41 覚悟を求めて
「いや、フィリナ王国最強は間違いだ。俺はフィリナ王国最強ではなく、この世界……いや、全ての世界の頂点に君臨するのがこの俺、ゼローグ様だ」
大胆不敵に笑み俺は言う。
「傲慢だね」
メロディアが言う。
「事実を言っただけさ。……さて、お喋りはここ迄、次は俺の攻撃だ」
俺は話しをやめて両手を、ピストルの様に構える。
「重力二重弾!」
俺はアルシアとメロディアに向けて、攻撃を放つと二人は防御する構えを取った。
「「――ッ!」」
アルシアとメロディアは攻撃を受けきれず後方に吹き飛んだ!
この程度の威力で受けきれないって……。
こりゃあ、不味いな……。
「生きてるか? 二人共」
俺は吹き飛んだ二人の安否を確認する。
「うん、大丈夫だよ。ゼロちゃん」
アルシアは立ち上がり言う。
メロディアも何も言わないが立ち上がる。
「一番弱く放ってそのざまじゃあ、シェリルは愚かレイナにすら勝てないぞ?」
俺は二人に言う。
まぁ、一番弱くと言っても車に撥ねられた位の、威力はあるだろうがな。
「そんなの分かってるよ」
メロディアは言う。
「分かってないさ、何にも。……自分達に戦う覚悟が無いって事がさ」
俺は二人に告げる。
このままだと、本当に不味い。
今は実力をつける事よりも、二人が戦う覚悟を決めないと……。
「覚悟ならあるよ!」
メロディアが反論するが俺はそれを遮りこう言う。
「ねぇよ。本当に覚悟があるなら、俺に手傷の一つは負わせてた」
これを聞きメロディアは黙り込む。
「今のお前達には戦う理由があっても戦う覚悟は無いみたいだな」
俺は二人に更に追い打ちをかける。
今の所、問題は二つ。
一つ目は何故、二人に戦う覚悟が無いのか。
二つ目は二人がどうやったら戦う覚悟を決めるか……。
一つ目の問題を解決しないと二人は永遠に戦う覚悟がないままだ。
二人が覚悟の無い理由……戦う事を躊躇ってるのか?
いや、それは無いか。
戦うのを躊躇ってるならレイナや、シェリルとは戦わない筈だからな。
だとしたら、二人に戦う覚悟の無い理由は何なんだ……?
皆目見当もつかねぇよ。
『もしかしたら、二人に戦う覚悟が無い理由は、相手を傷つける事を恐れているのかもしれないな』
不意にルイーザが言う。
傷つける事を恐れてるなら、俺に攻撃しないだろ?
『これは私の推測だが、お前に攻撃したのは、お前が不死身だからじゃないか? 不死身なら傷ついても直に治るだろう? だが、他の奴は違う。治療しない限り傷が治る事はないからな』
ルイーザは言う。
なるほど……。
確かにそれなら説明がつくな。
傷つける事を恐れてる、か……。
それが本当なら、二人がそう思う理由は明らかに過去の出来事が原因だな。
『他の誰かが苦しむ所を見たくない、か。戦う理由を見出した時にアルシアが言っていたな』
あぁ、苦しむ人達を出さない為に戦う。
それが、アルシアの出した答えだった。
……そんじゃ、本当かどうか二人に聞いてみますか。
「二人に聞くが、お前達は相手を傷つける事を恐れているんじゃないか?」
二人は顔を上げた二人はハッとした表情をしていた。
反応から見てルイーザの推測は、当たってたみたいだな。
「どうして……」
暗い表情でメロディアは言う。
「ルイーザの推測さ。それがお前達に覚悟が無い理由じゃないか、ってね」
俺は二人に歩み寄り言う。
「私達はどうしたらいいの?」
不安げな顔でアルシアが言う。
隣に居るメロディアも不安げな表情をしている。
俺は二人を安心させる為に、二人の頭に手を乗せこう言う。
「いいか、二人共。戦う覚悟ってのはな、相手を確実に殺すって言う、自分への暗示なのさ。じゃないと、少しでも躊躇ったりしたら逆に自分が殺られるからな。俺達が相手にするのはそういう奴らさ。生きる為には他の何かを殺さないといけない。人間が牛や豚、生き物を食べる為に殺すのと同じ様にな」
二人の頭を撫でながら俺は言う。
「だけど、レイナさんやシェリルさんは……」
アルシアは辛そうな面持ちで言う。
「自分達の事を殺さないって言うんだろ? 確かにあいつらは、そんな事はしないだろうさ。だけど、殺さずとも傷つける事は出来る。だから、どんなに辛くても覚悟を決めなきゃならない。覚悟ってのはそういう物だ。二人に聞くぜ? 今のお前達に戦う覚悟はあるか?」
二人の顔を交互に見て俺は言う。
二人は顔を見合わせると、力強く頷きこう言う。
「……うん。今なら自信を持って言えるよ。ゼロちゃん」
「私もお姉ちゃんと同じ、自信を持って戦う覚悟があるって言えるよ」
どっちも良い表情するじゃねぇか。
初めてあった時とは大違いだな。
成長したな、アルシアもメロディアも。
二人の成長に喜んでいるとルイーザがこう言う。
『まるで子供の成長を喜ぶ親の様だな』
子供ねぇ……。
確かに自分の子供の様な感覚ではあるな。
世の中の親ってのはこんな感じで子供と接しているんだな……。
『お前の年齢が他の者とは、比べ物にならない程離れているから、そんな風に思うんだろうな』
確かに、そうかもしれないな。
それに、リアンの世話をする様になった影響もあるだろうけどさ……。
『傍から見れば親子同然に見えるからな。お前とリアンは』
だろうな……。




