10 誰も知らぬ場所
この、人工神の加護って……。
……やっぱり人工生命体同様、ここで作られていたのかな?
まぁ、リィアレに聞けば分かるか。
本当、面倒くせぇなぁ。
そう思いつつ俺はリィアレに声をかける。
「おーい、リィアレ。これについて教えて欲しいんだけど」
「はい。ですが、私はここの研究資料を一度も、見た事が無いんですけど……」
俺の方に駆け寄って来たリィアレが言う。
「そうなのか……それじゃあ、この人工神の加護についても、何も知らないんだな?」
俺は手に持っていた人工神の加護について、書いてある研究資料をリィアレに見せて言う。
「人工神の加護? そんな物がここで作られていたなんて……」
そう言ったリィアレは、かなり動揺していた。
こんなに動揺するなんて……、何か思う所があるのかな?
まぁ、それは後でリィアレに聞くとして、取り敢えずはこの人工神の加護について、調べないとな。
「どうかしたのかい? 旦那様」
人工神の加護について考えていると、ふと後ろから唯に声をかけられた。
「あぁ、それがさ……」
俺は唯に人工神の加護の研究資料を、見つけた事とここでそれが、作られていた事を説明した。
説明を聞き終えた唯は、こんな呑気な事を言う。
「神の加護って作れるだね。知らなかったよ」
うん、俺も知らなかった。
というか、人間を作れる事も知らなかったし。
人工生命体に人工神の加護か……。
何で俺ってこんな面倒な事に、巻き込まれるんだろうか……。
不思議で仕方がない。
「資料を調べるのは後にして、取り敢えずこの人工神の加護について、この研究所隅々までを調べよう」
俺はリィアレと唯に言った後、同じ事を梨沙と凛に言った。
「調べるのはいいでありんすけど、この研究所を隅々調べるとなると、一体何年かかる事か分からないでありんすよ」
確かに凛の言う通りだ、どうしたものか……。
「それじゃあ、前にやった様にここの施設の時間を早めたら?」
梨沙が言う。
「あ、そっか。時間を早めればいいのか……」
俺は思い出したかの様に言う。
「ゼロって偶にポンコツになるよね」
なんて事を梨沙が言う。
凛と唯もうんうんと頷いている。
しかも、抱えているリアンも凛と唯を真似してだろうが、うんうんと頷いているのだ!
え? ……俺ってポンコツなの?
いやいやいや、まさかそんなはずは……。
この天才で最強無敵のゼローグ様が、ポンコツの訳……ないよね? 大丈夫……だよね?
「えーっと、まぁ、取り敢えず俺がポンコツかはさておき、この研究所の時間を早めたらいいんだよな」
そう言った後俺は隔離空間を発動して、この研究所を覆った後、この研究所の時間を速くする。
うーん、どれくらい早くしたらいいのかな。
……外での一秒を一時間とかにすれば大丈夫かな。
えーっと、今は午前九時頃で仮にこの研究所を調べるのが、五年かかるとすると……。
一年は三百六十五日だろ、それが五年だから三百六十五×五で千八百二十五日。
そんでもって、屋敷に帰るのが昼の十二時とすると、三時間だけど時間が速くなっているから……。
外での一分立つ頃には、この研究所だと二日と半日……それが三時間だから……。
駄目だ、もう限界。考えるの面倒くせぇわ。まぁ、数年は調べられるだろ。
……多分。きっと。恐らく。
「よし、時間も早めた事だしこの研究所を調べるとしよう」
俺は人工神の加護についての、研究資料を棚に戻して言う。
「こんなに大きい施設を何処から調べるでありんす?」
確かに凛の言う様に、この馬鹿でかい研究所を、どっから調べたものか……。
それっぽい所がないか、リィアレに聞いてみよう。
「リィアレがこの研究所で、行ったことの無い所って何処だ?」
「私が行ったことのない所は無いですよ。私を作った人が私の事を、人工生命体の最高傑作だ! と言って、この研究所の色んな所に案内しくれたので……」
人工生命体の最高傑作? それってどういう事なんだろう。
まぁ、それについて考えるのは後にしよう。時間が勿体無いからな。
それにしても、行ったことの無い所は無いか……。
まいったなぁ、手詰まりか。
……リィアレを作った奴はリィアレ色んな所に案内したんだよな。それなら、人工神の加護を作る施設は何処にあるんだ?
人工神の加護についての研究資料を読む限り、人工神の加護を作る実験は、人工生命体を作る実験と、並行して行われていたらしい。
この施設を案内されたリィアレが、知らない筈がないんだ、なのに何故……。
地上十階あるこの研究所を、案内されたリィアレが知らない場所……。
……まさか……。
もしかしたらと思い俺は検索空間を発動して、この研究所を調べる。
さっきは面倒くさくて調べるのを辞めたけど、もしかしたら……。
ハハハっ! ビンゴ!
やっぱりか! さすが俺!
それにしても、通りでリィアレが知らない訳だ……。
「場所が分かったぜ。行くぞ、お前ら」
「何処にあったんですか?」
人工神の加護を作っていた施設に向かう際に、リィアレが聞いてくる。
俺は指を下にしてリィアレにジェスチャーをする。
「もしかして、地下?」




