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歴戦リズムゲーマーVS素人バーチャルリズムゲーマー【リ・アレンジ】  作者: 桜崎あかり


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10-3


 午後3時位になった辺りで、ガーベラは『オケアノス・ワン』草加店を後にしていた。

理由は様々あるだろうが、途中のコンビニでペットボトルのスポーツドリンクを購入していたので――小休止なのかもしれない。

(あれが――現実?)

 彼女自身も落ち込んでいるようだが、そこまで大きくは落ち込まないのは――コンビニの店前と言うのもあるだろう。

それに加えて、他の客もいるようなコンビニでは――。

「どちらにしても――」

 スポーツドリンクを口にしながら、周囲の様子を見るのだが――自分の方を見る客はいない。

コスプレの時であれば振り向く可能性はあるかもしれないだろう。しかし、今は私服に近いので興味がないと言うべきか?

(やっぱり、無理はするべきではなかったか)

 今更だが、あの時のプレイを振り返っていた。ライブの時でも疲れた状態を――というケースはあるかもしれない。

しかし、リズムゲームVSはライブではないし――デスゲームの様な類でもないだろう。

 リズムゲームはリズムゲームとしてのプレイスタイルがあり、それに従うのがマナーと言うべきである。

ネット上では――そうしたプレイスタイルに関して賛否両論となっているのだが、バーチャルゲーマー進出で変化を見せていた。



「一体、何が起こったのか――」

 ガーベラの去った後の『オケアノス・ワン』草加店では、あるプレイヤーのプレイが周囲を盛り上げる。

その人物は、何時もは袖を通さないようなコートにそでを通すと言うプレイスタイルを披露し――驚かせたのは言うまでもない。

(リズムゲーマーである以上、恥じないプレイを見せる事が――)

 リズムゲームVSの筺体に立ち、プレイをしている人物――それは、ビスマルクだったのである。

彼女の眼は真剣そのものであり――周囲も下手に声を上げるのに抵抗するような雰囲気だったのだが、1曲目が終了すると――。

「これが、プロゲーマーなのか?」

「何て実力を――」

「さっきのプレイが霞む位の動きじゃないのか」

「プロゲーマー? 違うな――この場合は、リズムゲーマーだ」

「まさかデンドロビウムを越えつ逸材なのか?」

 様々な声もあるのだが、その声にビスマルクが振り向く事はない。

ゲーム中に振り向くのは『振り向き厨』などと指摘される場合もある為か、ゲームが終了して別の順番待ちプレイヤーを確認する以外では振り向かないだろう。

ただし、リズムゲームVSの場合は――そんな事をしなくてもゲームモニターに『次の整理券を持ったプレイヤーが待っています』と言う感じのメッセージが表示される。

(デンドロビウムを指標とする必要性は感じられない。今は、やれる事をやるだけ)

 プレイ終了後、ビスマルクは無理にデンドロビウムを越えようとする必要はないと感じていた。

ガーベラが失速したのは、デンドロビウムを意識し過ぎた事にあるのだろう。誰もがハイスコアを塗り替える為に想定しているのがデンドロビウムだ。

しかし、それを意識し過ぎてしまって失速したプレイヤーはガーベラ以外にも多数いるだろう。

(どこまで彼女は――記録を塗り替えるつもりなのか)

 それでもビスマルクはデンドロビウムが今でも多数のハイスコア記録を持っている事に対し――思う部分はあった。

理論値を達成した楽曲の場合は、名前の塗り替えは同スコア扱いで不可能だが――それ以外では塗り替えが可能である。



 午後4時にはビスマルクが帰宅し、それ以外のゲーマーが盛り上げて――と思われたが、リズムゲームVSの1台がメンテ中の画面表示になっている。

残り2台は問題がないので、そちらを利用してもらう形だが――プレイヤーとしては若干気になっている個所だった。

メンテ理由が筺体の故障だとすると、乱暴に扱ったプレイヤーが炎上するだろう。しかし、物理的に破損した箇所は特に見当たらない。

 では――サーバーのエラーだろうか? 最近のゲーム筺体では回線の接続が必須となるゲームもあると言う。しかし、それだと3台とも止まっている可能性があるのでこちらも違っていた。

実際に調整をしている場所は、タブレット端末を置くスペースというかパネルだったので、もしかすると接触不良の類かもしれない。

電子的な処理をしている部分の修理は、ゲーセン店員ではお手上げなので専門職を呼ぶ必要性があるのだが――『オケアノス・ワン』では心配無用のようである。

実際、修理の時間は10分も経過しない内に原因を特定し、その後にはパーツ交換で再起動をしていたから。

「これだけの事を他の店舗でもできれば――」

 リズムゲームの場合、交換用部品で専用パーツが多い関係もあって――部品不足になると、修理に時間がかかる場合が多い。

しかし、『オケアノス・ワン』の場合は破損部品をメーカーに発送し、それを修理してもらう事で的確に不足パーツを特定、注文をこなっている。

タチバナも、このノウハウは他のゲーセンでも役立ててもらいたいと思っているのだが――資金面でここまで出来ないゲーセンの方が多く、逆に『オケアノス・ワン』のやり方は資金力のある店舗のやり方と批判されていた。

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