20 今よりも強く
シェリルとの戦いから一週間がたった。
ここ最近、俺は毎日地下室で臨界突破者と、限界突破者の維持時間を伸ばす為の修行をしていた。
修行の内容は臨界突破者の状態で瞑想したり、同じく臨界突破者状態でルイーザと手合わせをしていた。
勿論、限界突破者も同様の修行方法だ。
……俺は今よりも、強くならないと。
……じゃねぇと、また、大切な奴を失っちまう……。
いけねぇ、今は瞑想中だったな。
心を落ち着けねぇとな。
……。
…………。
「ふぅ」
やっぱり、身体を動かしていた方が、余計な事を考えなくて済むし、ルイーザと手合わせでもするか。
聞こえてただろ? ルイーザ。
『あぁ、それじゃあ、手合わせしようか』
ルイーザはそう言って、俺の身体から現れると、少し距離をとった。
「行くぞっ!」
俺とルイーザは飛び出して行き、攻防戦を繰り広げる。
俺の身体からルイーザが出ている為、今現在の俺は不滅ではなく、不死身の状態だ。
俺は臨界突破者となった、神器、煉獄でルイーザと手合わせをしている。
煉獄の鎧は触れれば、一瞬で全てを焼き尽くす。
正確には溶かすって言うのかな?
まぁ、ウロボロス・ドラゴンであるルイーザには、無意味だけどな。
どんなに煉獄の鎧に触れようが、ルイーザの身体は瞬時に再生する。
これが、ドラゴンの中で最強と謳われる、不滅龍ウロボロス・ドラゴンのルイーザ。
いや、ドラゴンの中じゃなくても、その力は世界最強か……。
まあ、そのお陰で俺は、この神器でルイーザと戦う事が出来るんだけどさ。
「やっぱ、強ぇなルイーザは……」
ルイーザと手合わせをして、俺は改めてそう思った。
全てを滅ぼす事が出来る滅びの力。
どんな攻撃も意味を成さない不滅の身体。
その気になれば、神どころか世界すら、滅ぼす事が出来る強大な力……。
流石、伝承に記されるだけのことはある。
「ふっ、当然だ。だが、お前も十二分に強いじゃないか」
ルイーザは右腕をドラゴンの腕にして殴りながら言う。
「ふっ、当然!」
俺は右腕から煉獄の炎を噴射して、ルイーザに殴りながら言う。
「はぁぁぁぁぁあああああ!!」
「おらぁぁぁぁぁあああああ!!」
俺とルイーザは飛び出し、互いに空中で高速の拳打を繰り出す!
あまりの速さで腕が何本も、あるかのように見える程だった。
シェリルとの戦いの時もそうだったが、強い奴との戦いは、楽しくて仕方がない。
この世界の奴ら全員が、シェリルやルイーザくらい強かったら、俺は退屈せずに済むんだけどな……。
地面に降り立ち、俺は息を整えていた。
ルイーザの方は息一つ乱していなかった。
全く、とんだ、バケモンだよ。
「はぁ、はぁ。……そろそろ、臨界突破者を維持するのがキツくなって来たな」
臨界突破者の状態を維持して約三時間か……。
シェリルの時は二時間だったから、一時間伸びたのは大きい。
だけど、これでも、まだまだだ。
もっと臨界突破者、そして限界突破者の維持時間を伸ばさないと……。
途端、途轍もない疲労感が俺を襲い、倒れそうになったがルイーザが、俺を支えてくれた。
「ありがとな、ルイーザ」
俺はルイーザの肩を借りて言う。
「今日はここまでにしよう。ゼローグ」
地下から、上がる出入り口に向かいながら、ルイーザは言う。
臨界突破者と限界突破者の維持時間、どうにかして、もっと伸ばせる様にならないかなぁ。
最低でも、一ヶ月くらいは維持できる様にならないと……。
はぁ、どうしたもんかなぁ……。
それに、毎回、修行終える度にこれじゃあな……。
本当、どうしたものか……。
「三日で一時間か……」
シェリルは今、何してんだろうな。
やっぱり、あいつも臨界突破者の維持時間を、伸ばす修行でもしてんのかな。
……俺は、今よりも強くなれんのかな。
「あんまり、煮詰めるなよ。ゼローグ、身体を壊すぞ」
地下室から出て俺を、ベッドに寝かせたルイーザが言う。
「あぁ……」
俺は気のない返事をする。
何だか、眠くなった来たな……。
*****
「うぅん」
目を覚ますと隣には、着ぐるみパジャマ姿の凛と唯が居り、俺のお腹の上にはリアンが、気持ち良さそうに眠っていた。
そうか、俺はあのまま眠ったんだな……。
『それ程、疲れが溜まっていたんだろうな』
だろうな、あんな修行を三日も続けて、やっていればな……。
俺は以前、サタンが言っていた事を、思い出していた。
「……可能性の塊、か」
こんな所でそれが弊害になるか……。
前途多難だな。




