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歴戦リズムゲーマーVS素人バーチャルリズムゲーマー【リ・アレンジ】  作者: 桜崎あかり


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9-4


 同日の『オケアノス・ワン』草加店では――あるゲーマーが来たことで盛り上がっていたのである。

そのゲーマーとはガーベラだった。今までは別のゲーセン等へ遠征に行っていた印象だが、何処で方針転換をしたのか?

「まさか、ここまで機種を増やすとは――」

 ガーベラが2階の一角を見て、今まで遠征してきたゲーセンとは明らかに違う光景を目にした。

それは――無数のリズムゲームが並んでいる光景だったのである。これには他のゲーセンからこちらへ来たゲーマの誰もが思うだろう。

ただし、これでもサービス中のリズムゲームを全機種制覇している訳ではなく、上には上がいるのだが――埼玉県内では、多機種を扱っているのは間違いない。

 その光景を見て感心するのはリズムゲームプレイヤーだけではなかったのは言うまでもないだろう。

あれだけのスペースで、ここまでの機種を揃えるのも大変の一言である。

実際、スペースをあまり使わないような格闘ゲーム等の筺体よりも、リズムゲームの様な専用筺体はスペースを消費してしまう――。

こうした事情を踏まえると、高額でプレイヤーが集まりにくいリズムゲームを揃えるゲーセンが少ないのが分かる。

逆に格闘ゲームや対戦物の場合はリズムゲームよりも固定客を得やすい事もあって――利益を上げやすいと言う。

メダルゲームの場合は幅広い年代をキープしやすいが、長時間滞在されると台を固定客が占有して――という難点が指摘されている。

プライズゲームでは、プレイヤーの技術によって景品を大量に――。

(やはりというか――やり過ぎと感じるユーザーはそれなりにいるようだな)

 相変わらずの受付スペースの監視カメラ映像をチェックしているタチバナだが、今回ばかりは両腕を組んでいた。

何時もであれば、両腕を組むなんて事はしないのだが――客が見ている前でも。

(しかし、格ゲーの様な初心者狩りという概念のないリズムゲームであれば――)

 格ゲーや対戦系では初心者狩りと言うマナー違反とも取られかねないプレイヤーがいる。

そうしたプレイヤーだけをピンポイントで排除するのは難しいし、それを分かる形でやると炎上確実だろう。

(今となっては、様々なゲーセンで多様な客に対応する方法を模索している――)

(それを踏まえれば、今回の新台導入も好転に――)

 タチバナとしてはアミューズメント部門も何とかして黒字にしないと――という考えがある。

この辺りは経営的な事情もあるのかもしれないが。プレイヤー視点はチェックしつつも、そこばかりを気にしては店が赤字になりかねないだろう。



 ガーベラがセンターモニターを眺めていると、そこには見慣れた名前がなかったと言うよりも――チェックしている順位には出てきていない。

店舗はほとんどが『オケアノス・ワン』系列店で独占と言う状況で、設置店舗の差が出ているのかもしれないだろう。

(スコアの方は――)

 目で追っていくのだが、それでも知っているプレイヤーネームは出てこない。あるいは、更新タイミングで発見出来ていない可能性もある。

その状況下で10位のプレイヤーネームが上に出てきた辺りで周囲からは動揺とも感じられる声が――。

「まさかの展開だな」

「ここまで落ちているとは」

「プレイ回数は未だにトップだが――」

「7位!?」

「信じられないが、それだけ新鋭プレイヤーが出ている証拠かもしれない」

 7位のプレイヤーネームは、まさかとも言うべき人物の名前があった。

そのネームとは、デンドロビウムである。今までであればベスト3はおかしくないのに――。

(一体、何があったのか――)

 ガーベラ不在の間、リズムゲームVSでは何があったのか。

デンドロビウムが一時的な不調――とはネット上で言及されていたが、それ以上の事が調べても出てこない。

ネット炎上した、他のバーチャルゲーマーに負けた、他のゲームをメインに切り替えた、リズムゲーム自体に興味を示さなくなった――どれも違うだろう。

そんな中で、ガーベラは1位に出てきたプレイヤーネームを見て――。

(まさか、彼女が1位になるなんて――)

 実力では明らかにデンドロビウムよりも下の人物が、まさかの1位になっていたのである。

チートまがいで1位になった訳ではなく、彼女も実力者の一人だろう。しかし、デンドロビウムと比べると経験値が足りない。

その状況下で1位になった事は、別の意味でも衝撃的なのは事実だ。それに加えて、ガーベラも彼女の事は知っている。

(ユニコーン……まさか!?)

 ガーベラも知っている人物であるユニコーン、彼女が現在のリズムゲームVSでトップランカーと呼ばれる位置にいた。

まさかのバーチャルゲーマーが歴戦リズムゲーマーを越えた瞬間でもある。



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