12 やっぱり無理でした
……はぁ。
終わりが見えん。
星の数程有るであろう研究資料を見ながら、俺はそう思った。
どうしたものか……。
考えれば考える程、面倒くさくなってくる。
もうさ、この研究所調べるの辞めにしない?
五人だけじゃどうしようもねぇ。
……やっぱ、一度屋敷に戻ってナナ達を連れて来ようかなぁ。
……よし! そうしよう! このままじゃ本気で、終わりが見えないからな。
「なぁ、一度屋敷に戻ってナナ達を連れて来ないか? いくら、この研究所の時間を早くしてると言っても、この人数じゃ流石にむりがあるし、食料の問題もあるしさ」
俺は同じく研究資料を調べていた、梨沙達に提案する。
今頃ナナ達は何をしてるのかなぁ……。
この研究所では二時間が経った頃だから、外だと二秒か。ここに来るのに約十分程だから……。
……十分じゃ今頃、何してるもクソも無かったな。
時間が早いからか、感覚がズレまくってるな、こりゃ。
「賛成でありんす!」
研究資料を元の棚に戻して、両手を上げて凛が言う。
「妾も賛成だよ、旦那様。この人数じゃどう考えても無理だったからね。……というより、最初に気づいていれば、少しは調べるのが楽だったのにねぇ」
腕を組んでうんざりげに唯が言う。
唯の言う様に、最初に研究資料のあった部屋で、あの量の研究資料を見た時点で、気づけばよかったよ。
「私も賛成、と言うより正直飽きたし……はぁ」
手を上げため息をついて、梨沙が言う。
正直に言ったな、飽きたって……。
まぁ、確かにこんだけの量を見てたら、飽きるわな。
俺も飽きてるし……。
「リィアレもそれでいいだろ?」
研究資料を熱心に見ていたリィアレに聞くと、熱心に研究資料を見ていたせいか、暫くした後にリィアレはこう言った。
「はい、それで構いません」
研究資料を元の棚に戻し頷くリィアレ。
それじゃあ、一度屋敷に戻るとしよう。
俺は空間移動を発動して、屋敷の広間に移動した。
「あぁ、疲れた」
俺達はソファーにだらしなく座り、疲れを癒す。
端から見たら只の親父に、見えてるんだろうなぁ。
「随分お早いお帰りでしたね、ご主人様」
ナナが俺達の分のお茶を淹れて、テーブルに出してくれる。
俺は姿勢を正してお茶を一気に喉に流し込むと、再びソファーにだらしなく座った。
ふぅ、……やっぱりあの研究所調べるの、また今度でいいんじゃね?
……って、やっぱ駄目だよな。
結局は先送りにしてるだけだ。
やっぱり、全員で行ってちゃっちゃと調べた方が良さそうだな……。
……まぁ、全員と言ってもエスフィールは留守番するんだろうけどさ……。
……はぁ。
ここ最近、ため息ついてばっかだな俺。
そんだけ、俺を悩ませる事だらけって事か……。
さて、あんまり長い事休んでると、調べたくなくなるし、さっさと行こう。
俺はナナ達に帰ってきた理由を説明し、全員で再び研究所に向かう事になった。
まぁ、案の定エスフィールは留守番だけどね。
「エスフィール、これを肌身離さず持ってろ」
俺は俺の魔力を水晶に封じた物を、エスフィールに手渡しする。
「なんですか? これ」
不機嫌そうな顔をして水晶を見ている、エスフィールが言う。
「本当に危険な時、それを地面に落とせ。そうすれば、中にある俺の魔力を俺が探知して、お前を危険から護ってやれる。そういう仕組みだ。研究所はかなり遠いが、かなり強力に魔力を練り込んだから、大丈夫な筈だ」
俺はエスフィールが持つ水晶を、指差して言う。
何も無いのが一番なんだけどな。
絶対空間で屋敷を覆うとはいえ、研究所で調べている約数年間、エスフィールの事が心配だからな。
これで少しはリーディエットも、安心するだろう。
「そうですか…………ありがとうごさいます」
そっぽを向いてエスフィールが小声で言う。
……まさか、エスフィールから礼を言われるとわな。
明日は天変地異か何かな?
「おう。じゃあ、俺達は行くぜ。留守番頼むぜエスフィール」
空間移動を発動して人工神の加護研究所に移動すると、早速全員で研究資料を調べる。
屋敷でこの研究所の説明をする際に、重大な事は俺に教える様に言ってある。
その為、基本的には全員黙々と、研究資料を調べている。
今この研究所に居るのはエスフィールを除いた、十四人だ流石にこんだけ居れば、何とかなんだろ!
つーか、どうにかなってもらわないと、普通に困る。
俺は、さっきまで見ていた研究資料を、棚から取り出して目を通し、見終えたら次の資料に目を通すの繰り返しだ。
……えーっと、次の資料わっーと……。
ん? ――っ!
……この魔力、間違いないこれは、俺がエスフィールに渡した水晶に、ねり込んだ魔力だ!
どういう事だ! 絶対空間は破壊されていない。
という事は――。
ってそんな事より先ずは、エスフィールを助けに行かねぇと!
「悪いお前ら、俺はもう一度屋敷に戻る、エスフィールに危険が迫ってる!」
俺はエスフィールに危険が迫ってる事を伝えた後、空間移動を使い屋敷の広間に移動した。
そこには何と、研究所の入り口で襲撃して来たレイナが居たのだ!
どうやらまだ、エスフィールは無事の様だ。良かった、本当に良かった。
俺は後ろで怯えていた、エスフィールを見て安堵した。
「エスフィール、大丈夫か?」
俺は後ろに居るエスフィールに視線を移し、エスフィールを安心させる。
エスフィールは俺の確認に、ただ頷くがそれで十分だ。
「随分来るのが早かったね。ゼローグ」
レイナは不敵に笑い言う。
全く、こんなにも早く再開するとはね。
こいつ、どうやって俺の屋敷の場所を――。
……はぁ、本当に面倒な事になった。




