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BATTLE OF THE GOD〜神々の戦い〜  作者: エックス
第二章 七十二柱の悪魔
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38 力の代償

 ウロボロス・ドラゴンとなったゼロは、魔王サタンと壮絶な戦いを、繰り広げていた。

 ウロボロス・ドラゴンは凄まじい火力の炎と通常攻撃のみで、サタンを圧倒していた!

 ウロボロス・ドラゴンの放った炎は大地を黒焦げにしている。サタンもウロボロス・ドラゴンに向けて魔力の弾? を打ち出し攻撃していたが、ウロボロス・ドラゴンにはたいして効いていないようだった。

 この事にサタンは毒づきながら言う。


「たくっ! 嫌なるぜ、俺の攻撃が全く効かないなんてなぁ。……さて、どうしたもんかねぇ」


 ウロボロス・ドラゴンは四枚ある羽をはばたかせ、空高く飛ぶ! サタンも後を追い空高く飛んだ!

 空中でウロボロス・ドラゴンとサタンの攻撃がぶつかり合い、衝撃波が生まれていた。衝撃波の振動は轟音と共にここまで届いていた。


「……凄い……」


 私は自然とそう漏らしていた。ウロボロス・ドラゴンの攻撃も魔王サタンの攻撃も、明らかに常識を逸脱している。

 もし私もゼロと同じくらい強かったら、ゼロみたいに傲慢になってしまうかも……。

 ……いや、どんな人でもこれだけ強いと、傲慢になっちゃうよね。


「本当、どっちも化け物じみた強さで嫌になるね」


 オリヴィアがそう漏らす。


「私もあんな風に強くなれるかな……」


 レイチェルさんが二人の戦いを、見守りながら言う。


「あそこまでは無理でも君達は今よりも、もっともっと強くなれるよ!」


 魔王レヴィアタンは振り向いて、笑顔でそう言う。こうして見ると魔王とは全く思えない。でも、それは、隣に居る魔王メフィストフェレスにも、言える事かな……。

 ……そういえば、この世界に来て王都に向かう馬車の中で、アルシアが言ってたっけ、「ゼロちゃんは一人で魔王全員と殺りあえるくらい強い」って……。

 あの時はそれがどれくらい凄いか、分からなかったけど、今なら分かる、昔のゼロがどれだけ強かったのか。ゼロは凄いよ、あんなに強い人達とたった一人で戦えるのだから。


 ……すると、空中での戦いを終えたウロボロス・ドラゴンと、サタンが降りて来た。サタンはかなり体力を消耗している様で、ぜーはーと肩で息をしていた。


「あぁ、疲れる。何時になったら倒れんだよ、あの野郎」


 サタンが言う。


「加勢しようかぁ? サタン」


 消耗しているサタンを見ながら、心配げにレヴィアタンが言う。


「あぁ、だが、この状態で勝てると思うか? こいつに」


「無理!」


 サタンの質問に即答するレヴィアタン。


「やっぱり、全員で来た方が良かったかな……」


 メフィストフェレスは顎に手をやりながら言う。


「流石に全員で来ちゃマズイだろ」


「そうだよねぇ……どうしよっか?」


 ウロボロス・ドラゴンの余りの強さに頭を悩ませる魔王達。


「どうすっかねぇ」


 頭を掻きながらサタンは言う。


「つーか、ゼローグの野郎、簡単に暴走すんじゃねぇよ! あぁ、クソっ! 苛ついてきたじゃねぇか!」


 相当苛ついている様でサタンは、地面を力強く蹴っていた。


「……ふぅ、応急処置完了っと!」


 額から溢れる汗を手で拭いアルシアが言う。

 どうやら、何とか胸の刺し傷を塞ぐ事が出来たようだ。

 良かった……本当に良かった。後は暴走したゼロを、どうにかするだけだけど……。


「後はゼローグをどうにかするだけか」


 フィーユさんが立ち上がりながら言う。


「一か八か、勝てる保証はないが、四人で暴走したゼローグに挑んでみるか?」


 不敵な笑みで言うメフィストフェレス。


「それが、今私達に出来るベストだろうな」


「それじゃあ、決まりだね!」


 フィーユさんとメフィストフェレスの顔を、交互に見てレヴィアタンが言う。

 レヴィアタンが言った後、三人は同時に頷くとサタンに駆け寄り、四人はウロボロス・ドラゴンと睨み合う。

 刹那、フィーユさんと三人の魔王は飛び出して行き、ウロボロス・ドラゴンに攻撃を開始する。サタンは拳で、レヴィアタンとメフィストフェレスは魔力の弾を、フィーユさんは刀で――。

 ウロボロス・ドラゴンとフィーユさんと、三人の魔王の戦いが激化する中、凛さんが目を覚した。凛さんを支えながらアルシアがこう言う。


「大丈夫? 凛ちゃん」


「……うん。わっち……何がどうなってるでありんすか?」


 刺された箇所を(さす)りながら、首を傾げて言う凛さん。


「凛ちゃんが死んだ後、ゼロちゃんが暴走して、今はフィーユさんと三人の魔王がウロボロス・ドラゴンになったゼロちゃんと戦ってるよ」


 凛さんが死んだ後の事を説明するアルシア。


「あれが……お兄……」


 ウロボロス・ドラゴンとなったゼロと、フィーユさんと三人の魔王の戦いを見て、悲しげに言う凛さん。


「私達じゃ、足手まといにしかならないから、ここでフィーユさん達の勝利を信じよう」


 アルシアが言う。

 そう、アルシアが言うようにここに居る者は全員、足手まといにしかならない。

 だから、私達はここで見守る事しか出来ない。私もフィーユさんや魔王みたいに強かったら……。自分の無力さが恨めしい。こんな時に何も出来ないなんて……。


「……わっちがやらないと……」


 立ち上がり言う凛さん。


「凛さん?」


 私は立ち上がった凛さんを見て、訝しげにしてそう言う。

 すると、凛さんは神の加護(ゲート)を使って龍の門(ドラゴンズゲート)を使い一匹の巨大な青いドラゴンを呼び出した。凛さんは青いドラゴンの背中に乗ると、ウロボロス・ドラゴン向けて飛んで行った。


