29 領域数って何?
オリヴィアは腰に身に付けていた、一撃必殺を取り出し神器を解放する構えを取る。
師匠も俺が何時もやっているように、異空間から刀を取り出し抜刀した。師匠の持つ刀の名は雪、刀身、鍔、柄、そして鞘その全てが純白となっている。
「神器解放! 一撃必殺!」
「こい!」
刹那、オリヴィアと師匠は二人同時に、俺に向かって斬り掛かって来た! ……さて、オリヴィアと師匠相手に、どうやって戦おうかなぁ。悩むなぁ……まぁ、取り敢えずはこの戦いを、楽しむ事にしようかな。
オリヴィアの一撃を受けて、一度死に生き返りそして、師匠の刀の一撃をグラムで防ぐ。師匠と刃を幾度も交え、オリヴィアの一撃必殺の攻撃を受ける、その度に俺は死に生き返る。
さぁて、今度はこっちから仕掛けようかな。俺はオリヴィアとの距離を瞬時に詰めて、上から下に向けてグラムを振り下ろすが、オリヴィアに難なく防がれた! 左から師匠が刀を振り上げて、俺の腕を斬ろうとしたので、俺はグラムを逆手に持ち直した後、地面に突き刺し右手で柄を強く握り、逆立ちするとその反動で、グラムは地面から抜けて、オリヴィアの背後を取り左から、右にかけてオリヴィアに斬り掛かる。
オリヴィアがこの一撃を防げなければ、確実にオリヴィアは死ぬ。だけど、俺は絶対にそうならないと、オリヴィアの事を信頼している。オリヴィアは瞬時に振り返ると、一撃必殺を振り上げてグラムの一撃を防いでいた。……ほらね、オリヴィアは見事にグラムの一撃を防いだ。本当に強くなった。
「やるじゃないか、今の一撃を防ぐなんてさ!」
「まぁね!」
「そんじゃ、続きやろうか?」
「あぁ」
オリヴィアと師匠との戦いを再開しようとした時、ナナが此方に向かって、走って来るのが見えたので、戦いを一時中断した。
「どうしたんだ? ナナ」
「女王陛下がお呼びです。それと、全員で来てくれと」
「全員で? 何の用だろう?」
俺は一度、アルシア達を覆っていた隔離空間を解除して、ナナから聞いたことをアルシア達に説明した。
「そういう訳だから一度修行を中断して、王宮に向かう」
「何の用なんだろうね」
「行けば分かるさ」
俺は空間移動を使い王宮の前に移動すると、門番をしていた騎士がアリアの居る部屋まで、案内をしてくれた。
中に入るとシャロンや、ウィリアル、他にも懐かしい面々が居た。すると一人の女の子が俺に抱きついてきた。
「久しぶり、エミリア!」
俺に抱きついた女の子、エミリアはうんうんと、首を縦に振っている。肩くらいあるカールのかかったピンクの髪に、ピンクの瞳、口をマスクで隠し、アルシア達が着ている様な、騎士の鎧を着ている。背丈は凛よりも少し小さい。
「ゼローグ? 本物か?」
「あぁ、本物だぜ! 最強の騎士ゼローグ様だ!」
「その感じ、どうやら本物みたいだな。今まで何処にいたんだ?」
「その説明はまた今度」
すると、エミリアは思い出したかの様に、どこからかスケッチブックとペンを取り出し、何かを書いている様だった。
エミリアは書き終えたスケッチブックを、俺に見せるとそこには、会えて嬉しい! と書いてあった。俺はエミリアの頭を優しく撫でながら言った。
「俺も会えて嬉しいよ、エミリア!」
すると再びエミリアは、俺に抱きついてきた。俺もエミリアの事を優しく抱きしめる。
「お兄、誰でありんすか? その子、それにどうして、その子は喋らないんでありんす?」
「エミリアは喋れないんだ」
「喋れない?」
「正確には喋りたくても喋れないんだ。エミリアは神の加護言霊の適合者でな、放った言葉を全て現実にしてしまうんだ。だから、俺がエミリアの口の時間を停止させて、マスクを着け喋れないようにした。でないと、何でもかんでも現実にしちまうからな」
「そうだったんでありんすね。でもマスクを着ける理由はあるんでありんすか?」
「そんなの決まってるだろ? 可愛いから!!」
何時かエミリアが喋れる時が、来るといいなぁ。でも、その為にはエミリアが神の加護を、完璧にコントロール出来る様にならなきゃいけない。
ずっとこのままじゃ可哀想だしなぁ。何か良い方法はないもんかね。まぁ、それはまだ後でもいいかな。
「さて、話はそこまでにして全員、庭に移ってもらうぞ」
「それなら、空間移動で庭に移動するか?」
「あぁ、頼むゼローグ」
俺は部屋にから庭に、空間移動を使って全員移動させた。本当、我ながら便利な技だよな。大抵の距離なら一瞬で、移動出来ちまうだからなぁ。
庭には、数人のメイドが庭の手入れをしていた。それにしも広いなここの庭、俺の屋敷の広間の倍くらいあるんじゃないか?
「ここで良かったか? アリア」
「うむ、バッチリだ! あれを持ってきてくれ」
アリアは庭で花の手入れをしていたメイドに、何かを持ってくるよう頼むと、メイドはアリアに向けて、一礼した後何処かに行ってしまった。
暫く待っていると、さっきのメイドが台車を押して戻って来た。台車には白い布で隠された何かが乗っていた。アリアはその布を取ると、そこにはゲーセンにあるアーケードゲームの様な、フォルムをした物があった。
「何これ?」
「領域数計測装置だ!」
「領域数計測装置?」
「そう、この下画面に手を置くと、その者の領域数を知る事が出来るのだ!」
アリアが装置の説明をした後に、後ろに居た梨沙が、俺の服の裾を引っ張りながら、こう言ってきた。梨沙のこういう仕草がたまらなく可愛い!
「ねぇ、ゼロ、領域数って何?」
「えーっと、分かりやすく説明すると、例えば、あの装置に手の触れた奴の力が、十階建てのビルとすると、そいつは一階から十階までの力を、発揮する事が出来るって訳」
「なるほど」
「私達を集めたのは、私達の領域数を測る為ね……」
「アタリ! という訳だから私が名前を呼んだら、この装置に触れてね!」




