39 再戦 ゼローグVS魔王サタン
ゼロが倒れてから一週間がたった。
未だゼロは眠りについたままだ。私と凛さんはゼロの部屋で、ゼロが目覚めるのをずっと待っていた。
暴走して元に戻ったと思えば、今度は一週間も眠り続けるなんて……。ゼロのバカ。早く目覚めてよね。
……どれくらい時間がたったのかな、外は日が暮れようとしている。今日も目覚めないのかな。このまま目覚めなかったらどうしよう……。そう思うと私の両目から、大粒の涙が幾つも流れていた。
「うっ……」
えっ、今の声は……。ゼロ、なの? そう思いゼロに視線を移すと、ゼロはゆっくりと目を開けてこう言った。
「……ここは……一体?」
「お兄!」
「ゼロ!」
私と凛さんはゼロが目を覚ますと、同時にゼロに抱きついていた。
「また、心配かけたみたいだな……」
私達の頭を撫でながらゼロが言う。
「本当に心配したんだからね」
私は再び溢れそうな涙を堪えながら、ゼロに言う。
「ごめんな」
ゼロがそう言った後、私とゼロの唇が重なった。……え!? ゼロからの不意なキスで私は暫くの間、硬直していた。
「ゼ、ゼ、ゼロ!? 急にどうしたのよ!」
驚いた口調で私がそう言うと、ゼロは優しい顔でこう言う。
「心配かけた詫びだ。本当、ごめんな」
「梨沙だけずるいでありんす! わっちにもキスしてほしいでありんす!」
頬を膨らませて凛さんが言う。
「ハハハ、分かった、分かった」
そう言ってゼロは今度は凛さんと、キスをする。
「これで満足かな?」
「うん!」
そう言い満面の笑みで頷く凛さん。
さて、ゼロが目覚めた事をアルシア達に言いに行かないと……。そう思い、席を立とうとすると、凛さんがこう言う。
「わっちは皆にお兄が目覚めた事を、伝えに行くでありんすよ」
「あぁ、そうか、ありがとな凛」
身体を起こして言うゼロ。
「ありがとう、凛さん」
私も凛さんにお礼を言う。凛さんは手を振りながら、部屋を出て行く。
ゼロと二人っきり、何を話せばいいんだう。二人っきりなんて、私がゼロを好きになった理由を話した時以来だ。
何か、気まずい。……そうこうしてる内に凛さんがアルシア達と部屋に入って来た。何を話すか考える内に、二人っきりの時間が終わってしまった。
部屋に入って来たナナさんと唯さんは、ゼロに抱きついて同時にこう言う。
「ご主人様!」
「旦那様!」
ゼロは私と凛さんが抱きついた時の様に、ナナさんと唯さんの頭を、優しく撫でる。
「心配かけたな、二人共」
ゼロはそう言うと、ナナさんにキスをした後、唯さんにキスをした。唐突の事でナナさんと唯さんは、私と同様で硬直していた。
「ご、ご主人様!」
「旦那様……」
間の抜けた顔で言うナナさんと唯さん。
「心配かけた詫びさ」
「ナナさんと唯さんだけずるーい! 私にもキスしてゼロちゃん!」
アルシアが言う。
「ふっ、分かったよ」
そう言ってゼロはアルシアにキスをした。
アルシアとキスをした後、ゼロはリーディエットさんがもじもじしながら、「私にもキスしてください」と言ってゼロはリーディエットさんともキスをする。
結局ゼロは、心配をかけた詫びとしてエスフィールさんを除く、全員とキスをする事になった。皆、ゼロとのキスはとても嬉しかった様で、顔を最大限に紅潮させていた。そして、意外にもフィーユさんが一番、顔を真っ赤にしていた。
もう一つ分かったのがオリヴィアが、ツンデレだったと言う事だ。オリヴィアの可愛い一面が見れたのは収穫だ!
エスフィールさんはやっぱりゼロの事を恨んでいる様だ。まぁ、でも、それは仕方のない事だと思う。ゼロが妖狐の里を滅ぼしたこ事で、復讐者となった妖狐の生き残りの縁によって、両親を殺されて貴族の奴隷になってしまったのだから。
だけど、ゼロにも妖狐の里を滅ぼすだけの理由があった。……いつか、二人が仲直りする日がくるといいな。
「さて、皆とのキスで目もバッチリ覚めた事だし、行きますかあの場所に。……全員で行くか? それとも、行きたい奴だけにするか?」
ベッドから降りてゼロが言う。
「私は行かない」
腕を組みゼロを睨んで、エスフィールさんが言う。
「おっけー、他に残る奴は居るか?」
ゼロが私達の顔を見渡して言う。
「残るのはフィーだけ? 一人で大丈夫かなぁ」
リーディエットさんが、エスフィールさんの方を見ながら、心配そうにして言う。
「心配すんな、この屋敷は俺が絶対空間で守るからよ」
リーディエットさんの頭に、手を乗せてゼロが言う。
「良かったね! フィー!」
リーディエットさんは笑顔で、エスフィールさんに言うが、エスフィールさんはそっぽを向いている。ゼロは、リーディエットさんの頭から手を話すと、こう言う。
「そんじゃ、行くぜ。神器解放! 時空。空間移動!」
移動した先には魔王サタン、魔王レヴィアタン、魔王メフィストフェレスの三人が待っていた。
「よぉ、待ったか?」
ゼロが手を上げて言う。
刹那、魔王サタンがいきなりゼロに殴りかかって来た! 残り二人の魔王は私達の前に立ち、ゼロとサタンの戦いを黙って見ている。一体、どういう事なんだろう? 他の皆も私と同様で、この状況を理解出来ていない様だ。
「いきなり殴りかかるとは、酷いじゃねぇかっ! サタンっ!」
そう言いゼロはサタンに反撃開始する。
どうやら、再び、ゼロとサタンが戦う事になる様だ。一度目の戦いは三年前、ゼロがサタンに敗北して、ルイーザさんが現れた時。
二度目は一週間前、凛さんが死んだ事でゼロが暴走して、ウロボロス・ドラゴンとなりサタンと戦った時。
そして、今宵、三度目の戦い。最強の騎士ゼローグと、魔王サタンとの戦いが始まった――。




