17 開かれた未来への扉
互いに臨界突破者となり、シェリルは全力で俺は三割の力で、肉弾戦を繰り広げていた。
シェリルは先程までの魔力の攻撃はせず、自らに強化魔法をかけて、拳を打ち出してくる!
しかも拳一発、一発が先程放った魔力の弾並の攻撃力がある!
放たれた拳を防ぐ度に腕に衝撃が奔る!
流石にこれ以上喰らうと腕が逝くな。
まぁ、どうせ直ぐに治るんだけどさ!
それにしても、シェリルは魔導師の筈だが、それを感じさせない程の身のこなしだ。
これは、思ってた以上に楽しめそうだな……。
「どうしたんだい? さっきから防戦一方じゃないか。この程度でお手上げじゃないだろう?」
拳での攻撃をする中シェリルが言う。
「勿論さ。なぁに、思いの外楽しめそうで嬉しくてなぁ。こっからがお楽しみの時間さ」
俺は変化する鎧を瞬動の鎧から、連撃の鎧へと変える。
瞬動の鎧は高速移動が可能になるが、攻撃力や防御力は殆ど無い等しい。
ここは肉弾戦が得意な連撃の鎧の方がいいだろう。
瞬動の鎧から連撃の鎧へと鎧を変えたことで、シンプルなデザインをしていた全身鎧から、手足の鎧は重厚感のある鎧へと変化し背中には、ロケットのブースター……バーニアの様な物が、左右三つの合計で六つ追加されている。
背中のブースターで、スピードをカバー出来る様になっているのだ。
俺はシェリルに向かって突貫して行く!
その際、背中のブースターからは炎が噴出される!
それを見てシェリルは、防御する構えを取った。
どんな能力なのか分からない為、シェリルは無闇に攻撃出来ないのだろう。
俺はフェイントを入れて、シェリルに拳を放つ――。
「――っ!」
すると、シェリルは見事にフェイントに騙され、後方へと吹き飛んでいった!
俺はすかさず飛び出していき、吹き飛んでいったシェリルを追いかける!
シェリルは空中で体勢を建て直すと、両手から魔力の弾を打ち出してくる!
俺は両手でガードしたまま、飛行しシェリルに向かっていき、シェリルの背後を取り蹴りを繰り出す!
シェリルは俺の蹴りを、同じく蹴りで相殺した!
三割の力と言えど臨界突破者状態の俺の蹴りを、同じ蹴りで相殺するとはな……。
本気は伊達じゃないって訳だ……。
にしても、能力が分からない状態で、攻撃してくるとはね。
まぁ、だからこそ後手に回らない為に、攻撃したのかもしれないな。
さぁて、次はどんな手でいこうかな。
といっても、まだ連撃の鎧の能力を使ってないし、それを使って駄目だったら、次の手を考えるとしようかな。
「行くぜっ!」
俺は再びシェリルに向かって、飛び出していく。
繰り出すは高速の拳打!
シェリルは俺の放つ、高速の拳打に翻弄され防戦一方となり、さっきと逆の立場となる。
放たれた拳はシェリルに打たれる度に、速度を増していく!
シェリルは俺の放つ拳の速度が、増している事に気付き、うんざりそうにしていた。
――刹那、俺の視界からシェリルの姿が消えた!
さっきまで目の前にいた筈の、シェリルの姿が何処にも無いのだ!
連撃の鎧の能力に気付いて、魔法で瞬間移動して、距離を取ったのか?
多分、そうだろうな。
俺は辺りを見渡すが、それらしき姿は何処にも無い。
シェリルを探す中、突如、途轍もない疲労感が俺を襲った!
俺は思わず片膝を付き肩で息をしていた。
はぁ、はぁ……これは、一体……。
『これだけ長時間、臨界突破者の状態を維持した事が無いから、限界が来たのだろう……』
そう言うのは、俺に宿っている最強の龍、不滅龍ウロボロス・ドラゴンのルイーザだ。
俺が臨界突破者になってから、どれだけ時間が経ったんだ?
『約二時間だ』
長時間、臨界突破者状態を維持する修行も、はぁ、はぁ、するべきだったな……。
『仕方あるまい、そもそも臨界突破者にならずとも、お前は十分に強いのだからな』
次からは、臨界突破者の長時間維持の修行もしねぇとな。
この状態でシェリルと合うのは、ちと不味いな。
まぁ、それでもやるしかないんだろうけどさ……。
息を整えていると、消えていたシェリルが目の前に現れた。
シェリルも俺と同様に、肩で息をしている状態だった!
「人とのデートを放ったらかして、何処に行ってたんだよ?」
息を整えてフラフラと立ち上がり、俺はシェリルに言う。
「それは悪かったね。結構キツかったからね、隠れて休憩していたのさ」
そう答えたシェリルの全身鎧は、さっきの俺の攻撃で鎧の一部が、破損していた。
鎧が再生するのが大分遅いな……。
まだ両手は握れる。だったらまだまだ戦れるな。
構える俺を見てシェリルも構える。
俺達はヨロヨロと近づき殴り合う!
連撃の鎧の能力で攻撃の速度が上がっていくが、流石に限界が来た様で臨界突破者が、解除されてしまった!
それでも俺はシェリルへの攻撃を続ける。
互いに顔面を幾度も殴り合う!
殴り、殴れ、また殴る。ただそれだけ、ただそれだけの殴り合い。
流石に生身で臨界突破者状態の顔面パンチを喰らうと、何度か意識が飛びそうになる。
とうとう、シェリルも鎧の維持が出来なくなり、臨界突破者が解除される!
瞬間、俺の拳がシェリルの顔面を捉える!
本当は女の子を殴るなんて事は、したくないんだけど、でないとこっちが殺られてしまうので、今回だけは特別だ。
「くっ!」
俺の拳を顔面にモロに喰らい、蹌踉めくシェリル!
俺はそのスキを狙い拳を放つ。
一瞬遅れてシェリルも拳を放った!
互いに顔面にパンチを喰らって、俺達は尻餅をついた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。まだだぁ」
「ボクだってぇ……はぁ、はぁ、まだだぁ」
お互いにヨロヨロと立ち上がり拳を握り、最後の力を振り絞り拳を放つ。
「おらぁぁぁぁぁあああああ!!!」
「はぁぁぁぁぁあああああ!!!」
――刹那、不思議な感覚が俺を襲った!
俺はシェリルの拳が当たる直前で、華麗に中を舞い攻撃を躱していた!
今のは何だ? 最早、立つのがやっとだった筈だ……。
今の俺に攻撃を交わす体力も、無かったのに……。
すると、再び、不思議な感覚が俺を襲うと、今度は俺から黄金のオーラが出現した――。
これは、一体……。




