24 貴方の事を誰よりも……
目的のレストランに着いて、俺と凛はレストランの中に入ると、店内はお客さんで満員になっていて、椅子が足りず立っている人が居るほどだ。ざっと数えても、待っている人だけで、三十人は居る。夕食が食べれるのは何時になるのやら。
まぁ、夕食時だから仕方がないんだけど、何でこんなに混んでいるんだ?
「随分待つことになりそうでありんすね」
「みたいだな」
俺と凛は邪魔にならない所で、二人で並んで待つことにした。
それにしても退屈だ。人生で、こんなにも退屈な思いをしたのは、いつぶりだろうか。隣に居る凛も、かなり退屈そうな顔をしている。
「お兄、退屈でありんす」
「ふわぁ……あぁ、俺もだ」
「後どれくらい待つんでありんすか?」
「さぁ? ……どれくらいだろうなぁ? ……はぁ」
そんなやり取りを終えると、夕食を食べ終えた、四人家族が会計をしていた。
そして、店員さんがテーブルの皿を片付けて、テーブルを拭いた後、椅子に座っていた四人の男女を、四人家族が座っていた席に案内していた。
これで残り、二十六人だ。はぁ……長いなぁ。俺は隣に居る凛に視線を移すと、凛は眠そうにして、目を擦っていた。
「凛、眠いなら俺がおぶってやるから、順番がくるまで、寝てたらどうだ?」
「うん」
俺は少し屈み凛を背負うと、余程疲れていたのか、退屈だったのかは分からないが、凛は直ぐに眠りについて、寝息を立てていた。
普段も凄く可愛いが、寝ている凛は特に可愛いな。
待っている内に、時間は過ぎて行き、残り五人となった。隣に座っている凛は、俺の肩に頭を乗せて、寝息を立てている。そろそろ凛を起こした方がいいかな、でも、折角気持ちよさそうに寝てるのに、起こしたら可哀想かな? まぁ、順番が来てからでもいいか。
二人の男女が店員さんに呼ばれて、席に案内された。これで、残り三人の女性客だけとなった。まぁ、他にも待ってるお客さんは居るんだけどね!
「お兄……大好き……」
凛の寝言を聞いた俺は、嬉しくて思わずにやけてしまった。俺は、凛の頭を優しく撫でると、凛は嬉しそうな顔をして、寝息を立てていた。
すると、三人の女性客が店員さんに案内されて、席につくとメニューを見ていた。
長かった、漸く次で俺達が呼ばれる。俺は隣で眠っている凛を起こすと、凛は目を擦りながら欠伸をしていた。
「順番が来たんでありんすかぁ?」
「あぁ」
凛は一度立ち上がって、両手を上に上げてこう言った。
「うーん……よく寝たでありんす」
すると、店員さんが此方にやって来て、席まで案内してくれた。やっと夕食が食える。もうお腹ペコペコだ。
俺と凛は席に座ると、メニュー表を見てどれにしようか悩んでいた。これだけ腹が減ってると、全部の料理を食べれそうだ。無理だろうけど。
「俺は、カレーとオムライスとサラダにしようかな。飲み物はお茶でいいや。凛はどれにする?」
「わっちもお兄と同じのにするでありんす」
「そうか、それじゃあ店員さんを呼ぶか」
俺はテーブルに在る、呼び出しボタンを押して、店員さんを呼ぶと、少しして店員さんがやって来て、メニューを頼んだ。
暫くして頼んだ料理を、台車に乗せた店員さんがやって来て、料理をテーブルに乗せ後、他のお客さんの対応をしに行った
「いただきます!」
俺と凛は両手を合わせて言った後、目の前の料理を食べ始める。俺は最初にオムライスを食べて、凛は最初にカレーを食べていた。
やっぱりここの料理はとても美味しい。幾らでも食べれそうだ。俺は、あっという間にオムライスを食べ終えて、次にカレーを食べ始める。凛もカレーを食べ終えて、オムライスを食べていた。
「幸せでありんす」
そう言った凛は、とても幸せそうな顔をして、オムライスを食べていた。
「あぁ、幸せだな」
俺はオムライス同様、カレーもあっという間に食べ終えて、最後にサラダを食べていた。凛もオムライスを食べ終えて、サラダを食べていた。
「ふぅー、食った食った」
「オムライスもカレーもサラダも、美味しかったでありんすね!」
「あぁ、さぁ、会計しに行くぞ」
「うん!」
俺は会計を終えて、外に出て時間を確認すると、六時半になっていた。予定より時間がオーバーしたけど、まぁ仕方がないか。帰るのは八時くらいでいいかな。
「さて、広場で一休みするか!」
「うん」
ん? 気のせいかな凛が元気ないように見えるんだけど……
「早く行くでありんすよ! お兄!」
凛は俺の手を引っ張り、広場まで走り始めた。どうやら元気がないように見えたのは、俺の気のせいだった様だ。
広場に着くと俺と凛は、ベンチに並んで座って一休みしていた。暫くすると急に凛が立ち上がって、俺を見つめていた。
「どったの?」
「お兄も立ち上がって」
「う、うん」
俺は凛に促されて立ち上がると、凛と向き合う形になる。怖い顔で凛が俺を見ているんだけど、なんか怒らせることしたかな?
「お兄……ううん、ゼローグ」
「は、はい!」
凛が俺を名前で呼ぶなんて……本当にどうしたんだろう?
「ゼローグにどうしても、言いたい事があるでありんす」
「な、何でしょう」
「わ、わっちは……わっちは、ゼローグ貴方の事を、誰よりも……愛しているでありんす。だから、わっちの事を……お嫁に貰ってほしいでありんす!」
「へ?」
凛からの突然の告白に、間の抜けた声を出してしまう。これって逆プロポーズってやつ? え、本気で? 今日一びっくりしたよ! まぁ、でも、俺の答えは既に決まっているけどさ!
「凛、前に宿屋で言った事覚えているか?」
「もう、何処にも置いていかないでありんしょう」
「その後に言った事は覚えているか?」
「うん、ずっと一緒って……」
「あぁ、あの時から俺の心は決まってる。俺も凛の事を、心の底から愛しているよ。これからもずっとずっと一緒だ!」
それを聞いた凛は大量の涙を流して、俺に抱きついてきた。俺は凛の事を優しく抱きしめると、口づけを交わす。
「大好きでありんす、お兄」
「あぁ、俺も大好きだよ、凛」
「暗くなってきたし、そろそろ帰ろうか」
「うん!」
俺と凛は手を繋ぎ、王都の門まで歩いて行く。門を出て俺と凛は、歩くペースを落として歩いていた。王都から大分離れると突然、七十二柱の悪魔の魔力を感じたので、俺と凛は歩みを止める。
「折角、いい気分で凛と歩いていたのに、七十二柱の悪魔とご対面とは、ツイてないな」
「本当でありんす」
「俺は、サタン様に仕える七十二柱の悪魔が一人シトリーだ! ゼローグ、貴様の本気見せてもらうぜ」
いかにも不良みたいな奴だな、逆だった白い髪の毛に、白いシャツの上に、学ランの様な黒服を着ていて、黒い長ズボンを履いている。
「いいぜ、折角の凛とのデートを、邪魔した罰だ、俺の本気を見せてやるよ……ちょっとだけな」
俺は、異空間から煉獄を取り出すと、解放する構えをとり、俺とシトリーを隔離空間で囲う。念の為、凛も隔離空間で囲っておこう。
「神器解放! 煉獄! ……見せてやるよ神気の二つの可能性を!」




