02 悪魔アモン
「さぁて。飯も食ったし悪魔が出るまでソファーで横になろっと」
昼食を食べ終えて俺は悪魔が出るまで、広間のソファーにまた横になっていた。凛と唯はまた俺のお腹の上で気持ち良さそうに眠っていた。俺は常に検索空間を発動している為、悪魔が何処に出たのかが直ぐに知る事ができる。アルシアとメロディアとオリヴィアの三人はソファーに座って、食後のデザートを楽しんでいた。
「もしかして悪魔が出るまで、そうやってソファーに横になってるつもり?」
「うん」
「はぁ。何でこんな人を好きになったんだろう私」
梨沙は呆れたようにそう言ってソファーに座る。ていうかこんな人ってどういう事だよ。
「確かにご主人様は普段は綺麗な女性と、お酒を飲むか寝るかのどちらかですし、梨沙様が呆れるのも分かりますが、ですがご主人様はいざという時は、本当に頼りになる方ですよ」
俺が横になっているソファーの後ろに、控えていたナナが梨沙にそう言った。梨沙が呆れるのも分かるって、普段そんなふうに思ってたのか。すると検索空間に悪魔が現れたのが分かったので、俺は狐と絡新婦の姿になっている凛と唯を、一度空間移動で床に移動させた後ソファーから立ち上がり、もう一度凛と唯を空間移動でソファーに移動させる。
「ナナ。凛と唯が人の姿に戻ったら二人に、布団を掛けといてくれ」
「分かりました」
そう言ってナナは一礼をするとナナは、広間を出ていった。多分凛と唯が人に戻った時に掛ける、布団を取りに行ったのだろう。
「悪魔が現れたの?」
「あぁ」
「あんまり無茶はしないでね」
俺は空間移動を使って悪魔が現れた場所に移動する。そこにいたのは白い逆立った髪の毛に黒いスーツを着て、丸い眼鏡を掛けた男だった。
「お前が七十二柱の悪魔だな」
「はい。私はサタン様に仕える七十二柱の悪魔が一人アモンにございます」
アモンはそう言ってお辞儀をして自己紹介をしてくる。随分紳士的な悪魔だな。
「俺と殺りに来たんだろ」
「えぇ。存分に楽しみましょう戦いを」
俺はアモンに向かって走っていき、アモンと殴り合いを始める、俺の拳とアモンの拳がぶつかり合う度に、衝撃波が生まれている。互いに傷ついていくが、呪いによって俺についた傷はあっという間に再生していく。
「いいぜ、いいぜお前やっぱ戦いは楽しくて仕方ねぇ」
「私も同意です。実力が拮抗した者同士の戦いは特に」
俺はアモンとの戦いを楽しむ為に常に力を抑えて戦っていた、そうしないと最強の騎士である俺の攻撃で一瞬で戦いが終わり、この戦いを楽しむ事が出来ないからだ。
「こんなもんじゃねぇだろ本気でこいよ」
「では、お望み通り本気でやりましょうか」
そう言いアモンは手元に魔法陣を展開してそこから武器を取り出した。
「その禍々しいオーラは魔剣か」
「はい。では行きますよ」
「こい!」
アモンは悪魔の羽を背中から出して、こちらに向かって飛んでくる。アモンは魔剣で俺に斬りかかってくるが、俺はアモンの剣撃を全て躱していく。俺は異空間から煉獄を取り出し神器解放をしないでアモンと刃を交える。
「それは神器ですね。何で解放しないんですか?」
「解放しちまったら折角の楽しい戦いが、一瞬で終わっちまうだろ」
三年前の煉獄は解放すると約一万度の熱を発するが、三年間の修行により一万度から八百万度までにの熱を発する事ができるようになった。最低温度の一万度にしてもアモンが死ぬのは目に見えている。だから俺は煉獄を解放せずに戦う。
「なめられたものですね。神器を解放しないでこの私に、勝てるとでも思っているのですか?」
「俺は負けない……絶対にな」
「何でそんな根拠もない事が言えるんですか?」
そう言いアモンは俺が負けないと言った根拠を聞いてくる。
「根拠ならあるさ、この俺が最強だからだ。最強であるこの俺より強い奴はいねぇ」
「傲慢ですね」
「なんとでも言うがいいさ、俺は事実を言っただけだ」
俺は未解放の煉獄でアモンに向かって行き、再びアモンと刃を交える。だがアモンは徐々に俺の動きについて行けなくなっていた。
「どうした、これで終わりか」
「なめやがってぇ」
そう言ったアモンはさっきまでの紳士的な態度から、打って変わって怒りに打ち震えている。おまけにアモンは肩で息をしていて、明らかにもう限界なのが分かった、七十二柱の悪魔と言えど所詮はこの程度か。
「起きてんだろルイーザ、少しの間力を貸せ」
俺は中に居るルイーザに声をかける。どうせ俺の中からアモンとの戦いを、見ていたに違いない。
『何だ、もう仕留めるのか』
「これ以上楽しめそうにないからな」
俺はルイーザの不滅龍としての滅する力を、右手に集中させる。俺はアモンに一歩また一歩と近付いて行く。
「何だ……お前のその右目の模様は」
「あぁ……この右目の模様は不滅龍ウロボロス・ドラゴンの模様さ」
「不滅龍ウロボロス・ドラゴンの力を宿しているのか、その力を宿した者は皆宿した直後に、死んでいる筈だ。なのに何故お前は生きて」
アモンはウロボロス・ドラゴンと聞いて、俺が生きている理由を聞いてくる。そのアモンの顔は絶望しているように見えた。
「これで終わりだアモン」
「くそぉ。こんな所でこの私が死ぬなんて」
そう言ったアモンはとても悔しそうだった。だが最強である俺が相手なら、アモンが負けるのは必然的だ。