32 ヒューマンショップ
まさか俺の領域数が九十億以上とは……。
それにしても、この数値どうも気になる。師匠で九十億領域、最強な俺様の領域数は測定不能。仮に俺様の領域数が百億だとしてもこの数値は割に合わない。
多分だけど、この数値は通常時の領域数。つまり、神器解放すれば領域数は更に上がる筈だ。だけど俺がやってもまた測定不能になっちまう。まぁ、最強の騎士である俺様の領域数を、計測出来ないのは当然のこと。
俺が駄目なら凛にモード妖孤を使ってもらって、俺の仮説が正しいか試して見るとするか。どんな数値になるのか楽しみだな。
「凛、ちょっとモード妖狐になって、あの装置に触れてくれないか」
「う、うん。いいでありんすよ」
俺の言った事にこの場に居る全員が、訝しげな顔をしていた。
凛は首を傾げながら装置の前に歩いて行き、装置の前に立つと凛の周りに銀色のオーラが現れ、それに伴い耳が生え二本の尻尾が生えてきた。
「モード妖狐・二尾!」
凛はモード妖狐・二尾になると、前にある領域数計測装置の画面に手を触れる。
そして、上画面に表示された凛の領域数は――。
「四万八千領域!? ど、どういう事だゼローグ! どうして凛の領域数が上がってるんだ?」
アリアは凛の領域数が上がっている事に、とても驚きアリアと同様に、他の騎士達も驚きの声を上げていた。
そして、当の本人も自身の領域数が上がっている事に、驚いている様だった。
「どうやら俺の仮説は正しかったみたいだな」
「仮説? 何を言っているんだ?」
「簡単な話さ。つまり、今までの数値は通常時の領域数って事だ。だからモード妖狐になった凛の領域数が上がったんだよ」
これで、他の騎士達の領域数も神の加護を使えば上がる余地があるって事だな。
常に神の加護が発動してるエミリアは、これ以上領域数は上がらないと思うけどな。でも、エミリアが神の加護を使いこなせる様になれば、さっきの数値を楽に超えるんだろうなぁ。
「なるほど」
「さて、領域数の計測も済んだことだし、俺達は屋敷に戻るぜ、アリア」
「ゼローグ、私は久しぶりに王都を見て回りたいんだけど」
「あぁ、良いよ。俺と師匠は王都を見て回るけど、お前らはどうする?」
まぁ、凛、ナナ、唯は俺と一緒に来るんだろうけど、他の皆は何て言うのかな? すると、隣に居たエミリアは俺の服の裾を引っ張ると、スケッチブックを取り出して、何かを書き始めた。まぁ、何て書いてあるかは予想つくけどね!
エミリアは書き終えると、スケッチブックを俺に見せる。そこには、俺の予想通り一緒に行きたいと書いてあった。俺は笑顔で頷きエミリアの頭を撫でる。
これに続き、アルシア、メロディア、オリヴィア、梨沙、レイチェル、モニカも一緒に行くと言う。
「そんじゃ、俺達は王都を見て回りますか!」
そう言い俺達は王宮を出ようとすると、ウィルフレッドとライラに呼び止められる。この二人には今日初めてあったから、呼び止められる理由は無いと思うんだけどな。
すると、ウィルフレッドが一歩前に出て言う。
「ゼローグ団長、私達と手合わせをしてはくれませんか?」
俺はほんの少しだけ、ウィルフレッドとライラに殺気を向けて言う。
「別に良いけど、力の差があり過ぎて絶望して二度と立ち直れなくなるよ?」
「おい、ゼローグ、あんまりそいつ等を虐めるなよ」
「ふっ、じゃあな!」
俺達は王宮を出ると王都を見て回っていた。師匠は久しぶりに王都の中を見て回って、とても楽しそうにしている。俺は何度も来てるから、師匠みたいに盛り上がらないんだけどね。
王都を歩いてると、オークション会場と書かれた建物を見つけた。こんな建物あったっけ?
