24 限界
俺と凛は、ナナを除いたメンバーを正座させて、説教中だった。
ナナも見ていたらしいが、ほんの少ししか見ていなかったらしく、ナナは部屋の隅の方に立っている。
それに、説教中と言っても俺からは、あんまり言ってない。
説教をしてるのは主に凛の方だ。
まぁ、それもそうだろう、オリヴィア達が倒れて来なければ、俺と凛はオリヴィア達が見ている中、あのまま、その先をしようとしていたのだから。
しかも、凛は初体験……。
まぁ、昼っ間から広間であんな事を、しようとしていた俺達にも、非はあるだろうが……。
「お兄からも言ってほしいでありんす!」
すると突然、凛から声をかけられた。
「へ?」
気を抜いていた事もあり俺は、間の抜けた声を出す。
おまけに、今までの話しを全く、聞いていなかったから、状況がよく分からない。
凛はどうして俺に話しを振ったんだ?
「へ? じゃないでありんす! 危うくわっちらの初体験が、皆に見られる所だったんでありんす!」
そう言い、凛は怖い顔をして俺に迫ってくる。
俺はその気迫に気圧され、一歩下がった。
「分かった、分かったから……。そんな怖い顔しないで、ね?」
俺は怒る凛を宥める。
「きゅうぅぅ」
すると、抱っこしていたリアンが、力無く鳴いた。
リアンに視線をやると、自分のお腹を手で擦っていた。
その仕草からするに、どうやらリアンはお腹が空いた様だった。
まぁ、無理も無いか既に、お昼寝過ぎてるし……。
ん? てことは俺達の説教は、一時間にも及んだのか……。
時間の流れって早いなぁ。
よく、楽しい時間はあっという間、と言うが、俺はこの説教している時間が、楽しかったのだろうか。
「一度、説教タイムは中断して飯にしない?」
俺は凛にそう提案すると、凛はゆっくり頷いた。
良かったぁ……これで断られたら、リアンの我慢の限界が、来てただろうからな。
「私は、昼食の準備をして来ますね、ご主人様」
ナナは一礼をすると、広間から出て行った。
やっと、飯が食える。
俺も結構、限界が来てたからな。
さぁて、昼食が来るまでソファーで座って待ってるか……。
俺に続き、凛や正座していた面々が、ソファーに座り始めた。
空気が重い……。
この張り詰めた空気の中、リアンは何時もの様に楽しそうにして、ご飯を待っていた。
……一切の会話が無いんだけど!
全員が下向いてんだよ!
普段じゃありえないくらいの、張り詰めた空気が流れてんだよ!
くそぉ! 気まずくて仕方ねぇんだよ!
ちくしょー! 早く昼食、来てくれぇ!
この張り詰めた空気を、どうにかしてくれぇぇぇ!
凛の胸に飛び込んで、この空気から解放されてぇぇ。
でも、そんな事したら余計に、空気が重くなって、その空気に耐えられなくなり、また、凛の胸に飛び込む。
そして、見事、悪循環という無限ループが始まる。
……頼むよ、ナナぁ、こっちはもう限界なんだよ!
もう、いっそ、食パンでもいいから、早く来てくれぇぇぇ!
何かしてねぇと、この空気に耐えられねぇんだよぉぉぉ!
もう、色んな意味で限界なんだよ……。
誰でもいいから、この張り詰めた空気から、俺を解放しくれぇぇ……。
昼食を待ってから三十分が経過した。
まだ、昼食はこないのか……。
どうやら、リアンも限界の様で、さっきから腹の虫がなりっぱなしだ。
すると、扉が開かれてナナが、台車に昼食を乗せて、広間に入って来た。
漸く、漸く、飯が食える……。
昼食は天ぷらかぁ、具材は海老、かぼちゃ、ちくわ、さつまいも、かき揚げ、レンコン、大葉、イカ、種類豊富だ!
「いただきます!」
全員で合掌した後、各々天ぷらを食べ始める。
と言っても、俺の場合、リアンに食べさせてからじゃないと、食べれないんだけどさ。
取り敢えず、リアンの口に合いそうなちくわを、箸で掴んでちくわをたれにつけて、リアンに食べさせる。
「きゅう!」
随分も気に入った様でリアンは、ちくわを指差しおねだりした。
俺はちくわを取り、リアンにちくわを食べさせる。
俺はリアンにちくわ以外の物を、食べさせるがちくわ程、気に入った様子は無かった。
育児って大変だ。
ゆっくり飯も食えないのだから……。
リアンにご飯を食べさせ終えて、俺はそう思った。
昼食を終えたリアンは、俺の膝の上で寝息をたてている。
温かかった天ぷらはすっかり、冷めてしまっている。
漸く、飯を食えたと思えばこれだからな……。
最近は疲労が溜まることばかり起きる。
偶にはゆっくりしてぇなぁ。
って言ってもなぁ。
せめて、リアンが一人で飯を食えるようになれば、俺も楽なんだけどなぁ。
「ごちそうさん」
食べ終えた皿を台車に乗せた後、リアンをベッドに寝かせる為に、俺は広間を出た。
部屋にリアンを寝かせた後、俺は地下施設に籠り一人で修行を開始した。
可能性の塊……。
今の俺の一番の悩みの種。
まぁ、取り敢えずは臨界突破者、限界突破者、この二つの維持時間を伸ばす修行に専念しよう。
俺は変化する鎧の臨界突破者状態になり、座禅を組み瞑想を始めた。




