18 二本目
凛の前には凛が自身の神の加護門で、呼び出した全長二十メートルはある巨大なドラゴンがいて、その巨大なドラゴンは凛の纏わせた妖気の黒いオーラに包まれている。
対するアガレスは凛が呼び出した巨大なドラゴンを見ても、驚く事はなく巨大なドラゴンが相手でも、余裕だというような表情をしている。
「行くでありんす! 征け!」
そう言って凛は呼び出した巨大なドラゴンの背中に乗って、命令をすると巨大なドラゴンは咆哮をあげて、目の前のアガレスに向かって飛んで行く。
「大きければ良いという訳ではありませんよ」
アガレスはそう言った後背中から悪魔の羽を出して、空を飛び凛の使役する巨大なドラゴンと、空中戦を始めていた。
巨大ドラゴンは口から炎を吐きアガレスに攻撃し、アガレスはそれを紙一重で交わしている。巨大ドラゴンが吐いた炎は辺り一面を焼け野原にしていた。
唯は俺が作った隔離空間の中にいる為、唯が立っている所は黒焦げにはなっていない。俺は巨大ドラゴンが吐いた炎を食らっても、直ぐに焼け焦げた体は呪いの力と不滅の力により、一瞬で治るので交わさずに巨大ドラゴンの炎を、もろに受けている。
「旦那様が作った、この隔離空間がなかったら、妾は一瞬で黒焦げになっていたね」
そう言い唯は空中で戦っている巨大なドラゴンの背中に乗った凛と、アガレスとの戦いを見ていた。
アガレスは巨大ドラゴンの放つ炎を、紙一重で交わしながら両手に魔力を集中させて、魔力の玉を巨大ドラゴンに浴びせるが、巨大ドラゴンの体は妖気のオーラに守られていて、全く傷ついておらず巨大ドラゴンは、アガレスに向かって炎を吐いていた。
「頑丈だなぁあのドラゴン。まぁ、凛が纏わせた妖気のオーラが、強力なのもあるのかもしれないな」
すると空中で激闘を繰り広げていた巨大ドラゴンに乗った凛と、アガレスが地上に降りてきた。
「参りましたね……巨大なドラゴンなど直ぐに倒せると思っていたのですが、巨大なドラゴンに私の魔力の玉は通じませんし、貴方に攻撃しようとしても、ドラゴンがそれをさせない。どうしたものか……」
「参ったのなら降参したらどうでありんすか」
「まさか降参などしませんよ。魔力の玉が駄目ならこれでお相手しましょう」
そう言ってアガレスは手元に魔方陣を展開して、刀の形をした魔剣を取り出した。魔剣は柄、鍔、刀身その全てが黒よりも更に暗い漆黒の色をしていて、アモンやモニカやナベリウスの持っていた、黒い無名の魔剣よりも更に禍々しいオーラを放っている。
あのオーラは不味いな……まさか無名の魔剣じゃなく名のある魔剣か?
「ゼローグ貴方の思った通りこれは、無名の魔剣ではなく名のある魔剣です。使えば私の命を削りますが、あの巨大なドラゴンを倒すにはこれしかありませんからね」
「名のある魔剣? 一体なんて名前の魔剣でありんすか?」
凛は巨大ドラゴンの背中から降りて、アガレスの持つ魔剣の名前を聞いている。
「この魔剣の名前はストレイル、魔剣ストレイルです」
「魔剣ストレイル……凛、気をつけろよ無名の魔剣と違って、名のある魔剣の力は絶大だ!」
「分かったでありんす!」
そう言った後凛は門でもう一体の巨大なドラゴンを呼び出して、自分の妖気を呼び出した巨大なドラゴンに纏わせると、二体の巨大なドラゴンでアガレスに、攻撃するように命じる。
二体の巨大なドラゴンは口から炎を吐き出してその炎が、一つの大きな炎のブレスになった。
「これならどうでありんすか?」
アガレスは自分に向かってくる炎のブレスに魔剣をひと振りすると、二体の巨大なドラゴンが放った炎のブレスを、魔剣のオーラだけで消し去った。普通、魔剣のオーラだけであの攻撃を消し去るかよ。それだけあの魔剣ストレイルの力が強いってことか。
「まさかもう一体巨大なドラゴンを呼べるとは驚きです。ですがこの魔剣ストレイルの前には無意味ですよ」
アガレスはそう言った後、目にも止まらぬ速さで二体の巨大なドラゴンを、一瞬でバラバラに斬り刻んだ。アガレスの強さは今の凛の手に余る強さだな。凛がパワーアップすれば勝てる可能性もあるだろうが、そんな簡単にパワーアップできる訳もないしな。
二体の巨大なドラゴンが目の前でバラバラに斬り刻まれる所を、見ていた凛は何が起きたのか分からないというような顔をしていた。
俺は唯に凛がアガレスに勝つにはどうしたらいいか相談してみた。
「うーん……あ、そうだ、旦那様が凛にアガレスに勝てたら、ご褒美を上げると言ったらいいんじゃない?」
「ご褒美かぁ、何がいいかなぁ……よし! 決めたぞ!」
俺はアガレスの攻撃から逃げていた凛の所に行って、唯が言っていた事を凛に言ってみる。
「凛、この戦いでアガレスに勝てたら俺が、なんでも一つだけ凛の言うことを聞いてあげるぞ!」
「それは本当でありんすか?」
「勿論! 男に二言はない!」
それを聞いた凛の妖力は突然跳ね上がり、凛は銀色のオーラに包まれていった。
「もしかして、まじでパワーアップしたのかよっ!」
銀色のオーラに包まれている凛からは、普段隠している耳と尻尾が現れていた。よく見ると凛の尻尾は、一つだけだったものが二本になっていた。俺からのご褒美で妖力が跳ね上がった事で、尻尾が増えて二本になったって事か。すげぇな。
「アガレス、貴方に負ける訳にはいかなくなったでありんす!」




