43 強さへの壁
どうしたものか……。
アルシアとメロディアも待ってるし、取り敢えずはこのまま地下に行くか。
「二人が待ってるから取り敢えず、このまま地下に行ってくるわ」
眠りについたリアンから梨沙に視線を移し俺は言う。
「修行頑張ってね!」
梨沙は笑顔で俺を見送ってくれた。
地下に着き待っていたアルシアとメロディアに事情を説明する。
「どうしたらいいと思う?」
完全にお手上げな俺はアルシアとメロディアに意見を求めた。
まぁ、なんとなく予想できるが……。
やはり、俺の予想通り返ってきた言葉はルイーザと同様に「ない!」の一言だった。
やっぱりね。そうじゃねぇかと思ったよ!
このまま修行を中断する訳にもいかないので、リアンを隔離空間で覆い俺達は修行開始することになった。
これなら、リアンが目覚めて泣き叫んでも即座に対応出来るし、抱っこしたまま修行するよりかマシだろう。
まぁ、これでも多少危険はあるだろうが、リアンを覆った隔離空間はかなり強力にしたから、ちょっとやそっとじゃリアンが危険にさらされることはないだろう。
『最初からこの手を使えば良かったんじゃないのか?』
ルイーザが言う。
確かにこの手を使えばリアンが居ても、修行は出来るがリアンが目を覚した時、怖い思いをするだろ?
我が子にそんな怖い思いはさせたくないからな。
『ふっ、我が子、か……。悪魔の放つ言葉とは思えんな。……本当、随分と丸くなったな。あの頃とは大違いだ』
我ながら不思議だよ。
何をどうしたら性格が百八十度変わるんだろうね。
頭でも打ったのかな?
……いや、無いな。絶対に無いな。うん。
あれが頭打って性格変わるなんて事は無いだろう。
『確かにそうだな。だとしたら、一体何が原因何だろうな……』
さぁな。まぁ、その内分かるだろうさ。
『だな』
ルイーザとの会話を終えて俺はアルシアとメロディアに、手渡した二種の神器の扱い方を説明をする。
「さて、この二つの神器の能力は二人共知ってるから省くぜ。取り敢えずはアルシアは鎧の能力を完璧に扱える様にする事、最初は盾型の防御の鎧でいいだろう。メロディアは龍の手を真っ直ぐ放てる様になる事。それが二人の当分の修行だ。そんじゃ、やって見ろ」
俺は二人から少し距離を取る。
二人は神器解放するとそれぞれ修行を開始する。
アルシアは防御の鎧を発現させる。
俺は盾型の防御の鎧に向けて軽く攻撃を放つが、軽く放っただけで盾にはヒビが入っていた。
こりゃあ、前途多難だな。まぁ、壊れなかっただけましか……。
メロディアは伸ばした龍の手を真っ直ぐに放つが、放たれた龍の手は右に大きく逸れて行く。
まぁ、最初から出来ると思ってなかったし長い目で見よう。限度はあるけどな。
『この修行で二人はお前の神器を扱える様になれるのか?』
それは、二人の努力次第だな。
『臨界突破者の修行もあるんだろう? 大丈夫なのか?』
それも、二人の努力次第だな。
『お前、本当に二人を強くする気あるのか?』
あぁ、勿論だ。それがどうかしたのか?
『いや、それならいい……』
……シェリルとの戦いはギリギリのギリギリだった。
神の領域が発動しなければ負けていたかもしれない程に。
そんなシェリルに二人は勝てるのだろうか……。
作戦は最初にレイナを倒しその後、二人でシェリルと戦う。そうでもしないとシェリルには勝てないと思うからな。
だが、それでも勝てるかどうか……。
限界突破が使える様になれば勝てるだろうがそれは不可能だ。
何故なら臨界突破と限界突破は何方か一方しか習得できないから。
……新しく神器を貸す?
だが、臨界突破に加えて限界突破二つを習得するのはかなりの時間を要するだろうな。
時空で時間の問題はクリア出来るが、アルシアとメロディアの身体が臨界突破と限界突破の二つの力に耐えられるのか?
仮に耐えられたとしても命を削る限界突破の維持時間は持って十秒が限界だろうな。
この方法を使うとしたら、臨界突破者でシェリルを追い詰め、お互いに臨界突破者が維持出来なくなった所で、限界突破者となり十秒でシェリルを倒す。
この方法を使えばシェリルに一瞬のスキが生まれる筈だ。そこを突く。
だが……。この方法はアルシアとメロディアの身体が臨界突破と限界突破の二つの力に耐えられる事を前提としている。
もし、耐えられなければ……。
『おい、ゼローグ。リアンが目を覚した様だぞ?』
そうか、分かったよ。
考えるのはまた後だな。
今日の修行はここ迄にしておこう。
俺はリアンを覆った隔離空間を解除して、リアンを抱っこする。
「二人共! 今日はここ迄にしよう」
俺はリアンから二人に視線を移して言う。
「うん、分かったよ。団長」
神器を解除しメロディアが言う。
「ゼロちゃん途中で攻撃するの止めたから、そのせいで自分で攻撃を放って、攻撃に当りに行かないといけなかったんだよ!」
頰を膨らませアルシアが言う。
「すまんすまん、ちょっと考え事しててさ」
アルシアに謝った後。地下を出るとアルシアとメロディアは汗を流しに風呂に入りに行った。
俺は自室に戻りリアンの遊び相手をしていた。
『もし、臨界突破と限界突破の力に二人が耐えられなければどうするんだ?』
不意にルイーザが言う。
俺とシェリルが戦った時、臨界突破者の維持は二時間が限界だった。
なら、アルシアとメロディアに最低でも臨界突破者を倍の四時間、維持出来る様になってもらう。
シェリルとの戦いを長期戦に持ち込むしかないだろう。
『やはり、そうなるか……。今の二人にそれが出来るのだろうか』
二人に賭けるしかないだろう。
出来なきゃシェリルとレイナには勝てない。
何方にせよ力に耐えられようが耐えられまいが二人次第だ。




