15 絶望の過去
「友を敵に回す原因ってどういう事? 団長」
「少しだけ俺の過去の話をしようか」
「ゼロちゃんの過去?」
「もう何十億年も前の話だ、あの時の俺は人間にとても興味があってな、人間を知る為にとある王国に毎日通っていた。その王国で知り合ったのが、当時王国騎士だったセシリアだ。俺はセシリアと合うたびに次第にあいつに惹かれていき、俺達は恋人になったんだ。だけど、ある日王国に七十二柱の悪魔と魔王が攻めて来てな、その時俺達は王国でデートをしていたんだが、七十二柱の悪魔と魔王が攻めて来た事を知ったセシリアは、王国騎士として悪魔と魔王との戦いに向かった。俺もその戦いに参加していたんだが、一人の騎士が放った攻撃が七十二柱の悪魔によって、跳ね返されて俺に当たりそうになったんだが、攻撃が当たる瞬間にセシリアが俺を庇って、セシリアは味方の騎士の攻撃を食らって死んだ」
俺は涙が出るのを堪えていると心配になった凛が、俺の手を強く握ってくれた。
俺も凛の手を強く握り返し、過去の話の続きをする。
「本当は技が当たっても俺は呪いで死ぬことはなかったんだ。セシリアはそれを知っていたのに俺を庇った。死ぬ前にどうして庇ったかを聞いたら、庇った理由は大切な人が傷つく所は見たくないって理由だった。セシリアが死んだ後俺は怒りで王国を壊滅させた」
「団長の左目って何時から呪われていたの?」
「セシリアに合って一週間くらい経ったくらいの時だよ」
「いつ呪われたかは覚えていたんだね」
「ねぇ、ゼロちゃん。セシリアさんってどんな人だったの?」
「相手が誰だろうと困ってる人がいれば手を差し伸べて、助けようとするとても優しい女性だったよ」
そう言った後俺は、セシリアが死んだ悲しみに耐えきれずに、大粒の涙を流して嗚咽を漏らしながら、その場にへたり込んでしまった。
凛は俺の前に来ると俺を自分の胸に優しく抱き寄せてくれた。
「……っ……! 俺のせいで……っ俺がもっと強ければ……ううっ……あいつを……っ……死なせずに済んだのに」
「お兄のせいじゃないでありんすよ、前も言ったでありんしょう、悪いのは七十二柱の悪魔だって」
「……っだけど……くっ……」
俺は溢れる涙を抑えることができずに、凛の胸の中で、只々泣きじゃくる事しかできなかった。
「……ご主人様」
「ゼロちゃんのこんな姿初めて見た」
ナナ達は俺が落ち着くまで一度広間を出ていった。
広間には俺と凛だけが残り、俺は溜まっていたものを吐き出すかのように、大粒の涙を流しながら、嗚咽を漏らしていた。
「セシリアの事が大好きだった……誰よりも……」
「うん」
「……っ……! ……守りたかったけど……っ守れなくて……っ……どうする事も出来なくて……っ!」
「うん」
凛は俺の話を聞きながら、俺の頭を優しく撫でてくれる。
「だからこそ、セシリアさんを生き返らせるんでありんしょう?」
「うん」
溜まっていたものを吐き出すと、少しだけ楽になれた。だけどもう少しだけ凛の胸の中にいたかった。
凛は何も言わず俺を自分の胸に抱き寄せたまま、俺の頭を優しく撫でてくれる。
「落ち着いたでありんすか?」
「あぁ」
俺と凛は立ち上がると俺達は、お互いに見つめ合いそっと口づけを交した。
「わっちは皆を呼んで来るでありんすから、お兄はソファーに座って待っているでありんすよ」
「うん」
凛がナナ達を呼びに行った後、俺は皆が来るのをソファーに座って待っていた。
数分するとナナ達は広間に入って来て、とても心配そうな顔をしていた。
「大丈夫ですか? ご主人様」
「心配かけたな」
「いえ、お気になさらず」
そう言ってナナはソファーに座り、他の皆もソファーに座る。俺の隣に座っている凛と唯は俺の両手を、強く握りしめてくれた。
俺も二人の手を強く握り返した。
「この世界に来る前に俺は毎日同じ夢を見て、涙を流していたんだ」
「その夢ってもしかして……」
そう言ったメロディアは俺が見た、夢の内容を察した様だった。
「目の前でセシリアが死ぬ所だ。あの時はどうしてだろうと思ったけど、記憶を取り戻した時に分かったんだ、大切な恋人だったから忘れることができずに、毎日同じ夢を見て涙を流していたんだって」
「ゼロちゃんは王国を壊滅させた後どうしてたの?」
「凛と一緒に暮らしていたよ、王国を作る為に俺は、凛を置いて出ていったんだ。そして俺は王国があった場所と同じ所に、新しく王国を作ったんだそれが今のフィリナ王国だ」
「えぇぇ! フィリナ王国ってゼロちゃんが作ったのぉぉ!」
アルシアだけじゃなく他の皆も、大声を上げて驚いていた。
「俺はセシリアの変わりに困ってる人を助ける為に、王国を作って騎士になりフォルティッシムス騎士団を結成した」
「凛ちゃんと合ったのは何万年も前なんでしょ、凛ちゃんに合う前はゼロちゃんは何をしてたの?」
「マールの所で暮らしていたんだ」
「ご主人様もう夜遅くなので続きはまた明日にしませんか?」
外を見るともう随分暗くなっていたので今日はここまでにして、続きは明日にした方がいいな。俺も凄く疲れたし。
俺達は広間を出て一度部屋に戻り眠った後、明日続きを話す事になった。
凛と唯は着ぐるみパジャマを着ていて、三人でベッドに横になる。
「凛、今日はありがとな」
「お兄が誰にも頼れなくて困っている時は、わっちが側にいてあげるでありんすから」
「ありがとう。大好きだよ凛」
「わっちもお兄の事が大好きでありんす」
凛はそう言って俺の手を強く握ってくれたので、俺も凛の手を強く握った。
俺は泣き疲れていたのもあって直ぐに、眠りにつく事が出来た。