「お兄ぃぃぃぃぃいいいいい!!」


 凛さんはウロボロス・ドラゴンの近くに行くと、愛する人の名を呼ぶ。


「凛! ここは危険だ早く戻れ!」


 フィーユさんはウロボロス・ドラゴンの近くに来た凛さんを、戻るように言うが凛さんはフィーユさんの方を見て、こう言う。


「嫌でありんす! わっちのせいでお兄がこなったんだから、わっちの手で元に戻すでありんす!」


  そう言い凛さんはウロボロス・ドラゴンに更に近づいた。


「……お兄、元に戻って……」


 そう言うと凛さんはウロボロス・ドラゴンの口にキスをした。

 すると、突然ウロボロス・ドラゴンが静かになる。

 刹那、ウロボロス・ドラゴンは漆黒の光に包まれる! ……まさか、凛さんのキスで元に戻った? 漆黒の光が止むとそこには、何時ものゼロの姿があった!

 良かった……。本当に良かった……。


「まさか、凛のキスで元に戻るとはな……」


 そう言いフィーユさん達はゼロを抱えて、此方に歩いて来た。フィーユさんは抱えていたゼロを地面に寝かせる。暫くするとゼロが目覚めてこう言った。


「ここは、俺は一体何を……」


「お兄!」


 そう言って、ゼロに抱きつく凛さん。ゼロはどういう事かと、目が点になっていた。


「凛、なのか?」


 今にも泣きそうな顔で凛さんに問うゼロ。


「うん!」


 凛さんは笑顔でゼロに言う。


「凛! 良かった……生きてて良かった……」


 ゼロは凛さんに抱きつき、目から大粒の涙を溢れさせて言う。


「手間かけさせんじゃねぇよ、ゼローグ」


 安心した表情でサタンが言う。


「お前らが助けてくれたのか?」


 サタンの顔を見てそう言うゼロ。


「その妖狐がお前を助けたんだよ」


 凛さんを指差して言うサタン。


「そうか、ありがとう。凛」


 優しい顔で凛さんに礼を言うゼロ。

 すると、ナナさんや唯さん、アルシアにメロディア、オリヴィア、レイチェルやモニカがゼロに抱きつき涙を流していた。

 暫くして皆はゼロから離れると、今度は私がゼロに抱きつき、キスをする。


「心配したんだから、バカゼローグ」


「ごめんな、梨沙……」


 そう言ってゼロは私の頭を優しく撫でてくれた。すると、サタンが頬を掻いてこう言う。


「そろそろ本題に入ってもいいか?」


 本題? ゼロを助けに来たんじゃなくて、何か用があって来たって事?


「本題ってなんだよ」


 訝しげにしてゼロが言う。


「話す前に俺達を絶対空間(アブソリュートスペース)で覆った後、龍の手(ドラゴンズハンド)絶対空間(アブソリュートスペース)を覆ってくれ」


「あ、あぁ、分かった。神器解放! 時空(タイムスペース)! 絶対空間(アブソリュートスペース)! 神器解放、龍の手(ドラゴンズハンド)!」


 ゼロはそう言うと私達を絶対空間(アブソリュートスペース)という技で覆って、更に龍の手(ドラゴンズハンド)を使って龍の手を伸ばし、絶対空間(アブソリュートスペース)を覆う。

 隔離空間(アイソレッドスペース)と対して変わらないと思うけど、何が違うんだろう。


「さて、話してくれ」


 ゼロは立ち上がって言う。


「ゼローグお前はもっと強くなれ、じゃないとこの先の戦い、足手まといにしかならんぞ」


「どういう事だ? この俺が足手まとい?」


 あんなに強いゼロが足手まといって、どういう事? ゼロ以上に強い人が現れるって事?


「来たる、来訪者(ビジター)との戦いに備えてな」


「……来訪者(ビジター)?」


 首を傾げてサタンに問うゼロ。


「分かりやすく言えば、異世界からの侵略者って所だ。俺達は来訪者(ビジター)って呼んでる」


「話は終わりだ、絶対空間(アブソリュートスペース)解除してもいいぞ」


 サタンがそう言うとゼロは絶対空間(アブソリュートスペース)龍の手(ドラゴンズハンド)を解除する。


「行くぞ。そうだゼロ、目が覚めたらまたここにこい」


 目が覚めたら? もうゼロは目が覚めてるのに、どういう事?

 すると、突然ゼロが口から血を吹き出しその場に倒れた――。

第二章、全40話のつもりで書いていたんですが、37話で暴走したゼローグを元に戻して、異世界からの侵略者、来訪者(ビジター)の話をするのは無理そうだったので、今回1話増やしました。なので、第二章は全41話となっております。

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