13 疑問
面倒くせぇ。非常に面倒くせぇ。
つーか、人ん家に不法侵入してんじゃねーよ。
何なんだこいつら。
こいつらの目的がさっぱり分かんねぇ。
人工生命体を奪う事が目的じゃねぇのか?
こいつらは人工生命体研究所を襲い、今度は俺の屋敷に不法侵入。
……考えるのは後だ取り敢えず屋敷から、別の場所に移動しよう。
「空間移動!」
空間移動を発動して屋敷から離れた場所に移動した。
辺りは見渡す限りの荒野だ。
瞬時に別の場所に移動した事に、驚くレイナ達だが直ぐに、俺の仕業だと理解した様だった。
さぁて、戦り合う前にレイナ達の目的を聞こうかね。
そもそも、レイナ達は質問に答えてくれるのだろうか……。
……まっ、答えてくれなかったら力ずくで、教えてもらうとしよう。
「お前達の目的は何なんだ? 研究所を襲ったと思えば、俺の屋敷に侵入するなんてさ」
俺はレイナに聞くがレイナは、不敵に笑いこう言う。
「知りたいなら私達に勝つ事ね……」
はぁ……。やっぱり、こうなるか。
仕方ねぇし、力ずくで教えてもらおう。
はぁ……。本当、面倒くせぇな。
俺、主人公だよねぇ!? 主人公ってこんなに、面倒くせぇ事に巻き込まれんの?
……はぁ、愚痴っても仕方ねぇや。さっさと戦り合おう……。
俺は異空間から魔剣グラムを取り出し構えた。
――が、途端、魔剣グラムは光り輝き俺は、あまりに眩しくて瞼を閉じた。
瞼を開けるとそこには容姿端麗な美少女が居り、俺はその美少女の手を握っていた。
眼前の美少女はとても大人びた、雰囲気を放っている。
胸元の空いたセクシーなドレスを着ていて、少し動いただけでも豊満な胸が溢れそうだ。黒よりも黒い地面まで届きそうな、漆黒の長い髪に、吸い込まれそうになる綺麗な銀色の瞳、白く細い手足は少し力を入れると、簡単に折れてしまいそうだ。
「え?」
俺はあまりの出来事に、間の抜けた声を出す。
後ろに居るエスフィールも、ポカンとした表情をしている。
こんな、衝撃的な事が起こればそんな顔にもなるのも当然だ。
……えーっと、この状況を察するにもしかして、いや、もしかしなくてもこの少女は――。
「マスターっ!」
少女は俺はそう呼ぶと突如、抱きついて来たのだ!
……マスターって、やっぱりこの少女は魔剣グラムぅぅぅううう!?
え? え? どういうメカニズム!?
何で魔剣が人間になってんの!?
魔剣って人間になれんの!?
何でぇぇぇぇぇえええええ!!!
最早、俺の頭の中かは疑問しかなかった。
当然だろう、いきなり魔剣が光り輝いたと思えば、人間の姿になっているのだから。
最近はこういう事ばかり起こる。
俺の頭は既にパンク寸前だ。
「会いたかったよぉ、マスターぁ。ずっと寂しかったんだからぁ」
俺に抱きつくグラムは続けて言う。
寂しかったって……まぁ、確かにグラムを使うのは、かなり久しぶりだけども……。
取り敢えず今は魔剣の姿に戻ってもらおう。
このままじゃ、何時まで経っても戦えない。それに、俺とグラムの間でサンドイッチ状態の、リアンが可哀想だしな。
「えーっと、悪いけど今は魔剣の姿になっててくれないか? グラム」
俺が言うとグラムは素直に「はい、マスター!」と言って魔剣の姿に戻った。
ふぅ。あぁー、疲れた。
さっさと、レイナ達の目的を力ずくで聞くとしよう。
「よし! 行くぞっ!」
俺はレイナへと飛び出して行く!
レイナは腰に下げた剣を引き抜き構える。
それが、開戦の火蓋となった――。
俺はレイナと二人の男達と幾度も刃を交える。
端から見れば、俺の方が圧倒的に不利だろうが、実際はその逆だ。
レイナ達がまともに戦えているのは、俺が力を抑えているからだ。
そうしなくては、レイナ達はグラムの一振りで、木っ端微塵となっていただろう。
戦いの最中、レイナがこう言ってきた。
「ずっと疑問だったのだけど、その漆黒の剣魔剣よね? 悪魔しか扱えない魔剣を貴方が……」
「理由は単純明快さ」
レイナの一撃を華麗に躱して俺は言う。
俺は一度レイナ達から距離を取ると、グラムを地面に突き刺す。
久しぶりに戦るぜ、サタン!
『おう!』
俺とサタンは交互にあの呪文を口に出す。
「我に宿りし悪魔の王よ」
『我が宿りし最強の騎士よ』
俺達が呪文を唱えると、俺の身体から黒いオーラが現れた!
「『眠りから醒めよ』」
俺の身体から出現したオーラは、俺の身体を徐々に覆っていく!
「我、悪魔の王サタンと成りて」
『汝を覇道の極致へと誘おう!』
黒いオーラは俺の全身を覆うと、中にいるサタンと融合する様な感覚がやってくる。
俺の身体の変化が終わると、黒いオーラは消え去った。
「魔王化、サタァァァァアアアアン! ……ふぅ。これが、俺が魔剣を扱える理由だ」
俺の姿を見たレイナ達の顔は、恐怖で歪んでいた。
ククク。いい表情だ。やはり、恐怖で歪んだ人間の顔はいつ見ても面白い……とか、本物の魔王なら言うのだろうか……?
さぁて、第二ラウンドと行きたいが、奴らに戦う意思がまだあるかどうか……。
まぁ、あの状態じゃ戦闘不能かな。
もう少し、楽しみたかったんだけどなぁ、残念だ。
まぁ、魔王を前にしていれば、当然の反応なんだろうけどさ。




