34 仲間以上恋人未満
「話しは済んだようだし、俺達は帰るぜ。ゼローグ」
俺との戦いで、ボロボロになったサタンが言う。
「あぁ。色々とありがとな」
俺は振り向きサタンに答える。
すると、サキュバスは俺に近づいて来て、そっと口づけを交しこう言う。
「またねぇ、ゼロぉ。あの時の返事、私は何時でも待ってるからねぇ。愛してるよぉ」
あ、やっぱ、まだ覚えてたのねぇ。
そこらへん、有耶無耶になってるかと思ってたんだけど……。
サキュバスはそう告げた後、他の魔王と共に屋敷から消えていった。
う、うーむ。
どうしよ……。
『何時までもはぐらかしてないで、はっきり答えたらどうだ?』
そうなんだろうけどさ……。
一緒に戦ってきた仲間って思うと……俺の中でストッパーがかかるって言うか、何というか……。
『お前の気持ちも分かるが、何時までも待たせる訳にもいかないだろう?』
ルイーザの言う事も、尤もなんだが……。
どうすっかなぁ、本当。
見事に覚えてるんだもんなぁ。
どうしてこうも悩み事が、増えていくんだろうか……。
事ある毎に悩みが増えるんだもんなぁ。
俺は悩み事の無限ループという名の、迷宮にでも迷い込んだじゃないだろうか……。
『苦労人だな』
本当だよ、ここまでくると自分が嫌になってくるわ。
……はぁ、悲しくなってきたなぁ。
『そういえば、一つ聞きたかったんだが魔王との戦いの際、限界突破者の維持時間が僅かだと、言っていたのに戦いが終わった後は、維持時間が伸びたと言っていたけど、どういう事なんだ? 発言が矛盾してるぞ?』
あぁ、それはなぁ、あの時は俺も限界突破者の維持時間は僅かな時間。
ほんの三十分くらいだと、思っていたんだが戦いの最中に、違和感を感じてな。
それで、臨界突破者の維持時間が伸びたと思ったんだよ。
『フッ、なるほどそういう事か。やはり、お前は天才だよ、ゼロ。臨界突破者になっていたのは、ほんの数分だったというのに、その数分で違和感に気づくとは……。……だがゼロ、三十分は僅かとは言わないと思うぞ?』
うるせぇよ、俺からしたら三十分は僅かな時間なんだよ。
いいか? つまりだな、仮に限界突破者の維持時間の限界が一年だとしよう。
そして、今までの臨界突破者の維持時間は三十分。
ほら、こう思うと僅かな時間だろう?
『うむ、分かるようで分からんようで分かる、のか? いや、やっぱ分かんないのか? うーむ』
なに、一人で自問自答してるんだよ。
それ、無限ループじゃねぇか?
それにしても、疲れた……。
『当然だろう、十二の魔王と全力以上で戦ったのだ。立ってるのがやっとじゃないのか?』
確かに、結構ガタがきてるな。
部屋で一休みして来ようかな。
『あぁ、そうした方がいいだろう。私も疲れたし少しの間、眠るとしよう。おやすみ、ゼロ』
あぁ、おやすみ、ルイーザ。
「お兄……今のは一体何でありんすか?」
怒気のこもった超えで凛は言う。
普通に怖い。
やべぇよ、めっちゃ見てるんですけど。
ガン見なんですけど。
久しぶりにこんな怒った凛を見た気がする。
凛の言う今のって、絶対にサキュバスとの事だよな……。
どう説明したらいいんだ……?
えーっと……。
「えっと、まぁ、サキュバスとは色々ややこしい関係と言いますか……仲間以上恋人未満と言うか、何というか……」
サキュバスとの関係の説明に困ったまま、俺は凛に答える。
「はっきりしなんし! ……恋人、でありんすか?」
不安そうな表情で凛は言う。
「いや、今はまだ違うよ」
俺がそう言うと凛は安心した表情でこう言う。
「よかった。……でも、今は、ね」
悪戯な笑みを浮かべて、凛は答える。
この凛の反応、もしかして、サキュバスも恋人になるとか思ってるんじゃ……。
いや、そんな訳ないよな。
うん、ない……よね?
大丈夫だよね?
いや、やっぱありそうだよ。
どうしよう……。
でも、俺の答え方的にそうとるのが普通か……。
って考えるのは後にしよう。
今は部屋で眠りたいからな。
「さぁて、俺は部屋で寝る。夕食は俺抜きでいいから。リアンにはちゃんと食べさせてくれ」
俺はリアン共に部屋に戻り、着替えてベッドに横になる。
ふわぁぁ。今日は何時も以上に動いた分、よく眠れそうだな……。
ふと、リアンを見てみると、気持ちよさそうに眠っていた。
「おやすみ、リアン」
リアンの頭を優しく撫で俺は言う。
……ルイーザの言うようにサキュバスとの事は、はっきりしねぇとな。
梨沙の様に、何時までも待たせる訳にもいかねぇし。
早い内に答えてやらねぇと……。
だけど……。
はぁ、俺はこういう時、どうしたらいいんだよ……。
セシリアが居たら、その答えを教えてくれたんだろうな。
夢でもいいからセシリアに会いてぇなぁ。




