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BATTLE OF THE GOD〜神々の戦い〜  作者: エックス
第二章 七十二柱の悪魔
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37 二度目の絶望と龍の逆鱗

 私――柊梨沙はこの状況に、只々涙を流していた。

 目の前で凛さんの事を、抱きかかえているゼロの手は、凛さんの血で真っ赤になっており、ゼロは涙を流し叫び続けている。

 どうしていいかわからない、……無力で何もできない私は、只々泣き続ける事しか出来なかった。


「私のせいだ、もう何も出来ないだろうと、完全に油断していた。私が付いて居ながら……すまない、ゼローグ」


 両目から大粒の涙を流して、フィーユさんは言う。

 泣き続けていると今まで、叫び続けていたゼロは下を向き、何かをボソボソと言っている。

 私はゼロの声に耳を済ませると――。


「……す……ろす……殺す……。殺し尽くしてやる!」


 とても物騒な言葉を言うと、ゼロはフラフラと立ち上がり、妖狐の生き残りに向かって一歩、また一歩と歩を進める。

 その際、ゼロからとてつもないプレッシャーが放たれていて、私はそんなゼロを見つめ続けていた。

 ゼロが妖狐に向かって歩く中ルイーザさんの声が聞こえてきた。


『おい、そこの妖狐、名は何と言う?』


「あ? 誰だ? 人に名前を聞く時は先ず、自分から名乗るもんじゃねぇのかぁ?」


 苛ついた感じで言う妖狐の生き残り。


『私はゼローグに宿っている、最強の龍、不滅龍ウロボロス・ドラゴンのルイーザだ』


「ウロボロス・ドラゴン!? ……ほぉ、最強のドラゴン称された、不滅の龍か」


 妖狐の生き残りは声の正体を知り、とても驚いた顔をしていた。


『さて、私は名乗ったのだ、貴様の名を聞かせてもらうか』


 ルイーザさんは言う。それにしても、どうしてルイーザさんの声が、聞こえるんだろう?


「俺の名は(えにし)、因みにそこに転がっている、てめぇらが凛と呼んでる女の本当の名は、琴音だ」


 琴音それが凛さんの本当の名前……。

 だけど今はそんな事がどうでもいい位に、あいつの言った事に腹が立って、仕方なかった。


『そうか、(えにし)よ貴様は取るべき選択を間違えた。凛を殺さなければ、苦痛なく死ねたものを……。だが、喜ぶと良い、貴様が最初の客だ。そして、よく聞けこれは滅多に聞けるものじゃない』


 意味深な事を言うルイーザさん。

 一体何を言っているんだろう。最初の客って何? 滅多に聞けるものじゃないって、どういう事?

 他の皆も私同様、訝しげな表情をしている。


「何を言っているんだ?」


 訝しげな表情で妖狐の生き残りは言う。


『直ぐに分かる』


 ここに居る全員がルイーザさんと、妖狐生き残りの会話を見守る中、ゼロは歩みを止めて怨恨のこもった声でこう言う。


「我に宿りし不滅の龍よ、眠りから醒めよ」


 すると、突如ゼロの身体から漆黒のオーラが現れた! あのオーラは……。


「災害を超越する我が力を見よ」


 漆黒のオーラはゼロの全身を、徐々に覆って行く!


「汝の力を以って全てを滅ぼし、全てを呑み込む」


 ゼロを覆っている漆黒のオーラは、徐々に形を成していく!


「汝、我と共に世界の破滅を見届けよう!」


 刹那、ゼロの身体は頭、胸、腰、足、腕、その全てが龍を模した様な、漆黒の全身鎧になったと思うと、突如、ボコッ! メキッ! と言った不気味な音を立てて、ゼロの身体が肥大化していく!

 そして、変化を終えたゼロの姿は全長三十メートル以上はあるであろう、王道のフォルムをした巨大な漆黒のドラゴンだった!