「何のオークション会場だろうね」
「さぁ、入れば分かるんじゃね?」
「じゃあ入ってみよう!」
そう言って師匠はノリノリで建物の中に入って行く。俺達もそれに続き建物の中に入ると、中は広場になっていて奥にステージがあり、その上に司会者? と手枷と足枷を付けられた二人の女の子が立っていた。
一人は、腰くらいあるウェーブのかかった金髪のロングヘアで、金色の瞳だ。そして、めっちゃ胸が大きい。多分、凛やレイチェルよりも大きい。そして、めっちゃ可愛い!
もう一人の少女は、金髪のショートヘアに金色の瞳をしている。そして、隣にいる少女同様めっちゃ可愛い! 胸は多分、梨沙やナナ、オリヴィアよりも少し小さい。
それにしても……手枷と足枷……まさか、ここは――ヒューマンショップ。
ヒューマンショップと知った俺は無意識に、ステージに向かって歩いていた。ステージに向かって歩いていると、俺が誰なのか気づいたのだろう、あちらこちらから驚きの声が聞こえてきた。
ステージに上がり二人の少女に目線を向ける。よく見ると二人の身体は傷だらけで、とても痛々しく、奴隷が着てる様な服もボロボロになっていた。
「この二人は俺が貰うぞ」
「この二人は大事な商品だ渡すと思うか?」
「お前に拒否権があると思うのか? 今すぐここを潰したっていいんだぜ?」
「くっ!」
どうやら、お許しが出たようだ。
俺はステージから降りて、二人の少女に手を差し伸べると、二人の少女は怯えながらも傷だらけになった痛々しい手を伸ばし、俺の手を取りステージを降りると、凛達が居る扉の方へ俺と共に歩いて行く。
「屋敷に戻るぞ。悪いな師匠、王都を見て回る続きは、また今度でいいか?」
「あぁ、構わないよ」
「神器解放、時空! 空間移動!」
俺は空間移動で屋敷の広間に移動すると、二人の少女は何が起きたのかと、あたりを見まわしていた。
俺は二人の少女に何が起きたのか、分かりやすく説明する。
「空間移動を使うと遠く離れた場所に、移動する事が出来るんだ。だからさっきの場所から、屋敷の広間に一瞬で移動したんだよ」
「どうして私達を……」
どうして私達を助けたのか? って聞きたいんだろうな。確かに、昔の俺なら絶対に助けようなんて、思わなかっただろうな。それもこれも全部――。
「あいつの影響だろうな」
そう言った途端、俺のお腹から腹の虫が大きく鳴いた。それに続き、アルシア、凛、師匠のお腹からも腹の虫が鳴いた。
「あっははは、腹減ったぁ。ナナ、昼飯作ってくれないか?」
「かしこまりました、ご主人様。直ぐに昼食の準備をしますね」
「私も手伝うよ、ナナさん」
梨沙はナナの昼食作りを手伝いに行った。
俺はソファーが足りないので王都に行って、二人の少女が座るソファーと、テーブルを買って来た。
俺は買って来たテーブルを、元々あったテーブルと並べてソファーを置く。縦に並べたテーブルのサイドに四つのソファーを置いて、壁側の方にもう一つのソファーを置く。
ソファーに座り待っていると、梨沙とナナが昼食を乗せた台車を押して、広間に入って来た。
「お待たせしました。昼食にございます」
ナナと梨沙は昼食のカレーをテーブルに並べ終えると、壁側のソファーにルイーザと共に座る。
俺から見て正面にはアルシア、メロディア、オリヴィアが座り、その左隣にレイチェル、モニカ、師匠が座る。そして師匠達の前には二人の少女がソファーに座り、目の前の料理を不思議そうに見ていた。
「あ、あの、この料理は何ですか?」
「何って、昼食だけど」
「これ、私達が食べてもいいんですか?」
随分と不思議な事を聞くなぁと思いつつ、俺は金髪ロングヘアの少女の質問に答える。
「当たり前だろ」
「ゼロちゃん、私、もうお腹が限界なんだけど……」
「悪い悪い、それじゃあ、早速食べますか!」
「いっただきまーっす!」
俺達は手を合わせて言った後、昼食を食べ始める。これに続き、二人の少女もぎこちなく手を合わせた後、昼食をとても美味しそうに食べていた。




