04 呪われた左目
昼食を終えて俺はナナ達に、修行中に起きた事を話していた。
「俺の左目と関係あったりしないよね?」
「左目って何の事?」
首を傾げ梨沙が言う。
俺が修行してる間アルシア達と、服を買いに行っていたようで、今は学校の制服ではなくなって、黒いミニスカートに、左右で色の違う青と白のニーソックスに、黒い靴、上半身は白いシャツの上に、緑色のカーディガンを着ている。
アルシア達三人も騎士の鎧姿ではなく私服姿になっている。
アルシアは理沙と同じく、黒いミニスカートに白い靴下に黒い靴を履いていて、上半身は青い服でへそが見えている。
メロディアはサンダルに、ピンクのワンピースで、腰に黄色いベルトを巻いていて、白いカチューシャをしている。
最後にオリヴィアは、黒い靴に黒いロングスカートで白い長袖を着ている。
ナナは相変わらずメイド服だ。これはこれで可愛いのだが、たまにはメイド服以外も見てみたい。
そして俺は左目のカラコンを外して皆に見せる。
「オッドアイだったんだ。でも何でカラコンをつけてたの?」
「小さい頃に、この目を気味悪がられて、それからカラコンをつけるようにしてたんだ」
「ご主人様、左目をよく見させてください」
そう言って俺に近づいて来て、今にでも唇が重なり合うくらいの距離で、俺の左目を見るナナ。
こんな超至近距離で、顔を見られるのは凄く恥ずかしい。
「やっぱり、ご主人様の左目は、呪われているようですね」
「やっぱりって事はナナちゃんは、ゼロちゃんの左目の事を知っているの?」
静かに頷くナナ。
「まぁ。私達の中で一番ゼロと過ごした時間が、長いから当然だろうけどね」
「何で俺の左目が、呪われているんだ?」
「何故呪われたのかは分かりません。ですがその呪いが持つ能力は分かります」
その能力って言うのが修行中に起きた、見たものを記憶したり、傷が直ぐに治ったりする事なんだろう。
「一体どんな能力なの?」
そう言ってナナに聞く梨沙。
「ご主人様は、その左目のせいで永遠に、死ぬ事が出来なくなるんです。その代わりに見たものを、一瞬で記憶する事ができるんですけどね」
「神器を十二種類も持ってる上に、永遠に死ぬ事が出来なくて、おまけに一度見たものを、記憶出来るとかチート過ぎて笑えないな」
「そもそも何で団長の左目は、呪われたんだろうね」
確かに何で俺の左目が呪われたんだろう、何か特別な理由でもあったのかな? 俺の記憶が戻れば少しは理由が分かるのかな? そんな自問自答をしているとナナがこう言った。
「ご主人様が記憶を取り戻せば、何か分かるかも知れませんよ」
どうやらナナも俺と同じ事を、考えていたみたいだ。
「手っ取り早く記憶取り戻す方法ってないかな?」
俺がそう言うとナナが答えてくれる。
「とある人物の所に行けば、記憶を取り戻す事ができますよ」
「本当かそれじゃあ、そのとある人物のいる所を、教えてくれ正確にな」
「この屋敷から東の方角、距離にして百キロ程の、辺境の地です」
この屋敷から百キロって随分遠いな、空間移動で行けるか不安だな。
「場所なんて聞いてどうするの?」
「もしかしてさっきの空間を移動する技を使う為に正確な位置を聞いたの?」
「当たり。ギリギリ検索空間の範囲内でよかったよ」
「その検索空間って何なんだ?」
不思議そうな顔をして、俺に聞いてくるオリヴィア。
他の皆も不思議そうな顔をしている。
「検索空間ってのは範囲内にある人物や場所、建物の大きさなどが、立体になって見る事ができたり、その範囲内にいる物体や人物の情報を、知ることができたりする、超便利な技なのである」
「つまり分かりやすく言うと、何でも出るって事でいいのかな?」
オリヴィアは検索空間の能力を、完結にして聞いてくる。
「あぁ。そんじゃ、俺の記憶を取り戻してくれるって言う、人物の所に行こうか」
空間移動を使ってその人物のいる辺境の地にまで移動する。
その人物がいる小屋の前に着くと、ナナは一歩前て出て扉をノックする。
そこから出てきたのは一人の綺麗な女性だった。
膝くらいの長さまである、黒いブーツに黒いミニスカート、胸元が開いた黒い服に、黒いとんがり帽子をかぶっていて、黒いローブを羽織っている。
まさに魔女と言う格好だ。
「やぁ久しぶりだねゼローグ、それに皆もゼローグの隣にいる子はお初だよね?」
「私、柊梨沙って言います。よろしくお願いします」
「私の名はマールバラ・ベティーナ。マールでいいよ」
二人の自己紹介が終わり本題に入る。
「君達が来た理由は分かっているから、さっさと済ませるよ」
そう言って俺の額に手を当てるマール。
途端に自分の過去の記憶が、頭の中に入っていく様な感覚がした。
マールは俺の額から手を放してこう言う。
「これでゼローグの記憶は、戻った筈だよ」
マールの言った通り、俺の記憶は完全に戻っていた。
何で騎士になったのか。
何故、魔王と戦うのか。
そして、俺の果たすべき目的が。
「何でゼロの記憶が戻ったの? マールさんは何をしたの?」
マールと初めて合う梨沙は、疑問が尽きないって顔をしている。
「私は神の加護記憶の適合者なんだよ、この加護の能力を使って、ゼローグの記憶を蘇らせたんだ」
「それでご主人様。左目が呪われた理由が何なのか分かりましたか?」
皆の視線が俺に集まる。
「いや、さっぱり分からん。……まぁ、その内分かるだろ多分」
こうして、マールのおかげで俺の記憶を、取り戻すことができた。
あとは十一種類の神器を、使いこなせる様になる為、あの超ハードな修行をする事になるんだろうな。