 剥き出しになった白い牙に、赤黒い瞳、全部で四枚もある羽に、漆黒の鱗、とても長い尻尾、尻尾だけで五メートルはありそうだ。

 これは、一体……。私はあまりの出来事に言葉が出なかった。

 すると、フィーユさんは涙を手で拭ってこう言う。


「……この姿……間違いない、伝承に記されていた、最強の龍、不滅龍ウロボロス・ドラゴン……そのものだ……っ!」


 フィーユさんの言った事に私は驚きの声を隠せなかった。

 あれが、最強の龍、不滅龍ウロボロス・ドラゴン……。ルイーザさんの本来の姿……。


「……これが、不滅龍ウロボロス・ドラゴン……ッ!」


 妖狐の生き残り……(えにし)はこの事に、驚愕の声を漏らしていた。

 すると、ウロボロス・ドラゴンは右前足で(えにし)の両足を潰した!


「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!!」


 (えにし)は満身創痍だったのと、突然の攻撃だった為か反応する事が出来ず、両足を潰されていた!

 (えにし)の両足は、ウロボロス・ドラゴンによっていとも容易く潰されている、もう二度と立つことは出来ないだろう。

 そして、ウロボロス・ドラゴンは追い打ちをかけるように、口からあり得ない火力の炎を、(えにし)に向けて吐き出す。その炎で(えにし)は黒焦げとなっていた。


「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおっ!!!」


 ウロボロス・ドラゴンは(えにし)を殺しても尚、炎を吐き出しながら咆哮を上げていた。

 どうしたらいいの? こんなの……。


「……うっ……」


 今の声は――。

 私は声の主の方を見ると――。


「……お兄……」


 弱々しい声で凛さんは愛する人……ゼロの事をそう呼ぶ。

 どうして……凛さんは死んだ筈じゃ……。


「アルシア、神の加護を使って凛を治療するんだ!」


 そう言いフィーユさんはアルシアに命令する。


「うんっ!」


 アルシアは嬉しそう言うと、涙を拭い凛さんの治療し始める。


「私は凛さんの血を氷で止めるよ!」


 そう言いメロディアも神の加護を使い、凛さんの血を止める作業に入る。


「力を貸して! 治癒の精霊!」


 アルシアは治癒の精霊の力を借りて、凛さんの治療をしていた。

 メロディアが凛さんの血を、氷で止めながらこう言う。


「どうして、凛さんは生きていたの? 確かに心臓を貫かれて、死んだ筈なのに」


「さぁな、何が起きたのか分からんが、凛は生きてる。今はそれだけで十分だ。それに、暴走したゼローグを、どうにかしないといけないしな」


 フィーユさんは立ち上がりそう言う。

 すると、ウロボロス・ドラゴンの放った炎が此方に向かって来た!

 フィーユさんは刀を取り出し抜刀すると、炎を防ぐ構えを取る。

 あの炎を一人で受け止めるつもりなんだ!

 フィーユさんの名前を呼ぼうとした時、フィーユさんの前に、見た事のある三人が颯爽と現れた! ……そう、その人物は……魔王サタンと魔王レヴィアタン、そして、魔王メフィストフェレスだった!

 三人の魔王の力で炎は消え去り、フィーユさんも無傷ですんだ。それにしても、どうして魔王がここに……。


「ったく! ゼローグの野郎、見事に暴走しやがってっ!」


 魔王サタンが毒づきながら言う。


「仕方ないよ、ゼロにとって彼女はそれだけ大事な人なんだからさ」


 魔王レヴィアタンは優しい声音でそう言う。


「そんな事よりも先ずは、ゼロの暴走を止めなくては」


 魔王メフィストフェレスは腰に左手を当てて言う。

 すると、魔王サタンが目にも止まらぬ速さで、ウロボロス・ドラゴンとなって暴走しているゼロに近づくと、ウロボロス・ドラゴンの顔に右拳のストレートを容赦なく叩き込んだ。

 ウロボロス・ドラゴンは一瞬体制を崩すが、直ぐに立て直し魔王サタンに向けてさっき放った時よりも、比べ物にならないくらいの火力の炎を吐き出した!


 魔王サタンとウロボロス・ドラゴンとなり暴走したゼロの戦いが始まった――。

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