02 正体不明
「悪魔が消えたってどういう事?」
とても驚いた顔をして梨沙が言う。
「分からねぇ。……考えられる理由は何者かが七十二柱の悪魔を、一瞬で消滅させたか」
一体何が……。検索空間の範囲がもっと広ければ、原因が分かっただろうが……。はぁ、面倒な事になって来たなこりゃ。
「ねぇ、何者かって誰?」
首を傾げて俺に聞いてくる梨沙。
「さぁな。今の所何も分かんねぇ」
サタンなら何か知ってるかな? ちょっと聞いてみよう。そう思い意識を集中させ、中に居るサタンに話しかける。
おい、サタン。聞きてぇことがあるんだ。
『突如消えた七十二柱の悪魔についてだろ?』
何だよ、聞いてたのか。それなら話が早い。で、何か知ってんのか?
『昔お前に魔王を倒せば、あの女を生き返らせると言った奴がいただろう?』
あぁ、それがどうかしたのか?
『そいつの目的は不明だが、一つ解っているのは奴が来訪者、つまり異世界の悪神にこの世界の存在を教えたと言う事だ』
それと、七十二柱の悪魔が消えたのと何が関係あるんだ?
『お前の予想は多分正しい。何者かが七十二柱の悪魔を存在ごと消滅させた。そんな芸当が出来るのはお前と神くらいだ』
何が言いてぇんだよ。
『今回の一件はそいつは関与していない。つまり、この世界の遥か上空の天界。……神々が動き出したって事さ』
神が動き出した? 何でだよ?
『知るかよ、神の考えなんざ誰にも分かんねぇよ。だが、用心しろよゼローグ。どうにも、嫌な予感がする。早い内に神の領域に至った方が良さそうだぞ』
忠告ありがとさん。
……神の領域……。はぁ、本当、俺の悩みの種だな。神の領域は……。
「ゼロ? どうしたの? ぼーっとして」
心配気な表情で梨沙が言う。隣に居るナナも心配そうにしていた。
俺は二人の頭を撫でてこう言う。
「何でもねぇ。ちょっと、中に居るサタンと話してただけさ」
やっぱりこの事、一応アリアに報告した方がいいよな。
「この事はアリア様に報告した方がいいのでわ?」
ナナが言う。どうやらナナも俺と同じ事を考えていた様だ。
「あぁ、俺もそう思ってた所さ。面倒だがちょっくら言ってくるわ」
「私もゼロと一緒に行きたい!」
少し頬を赤くしつつも、真剣な表情で梨沙が言う。
「分かった。一緒に行こうか」
俺がそう言うと梨沙は、パァっと明るい表情になり、嬉しそうにこう言った。。
「うんっ! 嬉しい」
「悪いなナナ留守番を頼めるか?」
「勿論です、ご主人様。行ってらっしゃいませ」
ナナは軽くお辞儀をして言う。
俺は空間移動を使い瞬時に王宮の前に移動する。本当は門の前に移動した方がいいんだろうけど、今は緊急事態だからな、今日は大目に見てもらおう。
俺と梨沙はアリアの居る部屋に、案内されれ俺と梨沙は部屋の中に入る。すると、そこには、シャロン、ウィリアル、エミリア、が居たのだ。ん? 一体どういう事だ?
「来たか、ゼローグ。それに梨沙も来たのだな。さて、各騎士団団長の報告を聞こうか」
アリアは俺と梨沙に声をかけた後、部屋の奥にある豪華な装飾がされた、椅子に座った。
「じゃあ、先ずは私から報告しよう。先程、七十二柱の悪魔が現れた地点に向かったら、どういう訳か突如その悪魔が消えました」
シャロンがアリアに報告する。どうやら俺と同じ報告内容の様だ。
「何だよ、おめぇも俺と同じ報告内容かよ」
ウィリアルが驚いた顔で言う。
て事は俺ら三人同じ報告内容って訳か……。すると、エミリアがスケッチブックに報告内容を書いていた。スケッチブックを見るとそこには、私も同じですと書いてあった。
「どうやら、全員同じ報告内容だったみたいだな」
「それじゃあ、お前も……」
ウィリアルが言う。
「あぁ、昼前に検索空間に現れた七十二柱の悪魔が突如消えた……」
さぁて、益々面倒な事になって来たぞ。
「他の者も同様の時間か?」
アリアがシャロン達に、悪魔が消えた時間を聞く。
「はい、私もゼローグと同じ時間帯です」
「俺もだ」
エミリアはスケッチブックに素早く書くと、それをアリアに見せた。スケッチブックには、私もですと書いてあった。
つまり、これは――。
「なるほど……」
アリアはそう言った後、顎に手をやり頭を悩ませていた。
「アリア、七十二柱の悪魔は存在を消滅させられていた。それが出来るのは、俺と神くらい。つまり、これは神々の仕業と考えていいだろう」
神は一体何がしたいんだ? ただ単にさっさと七十二柱の悪魔を殲滅させたいのか、それとも――。他に何か目的があるのか……。
「神々の仕業……か。だが、一体何の目的で……」
アリアは再び顎に手をやり何かボソボソ言っていた。そして、こう言う。
「正体不明だな」
「正体不明……UNKNOWNって訳か……」
正体も目的も一切不明、正に正体不明だな。
はぁ、本当、何で俺ってこうも面倒な事に、巻き込まれんのかね。俺としては、さっさとセシリアを生き返らせて、平和に暮らしたいんだがなぁ。
まるで俺は掃除機みたいだな。集まったゴミを掃除する。来訪者や正体不明が俺の行く道を、邪魔をする世界のゴミって訳だ。……他にもゴミが集まりそうだな。こりゃ。
「取り敢えず、今回はここまでにしよう。私も他にやる事もあるからな」
椅子から立ち上がってアリアが言う。
「そんじゃ、俺らは屋敷に帰るぜ。じゃあな」
俺は空間移動を使い屋敷の広間に移動した。
「お帰りなさいませ、ご主人様」




