27 謎だらけのゼローグ
自室で少しの間待っていると、部屋の扉が開かれて、凛達が部屋に入って来た。
「ご主人様っ!!」
ナナは部屋に入ると、涙を流して俺の事を呼んで、抱きついてきた。他の皆も安堵の涙を流している。
「ご主人様、ご主人様ぁ!!」
「心配かけたな、ナナ」
「ナナちゃんは、凛ちゃんの次にゼロちゃんの事を、心配してたんだよ。勿論、私達もゼロちゃんの事を、心配してたんだからね!」
「皆には本当に心配かけたな」
「このまま貴方が、目を覚まさなかったら、私は……」
「本当にごめんな」
それにしても、身体が動かないって、本当に不便だな。王宮で寝ていた時は、少ししたら動けたけど、今回はまだ身体は動きそうに無いな。ナナは漸く泣き止み、今は俺から離れた所に居る。
「なぁ、凛、一つ聞いていいか?」
「何でありんす?」
「どうやって俺を、ここまで運んで来たんだ?」
「それはあの時、お兄が倒れそうになった所を、魔王がお兄を支えた後に、お兄が気を失って、魔王が屋敷までお兄を運ぶのを、手伝ってくれたからでありんすよ」
そう言った凛の言葉に俺は、驚きを隠せなかった。メフィストフェレスが俺を、屋敷まで運んでくれたって訳か……。どうして? 疑問は尽きないが、考えるのは後でいいか……。
「何もされなかったか?」
「……うん」
「そっか、それなら良かった……」
すると、徐々に睡魔が俺を襲って来た。なんとか、睡魔に耐えようとするが、睡魔には敵わず俺は眠りについた。
「お兄、お兄、起きるでありんす。もう朝でありんすよ」
「……うぅん、朝ぁ?」
「そうでありんす。朝食を食べるでありんすよ」
俺はベッドから起き上がり、目を擦りながら、大きな欠伸をする。
「ふわぁぁぁ……」
「ほら、着替えるでありんすよ!」
そう言って凛は、俺をパジャマから普段着ている、服に着替えさせる。俺を着替えさせた後、凛は俺の手を握り、部屋を出て一階に降りた後、顔を洗ってくれた。正にいたれりつくせりだ。
顔を洗った後、凛は再び俺の手を握り、広間まで連れて行ってくれた。中に入ると、既に他の皆は、自分の席に座って俺達を待っていた。
「おはようございます。ご主人様」
「おはよう。ゼロ」
「おはよう。ゼロちゃん!」
「おはよう。団長」
「おはよう。ゼローグ」
「おはようございます。ゼローグさん」
「おはよう。ゼローグ」
皆は笑顔で俺に、おはようと言ってくれる。俺も、皆に心配かけた詫びも含めて、笑顔でおはようと言った。
「さぁ、朝食を食べるでありんすよ」
「あぁ」
「いただきます!」
全員で手を合わせて言った後、皆で朝食のパンを食べ始める。朝食を食べ終えるとナナは、部屋の隅に在る台車に食器と、ジャムの入った瓶を置いた後、食器を洗いに厨房に向かった。
「梨沙、話があるんだけどいいか?」
「うん」
俺は梨沙を連れて、外に出て庭に向かった。
庭に着くと俺は、庭に置いてある椅子に座って、もう一つの椅子に梨沙を座らせる。
「話って何? ゼロ?」
「前にさ、俺が二割の力で、殺気を放った事があっただろう?」
「うん、それがどうかした?」
「あの時は、怖い思いをさせちまって、悪かったな」
「ううん、気にしないでいいよ、それくらい。話たかったのはその事?」
「それもあるんだけどさ……」
俺が本当に梨沙と話たかったのは、あの時、殺気を放って、怖い思いをさせた事を、謝る為じゃない。
どうして俺の事が――。
「どうして俺の事を好きになったんだ?」
「っ! ……それわね、貴方が覚えているかは、分からないけど、前の世界に居た時に、小学校で一緒のクラスだった時、私は成績が良かっただけで、クラスの大半の人から虐められていたんだ。他の皆は知らんぷりで、誰も助けてくれないと、思ったそんな時にね、貴方が私の事を助けてくれたからだよ」
「それで、俺の事を好きになったのか……」
「うん」
俺は梨沙の事を、どう思ってるんだろう? 好きなのかな? 嫌いでは無いよな。俺は梨沙の告白に、どう答えてあげればいいんだろう?
『そのまま思った事を、伝えればいいだろう』
思った事を伝えるって、どういう事だよルイーザ。
『はぁ、ゼローグ、お前は梨沙の事を、どう思っているんだ? 好きでは無いのか?』
勿論好きだよ、でもそれは仲間としてだ。一人の女性としてじゃない。
『ならばそれを伝えればいいだろう?』
俺は立ち上がって、梨沙の前に立つと、梨沙に立ち上がるように促す。よし、言うぞ!
「梨沙、俺は梨沙の事が好きだよ。だけどそれは仲間としてだ。……だからさ、俺が自信をもって梨沙の事を、好きだと言える日まで、待っててくれないか?」
「……うん! 嬉しい、ありがとう。ゼロ!」
そう言って梨沙は、涙を流して喜び、俺に抱きついて来た。俺は優しく梨沙の頭を撫でてあげると、梨沙はとても嬉しそうにしていた。
「ねぇ、ゼロ、私も貴方に言いたい事っていうか、聞きたい事があるの」
「何だ?」
「その前に、二つ程確認したい事があるの、一つは、ゼロは呪いで死ぬ事が出来ないんだよね? それって死ぬ事が出来ないだけで、肉体は歳を取るんだよね?」
「あぁ、多分な」
「もう一つは、ルイーザさんの不滅の力でも歳は取るの?」
『不滅になるだけで歳は取るぞ』
「それじゃあ何で、ゼロは神の加護を宿して無いのに、三年前と見た目が、変わっていないの?」
そういえば、考えた事なかったけど、どうして何だ? 俺は呪いとルイーザの力で死なない。
梨沙の言ったように、死なないだけで肉体は歳を取る筈だ、なのになんで……俺は、歳を取ってないんだ?
「俺にも分からん、何で歳を取らないんだろうな」
「貴方って謎だらけな人だよね」
「え?」
「だって、そうでしょ? 神気を十二種も持っていたり、何故か歳を取らなかったり、他にも色々!」
「そうだな!」
それにしても、何で歳を取らないんだろう? 我ながら謎だな。




