01 騎士になった理由
アリアへの報告が終わり俺達は屋敷に戻っていた。
屋敷に着くと俺は広間の真ん中に三つある、三人掛けのソファーの一つに横になっていた。
ソファーは二つが向かい合わせになっていて、ソファーの間には、テーブルがあり壁側に、もう一つソファーがある。
アルシアとメロディアは、向かい合わせになっている、ソファーの片方に座って、その向かいにあるソファーに、梨沙とオリヴィアが座っている。
アルシア達は鎧姿ではなく私服姿で、アルシアは理沙と同じく黒いミニスカートに、白い靴下に黒い靴を履いていて、シャツは梨沙と交換している様だ。
メロディアはサンダルにピンクのワンピースで、腰に黄色いベルトを巻いていて、白いカチューシャをしている。
最後にオリヴィアは、黒い靴に黒いロングスカートで白い長袖を着ている。
ソファーに横になっている俺のお腹の上には狐の姿になった凛と、絡新婦の姿になった唯の二人が気持ち良さそうに眠っている。
ルイーザも俺の中で眠りについている。
「ねぇ。アルシア達はどうして騎士になったの?」
そう言って梨沙はアルシアが、騎士になった理由を聞いている。
「何でそんな事聞くの?」
「今思えば私、アルシア達の事全然知らないなぁと思って」
「私達は元々とある王国の姫だったんだぁ。だけど、反乱が起きて王族は私達以外皆死んじゃったんだ。それで行き場を失くした私達は色んな所を、彷徨っていた所をゼロちゃんに助けられて、この人の力になりたいと思って私達は騎士になったんだ」
アルシアは俺と出逢った時の事を、梨沙に話していた。
「そんな事があったんだ」
「うん。でも私達は反乱が起きた時、凄く嬉しかったるんだ」
「えっ、なんで?」
「私達の国では奴隷制度があったんだ……それによって人々は、王族の奴隷として生涯を、捧げることになってしまったんだ。私達二人の力じゃ、奴隷制度を廃止する事なんて、出来る筈もなく王族の悪行を、ただ見ているしかなかった。だけど奴隷や奴隷の親族が反乱を起こした事で、国は滅び奴隷達は王族から解放されたんだ」
「……そっか。……それじゃあ、オリヴィアが騎士になった理由は?」
今度は梨沙はオリヴィアに、騎士になった理由を聞いていた。
「私が騎士になった理由は私がまだ幼い時に、村を盗賊に襲われて親を殺されてね、運良く逃げる事ができたんだけど、幼い私に行く宛もある筈も無く、彷徨うしかなかった私をゼロが救ってくれたんだ」
「ごめん。私何も知らずに」
「気にしなくていいよ」
「ここにいる皆様は私を含めて、過去にご主人様に救われているんですよ」
そう言ってナナは梨沙に、過去について説明をしていた。
「ナナさんもゼロに救われたんですか?」
「はい。記憶を失い行く宛も無かった私を、ご主人様が救ってくれたんです」
「えっ! ナナさんって記憶喪失だっの」
梨沙だけでなく他の皆も、ナナが記憶喪失である事に驚いていた。
「でも記憶喪失ならマールさんに、記憶を元に戻してもらえばいいんじゃないの?」
「それは出来ないんだよ」
「どうしてなの?」
梨沙はそう言って俺に聞いてくる。
「マールの宿した記憶の能力で他者の記憶を復元するには条件があって、その人物の復元する記憶をマールが知っていないと復元する事は出来ないんだ」
「それじゃあマールさんがゼロの記憶を元に戻せたのはマールさんがゼロの復元する記憶を知っていたからなんだ」
「そういう事。ナナが俺とあった時には既に、自分の過去や名前すら忘れていたから。だからナナの記憶をマールに復元させてもらう事は出来ないんだよ」
何時かナナの記憶が戻るといいんだけどな。
「ゼロの持つ時空の能力で記憶を失う前に戻す事は出来ないの?」
「時空で時間を元に戻すには戻す前の時間の状態を知っていないといけないんだ」
前に幽霊屋敷の床を巻き戻せたのは屋敷の床を、元に戻す前の時間の状態を知っていたから、つまり床を巻き戻せたのは八岐大蛇の顔が出て、壊れる前の状態を見た事で知っていたからだ。
「それじゃあ。ナナさんの記憶を元に戻す事は出来ないんだ」
「残念な事にな」
「私は記憶を元に戻せなくても、ご主人様の側に居ることがでぎれば、それで満足ですので気にしないで下さい」
「それじゃあ。ゼロはどうして騎士になったの?」
最後に梨沙は俺が騎士になった理由を聞いてきた。
「俺は俺の目的を達する為に騎士になった」
「前もアリアさんが言ってたけどゼロの目的って何なの?」
「全ての悪魔と魔王を倒すのが俺の目的」
全ての悪魔と魔王を倒すのが目的って言ったけど、本当は魔王を倒すのが目的で悪魔はついでだけどね。
「それならソファーで横になってないで、悪魔と魔王を倒しに行ったりしなくていいの?」
「直ぐに悪魔と魔王を倒しちまったら、折角の悪魔や魔王との戦いが楽しめないだろ。それに王国の偉い奴の決定で魔王を倒すのは、全ての七十二柱の悪魔を倒してからなんだとさ」
「ゼロなら全員を一人で相手に出来そうだけどね」
「俺もそう言ったんだよ一人で悪魔と魔王合わせた八百七十六人なんて、余裕だって言ったんだけど無茶だって事で、他国と連携して七十二柱の悪魔から倒す事になったんだ」
思い出したら急にムカついてきたな。
「えっ……悪魔って七十二人じゃないの?」
「魔王一人につき七十二柱の悪魔を従えているんだよ」
「流石にそれは私も無茶だと思うよ」
前に他の皆にも無茶だって言われたな。ナナは俺の味方だと言ってくれたけど。
「さっき他国と連携してって言ってたけど、他国の人達は悪魔の存在そのものを、消し去ったり封印する事は出来るの?」
梨沙は他の国がどうやって七十二柱の悪魔を、倒す方法を聞いてくる。
「他国の騎士は悪魔を存在そのものを消し去る事は出来ないから、退魔の輝石って言う魔の力を持った者に反応する輝石の中に、他国の騎士達は戦いで体力を消耗した悪魔を永遠に封印するんだ」
「へぇ。そんな便利な物があるんだぁ」
「そろそろ昼食の時間ですので私は昼食の準備をしてきます」
ナナはそう言うと、昼食の準備をしに、広間を出ていった。
その後、ナナが昼食を台車に乗せて、広間にやって来る。
俺は寝ていた凛と唯を起こして、二人が着替えた後皆で、ソファーに座り昼食を食べていた。
テーブルに並べられた料理は、どれも美味しくて、流石ナナの作った料理だなぁと、何時も感心する。




