29 奥の手
「やっと元に戻ったか……」
安堵の表情でマモンは言う。
元に、戻った……?
それって、どういう事だ?
サタンとバロールは、地面に倒れ伏し気絶している。
一体、こいつらに何があったんだ……。
俺は訳もわからず辺りを、キョロキョロと見渡していた。
「元に戻ったのなら、さっさと続きを戦るぞ。ゼロ……」
フラフラと立ち上がりサタンは言う。
「続きを戦るだと? お前らもうボロボロだろうが!」
満身創痍のサタンとバロールを見て、俺は叫んだ!
あんなボロボロの身体で、一体何が出来るんだよ!
戦うのは傷が回復してからでもいい筈だ。
なのに、どうして……。
「俺達の事はどうだっていい、どうせ死んでも復活するからな。分かったらさっさとかかって来い!」
なるほど、問答無用って事かよ。
あのバカ、一体何を考えてんだ。
……しゃあねえ、戦ってやるよ……。
俺は異空間から二本の大剣を取り出す。
一方は漆黒の大剣、もう一方は純白の大剣。
以前、凛と共に見つけた物だ。
この大剣が何なのかは、現在進行形で分からない。
分かっている事とすれば、オーラから察するに名剣という事だけだろうか。
二本の大剣を見てサタンは、一瞬驚いた表情となった。
この大剣が何なのか、知っているのだろうか……?
まぁいい、考えるのは後だ……。
「行くぞ、お前ら……」
二本の大剣を構えて俺は言う。
俺はサタン達目掛けて、飛び出していく!
サタン達は俺を迎え撃つ構えを取る。
俺はサタン達に向けて、無数の剣撃を放つ。
たが、サタン達はその全てを、華麗に躱していく。
これじゃ駄目か……。
満身創痍って言っても、それはサタンとバロールだけだからな。
他の奴らはまだピンピンしるからな。
つーか、あんなボロボロの身体で、良くこんだけ動けんな。
もう、殆どバケモンだろ……。
どういう身体の構造してるんだよ。
「これで本気じゃねぇだろ? ゼローグ」
余裕の表情でサタンは言う。
言ってくれるじゃねぇか……。
なぁ、ルイーザ……。久々にアレ、使ってみるか?
『まぁ、こいつらに勝つには、それしか方法が無いだろうからな。絶対に勝てる保証は無いぞ?』
まぁ、このままよりはマシさ。
『ふっ、そうかもな……』
そんじゃ、いっちょうあいつらに、見せつけてやろうぜ。
最強の龍と称された、不滅龍ウロボロス・ドラゴンの力をよ……。
『あぁ。……我らに全力を出させた事を、後悔させてやろうではないか!』
俺はアノ形態に至る為の、呪文を口にしてゆく。
「我に宿りし不滅の龍よ、眠りから醒めよ」
すると、俺の身体から漆黒のオーラが現れる!
「天変地異を超越せし我が力を見よ!」
漆黒のオーラは徐々に、俺の身体を覆っていく!
「汝の力を以て全てを滅ぼし、全てを無に帰す」
漆黒のオーラは俺の身体を覆うと、徐々に鎧を形成していく!
「我、不滅の衣を纏い滅びの力を奮おう!」
――刹那、漆黒のオーラは俺の全身を覆う、鎧の状態となっていた。
漆黒の鎧は、ドラゴンを模した様なデザインをしつつも、刺々しいデザインをしている。
得に肩の鎧は他よりも一層、刺々しいデザインだ。
手足の鎧だけを見れば完全に、ドラゴンの手足を鎧にしたのだと、誰もが思うだろう。
「漆黒の全身鎧か、それが、お前の奥の手か……」
俺の鎧姿を見てサタンが言う。
「不滅龍の全身鎧! これが、俺の……いや、俺達の全力だ!」
さて、この姿はあんまり長くは持たないから、さっさと勝負をつけねぇと。
『相手は魔神化した魔王だ、それも十二人。流石にこの姿でも苦戦は必至だぞ?』
分かってるよそんぐらい。
だから、全力の全力でいく!
俺は再び魔王達目掛けて、飛び出していく!
俺はサタンに向けて拳を放つ――。
「――がはっ!」
俺のパンチをまともに喰らったサタンは、大きく仰け反った!
俺は更にサタンに追い打ちをかける。
「調子に乗るなッ!」
俺に反撃を仕掛けサタンは言う。
俺は瞬時にサタンの攻撃を回避し、後方へ飛び退く。
それなら、これはどうだ?
俺は前方に腕を突き出し、掌に滅びの力を集中させる。
「させるかっ!」
魔眼の能力を使って、俺の動きを止めるバロール。
それなら、俺の動きを止めてる力を、滅びの力で消してやる!
「――なっ。お前にかけた魔眼の能力を滅ぼしたのか……ッ!」
驚愕した顔でバロールが叫ぶ。
これくらいの事、滅びの力でを使えばやれて当然だろうが。
「お前の能力、魔眼は視界に入った者に、様々な能力を付与する。……つまり、視界に入る前にお前を、ぶっ倒せばいいだけの事」
不敵に笑み俺は言う。
まぁ、マスク越しじゃ、俺がどんな表情してるかは、分かんねぇけどさ……。
我ながらなんとも滑稽な、脳筋プレイだこと。
……さて、こっからが本番だな。
バロールはどうにかなるとして、問題は残りの魔王だな……。
一番面倒なバロールの能力は、滑稽な作戦? で封じた様なもんだが、他にも面倒な能力持った奴が、何人もいるからな。
さてさて、どしたものか……。
余裕だろとか思ってたけど、やっぱり、ルイーザの言う様に苦戦は必至だな。




