。」



間を開けて、ワァーーっ!と歓声が上がりました。



嬢ちゃん凄かったな!もっと聞かせてくれよ!その前に募金だろ!あぁ、そうだったな!



「あ、では、このカバンにお願いします。」



おうともよ!ほら、こっちにも寄越せ!あ!私も!



「ほらよ、嬢ちゃん。ここにいるやつらの金は集め終わったぜ?もう一曲頼めるか?」


「ええ、勿論。」



……私は幸せ者ですね。こんな風に私の演奏を待ってくださる方がいるなんて。精一杯答えなければ。




そのあと私は手を変え品を変え、朝から昼に変わっていく驚きや、歌を聴いてくださる感謝などを歌い上げ、あっという間に11の鐘が鳴りました。

(11時のようなものですね。)


「あ、この後『戦士のの酒場』と言うところで4時から演奏をします。宜しければ是非いらして下さい。」



おお!絶対行くぜ!楽しかった!ありがとう!うわっ!やっべぇ。仕事に遅刻だ!うわぁ俺もだ!!



「ほらーお前らー!こんだけ歌わせたんだから、もうちょいおひねり増やしとけー!今度から来てくれなくなるぞー」



あーそうだな!カバンを貸してくれー!あ、私も入れるー!



「ほらよ、嬢ちゃん。言いにくいかもしれないが、生きてくために金は必要だ。もっとせびっとけ。」


「あ、ありがとうございます。あの、お名前は?」


「あー。俺はペルだ。ここらでは演奏おじさんとか言われてるよ。」


「そうなのですか。ありがとうございます。」





きっと、ペルさんがこの辺りの駆け出し演奏者を守っているのでしょう。

苦笑しながらも、あだ名を教えてくれたのはそれに誇りを持っているからに違いありません。

……あのような大人になりたいと思わせてくれる人は貴重ですね。見習いましょう。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