16 ここからが本番
俺が今使っている、神器変化する鎧、防御の鎧には三パターンの変化方法がある。
まず一つ目は、腕に大きさを変える事ができる盾が付いた、物理攻撃以外を防御するのに長けた状態。
二つ目は、装備した腕が極太に変化し物理攻撃を、防ぐのに特化している状態。
そして、三つ目は極太の腕に大きさを変えられる盾が付いた、一つ目と二つ目の良いとこどりの状態。
今俺が装備しているのは一つ目の状態だ。
さて、この防御の鎧で戦うのはキツいし、他の鎧を装備しようかね。
うーむ、何の鎧にしようかなぁ。
迷うなぁ……。何がいいかなぁ。
よし、あの鎧にしよう! ……フフフ。
「装備、瞬動の鎧!」
装備していた防御の鎧は光となって消え、新たに風の抵抗を極限まで無くした、シンプルな鎧になっている。
「別の鎧か。一体どんな能力なんだ?」
変化した鎧の能力を見て、興味深そうにシェリルは言う。
「ふっ、直ぐに分かるさ――」
俺は瞬動の鎧の能力を使い、シェリルの後ろを取った!
俺は背後からシェリルの腰に、蹴りを入れようとしたが、シェリルはそれを察知して、ギリギリで回避した!
「なるほど、高速移動を可能にする鎧か、随分と厄介だね……。さて、どうしたものかな……」
シェリルは顎に手をやり暫しの間、打開策を考えている様だった。
さぁて、どんな手で来るかな……。楽しみだなぁ。
「よし! この手で行こう」
お、やっと来るか。
シェリルの攻撃に備えて俺は構えを取る。
シェリルは杖を振り上げると杖の真上に、巨大な魔法陣が展開された!
すっげぇ、あんなにでかい魔法陣は初めて見たかもな……。
俺は魔法陣のあまりの大きさに、唖然としていた。
一体、どんな攻撃がくるんだ……?
――刹那、巨大な魔法陣から無数の火、水、土、風属性の魔力の弾が豪雨の様に打ち出された!
威力はさっきの炎の弾よりも何倍も上だ!
俺は瞬動の鎧の能力で高速移動し、豪雨の様な魔力の弾を掻い潜り、シェリルに接近する!
俺は再び背後に回ろうとするが、魔力の弾がそれをさせない。
どうすっかなぁ。
ちっ、仕方ねぇ、ここは、回避に徹するか……。
魔力の弾を交わしながら思ったが、三割の力を使わせるって言うけど、今の俺は一割の力しか使っていない。
……シェリルは本当に本気で、戦っているのか?
これが、シェリルの本気?
だとしたら、期待はずれすぎるぞ。
こんなんじゃ、楽しめそうにないな。この戦い。
これが本当に全力なのか、シェリルに聞いてみるか……。
俺は魔力の弾を交わしながら、シェリルに聞く。
「おい、シェリル。まさかこれが、本気じゃあないよなぁ?」
「勿論、今の私の力は三割くらいかな」
シェリルは無数の魔力の弾での攻撃を辞めて言う。
それなら良かった。
これで本気だと言われたら、間違いなくキレてたな俺。
これが本気じゃないなら、マジで期待できるな。
「だったら、そろそろ本気で来いよ。準備運動はもういいだろ?」
俺はシェリルの本気が待ちきれず、シェリルに本気を出すように言う。
「そうだね、君も痺れを切らしている様だしね! それじゃあ、お望み通り本気を出すとしようかな」
そう言ってシェリルは、杖を前に突き出して息を整える。
やっと、シェリルの本気が見れんのか。
さぁて、どんなのが来んのかなぁ。
俺の三割の力というと臨界突破か……。
シェリルの本気は臨界突破を使うに値するのかどうか、見せてもらおうじゃないか。
「行くよ! ゼローグ殿! 臨界突破!」
――っ! ハハッ! 本気かよっ!
まさか、シェリルが臨界突破を使えるとは……。
シェリルの持っていた杖は、光り輝き粒子となりシェリルの全身を覆っていく!
光の粒子はシェリルの全身を覆った後、鎧を形成していく!
あれが、シェリルの所有する神器全てを従えし魔術の王女の、臨界突破者の姿か……。
まるで絵本に出てくる様な魔女を模した黒い全身鎧だが、王女が着るようなドレスにも見える。
……あぁ、そうか……。
それで魔術の王女って訳ね……。
「フフフ、ククク、フハハハハハハハ! 本格的に面白くなってきたじゃねぇかっ!」
いいぜ、いいぜ。
最っ高に面白くなってきたぁ!
久しぶりに本気で、楽しめそうな戦いになりそうだ!
「臨界突破者、全てを従えし魔術の王女、全身鎧!」
何だと!? 臨界突破者になって神器の名が変わった?
そんな臨界突破すると名前の変わる神器があるのか……。
まぁ、考えるのは後だ。
そんじゃあ、俺も臨界突破するとしよう。
「臨界突破!」
変化する鎧は光の粒子となり、俺の全身を覆った後鎧を形成する!
「臨界突破者! 変化する鎧、全身鎧!」
そういえば、変化する鎧の臨界突破者状態で、戦うのはルイーザとの修行を除けば初だな。
「――っ!」
シェリルは俺の変化に驚くが、直ぐに気を取り直した。
「さぁ! ここからが本番だ! 行くぞ、シェリルぅぅぅ!」
俺とシェリルはお互いに飛び出して行き、俺達の戦いは先程よりも更に激化した――。




