15 最強、故に孤独
フハハハ! 良いぜ、良いぜ!
久しぶりに俺を心底、楽しませてくれる戦いだぁ!
楽しくて仕方ねぇなぁ!
「この激しい戦闘の中、随分と狂気的な笑みを浮かべるんだね」
魔法を使って俺を攻撃しながら、シェリルが言う。
「こんなに激しい戦闘は久々だからなぁ、楽しくて仕方ねぇのさ!」
グラムを振り下ろし俺は言う。
毎日こんな戦闘が起これば、俺も退屈せずに済むんだけどなぁ。
まぁ、俺とこんだけ激しい戦闘が、タイマンで出来る奴なんて、殆どいないからな。
シェリル達の様に、こうやって束になって戦うしか、方法がないしな。
俺と全力で戦り合える奴なんて、この世には居ねぇのかな……。
いや、居ないから俺はこんな退屈という名の、苦痛を味わう羽目になってんのか……。
「……つまんねぇな」
シェリル達に聞こえないくらいの、小さい声で俺は言う。
どんなに戦っても俺は満たされない……。
結局、この世界に来ても俺は退屈な日常を、過ごす羽目になんのかよ……。
……俺は……何がしたいんだ……。
シェリル達と戦闘している事を忘れ、俺は呆然と立ち尽くしていた。
「ん? 急にどうしたんだ?」
訝しげな表情をしてレイナが言う。
シェリルや二人の男も同様の反応だ。
「つまんねぇ……。俺は何時になったら満たされる? 俺の渇きは何時になったら潤される?」
俺は俯いたままシェリル達に言う。
「何を言ってるんだい?」
シェリルが怪訝な表情で言う。
「どいつもこいつも雑魚ばっかで、戦っても戦っても俺は満たされない。剣の一振りであっという間に死んでいく。……なぁ、教えてくれ……俺は何時になったら、満たされるんだよぉぉぉぉおおおお!!!」
俺は声を荒げてこの行き場のない、怒りをシェリル達にぶつける。
その際に俺はグラムを地面に、振り下ろした事で地震には大きな、クレーターができていた。
俺はグラムの一振りを回避した、シェリル達に攻撃を仕掛ける。
「最強、故の悩みと言ったところか……」
グラムを一撃を魔法で、防御しながらシェリルが言う。
そう、シェリルの言う様に強くなり過ぎた俺故の悩み。
誰も解決する事のできない……永久の悩み。
「……この世界に戻って来ても、いい事なんて何一つ無い……」
俺は再び呆然と立ち尽くす。
最早、今の俺に戦う意思は無かった。
これじゃあ、レイナ達の事を言えないな。
……はぁ、……俺はどうしたらいい。
「レイナ、ヴォルク、ロイド! お前達は下がっていろ!」
レイナ達にそう言うと、シェリルはマントを脱いだ。
レイナ達は、シェリルがマントを脱ぐのを確認すると、静かにその場から離れた。
シェリルのマントの下は、動きやすいラフな格好をしていた。
つーか、あの二人の男の名前、ヴォルクとロイドって言うのか、まぁ、どうでもいいけどさ。
「最強の騎士ゼローグ殿! ボクはこれからボクの全力を以て、貴方と戦おう! 全力の戦いは無理でも、せめて、貴方に三割くらいの力を使わせて、この戦いを楽しませてみせよう!」
声高らかに宣言するシェリル、今まで本気じゃ無かったのか……それなら、少しは期待出来るのだろうか……。
……三割のくらいの力、か。
シェリルは手元に魔法陣を展開すると、そこから派手な装飾がされた、杖を取り出した。
杖の柄の先には、夜空の様に綺麗な水晶が有り、金色のリングが周りを囲んでいた。
まるで、土星の様なデザインだな。
そして、水晶の反対側、もう一方の柄の先には、ひし形のクリスタルが埋め込まれていた。
随分と凝ったデザインの杖だ。
「お前の本気、期待してもいいのか?」
俺はシェリルの本気が、俺を楽しませてくれるのか、期待を込めてシェリルに問う。
「あぁ、期待していてくれ。ふぅ……神器解放! 全てを従えし魔術の王女!」
シェリルは取り出した杖を前に出し言う!
あの杖、神器だったのかよっ!
どうやら、本当にシェリルの本気に期待出来そうだ。
「フフフ」
あまりの嬉しさに、俺は笑みをこぼしていた。
俺はグラムを異空間にしまった後、異空間から変化する鎧を取り出して腕に装着する。
腕に装着後、俺は変化する鎧を神器解放する。
神器所有者と戦うのは、修行の為に戦ったオリヴィアを除けば初だな。
「始めようか、第三ラウンドを……」
俺は準備を整えてシェリルに言う。
「ボクの全力を貴方にぶつけさせてもらう!」
シェリルも杖を構えて、真剣な眼差しで言う。
シェリルは神器全てを従えし魔術の王女を一振りすると、一つ一つがとてつもない火力の炎の弾を、無数に繰り出していく!
「装備、防御の鎧!」
俺が言うと装備した変化する鎧は大きさを変えられる盾が付いている。
俺は盾を人一人隠れる位の大きさにして、無数の炎の弾を防ぐ構えを取った。
「この攻撃を防ぐか……」
シェリルの言う様に俺は無数の炎の弾を、防御の鎧で見事に防いでいた。
「楽しくなって来た」
俺は不敵に笑いシェリルに言う。




