12 最強の龍ウロボロス・ドラゴン
『到頭目覚めちゃったねあいつが』
『仕方あるまいあそこまで痛めつけられれば、あいつは必ず出て来る』
『我らも何時かは目覚める事になるかもしれんな』
またこいつ等あの時と同じ様に何かを話している。何者なんだそう聞こうとすると急に視界が真っ暗になった。
目を覚ますと俺は宿屋の自分のベッドに寝ていて、そこには皆がベッドを囲んでいてその中に、俺の身体から出てきた女性も居た。
「大丈夫お兄?」
「あぁ」
俺は笑顔で凛にそう言って安心させる。
「良かったぁ」
「他の皆も心配かけて悪かったな」
「あんたは一体何者なんだ。あの時サタンと何を話てたんだ」
俺は凛の隣に居た女性の方を向いて問いかける。
「私はお前に宿る最強の龍不滅龍ウロボロス・ドラゴンのルイーザだ。私はお前の事を中でずっと見ていた、会いたかったよゼローグ」
「そうか。それじゃあ。あの時お前はサタンと何を話ていたんだ」
するとルイーザは手を三本指にしてこう言った。
「三年だ。三年間だけ奴等は何処にも手を出さないと言っていた。以前のお前は他者を寄せ付けないくらい強かった、この三年間みっちり修行してお前は以前の力を完全に取り戻せ。まぁお前にとって時間など無限に等しいがな」
「三年で魔王を倒せるくらい強くなれるか」
「無論だ」
「それじゃあ今すぐ修行をしよう」
そう言い俺は、ベッドから降りようとするが、身体が動かなくて、ベッドから降りることができなかった。
「そう急ぐな。神器を三つも同時に解放すれば身体への負担は計り知れない、今はゆっくり休め時間はたっぷりあるんだから、修行は四週間後から始める勿論修行の相手は私だ」
ルイーザがそう言った後部屋のドアがノックされたので、ナナがドアを開けに行った。するとドレス姿のアリアが寝室にやって来た!
「ゼローグ! あれだけ無茶するなと言っただろ。心配したぞ」
「悪いな」
「お前が無事で良かった」
その後俺は眠りについて次の日の朝目覚めると、何時ものように裸の凛と唯が俺を挟んで寝ていた。
「お目覚めですかご主人様」
寝室に入って来たナナはそう言って、俺の方にやって来る。
「心配かけてごめんな」
「二度も謝らないでください。私はご主人様が無事ならそれで充分ですから。お気になさらず」
俺は心の底からナナが、俺のメイドで良かったと思う。すると凛と唯が同時に目を覚ます。
「おはよう、お兄」
「おはよう、旦那様」
「あぁ。おはよう」
二人は起き上がるとベッドから降りて服を着ていた。何時も思っていたが唯はよく一人で、さらしを綺麗に巻けるなぁと思った。
でも毎日やっていれば慣れるものなのかな。
その後梨沙も目を覚まして着替えをした後、ルイーザも俺の身体から、欠伸をしながら現れた後、俺を残して皆は寝室を出て行った。
「暇だなぁ」
暫くすると寝室に朝食を持ってアルシア達も含めた八人がやってくると、寝室で朝食を食べ始める。俺はルイーザに食べさせて貰っていたのだが、十七歳にもなって食べさせて貰うのは凄く恥ずかしかった。
おまけに他の皆もやりだして結局俺は、全員に食べさせて貰う事になってしまい、物凄く恥ずかしい思いをした。
早く身体を動かせるようにならないと俺は、今日の昼食と夕飯だけでなく明日明後日も、食べさせて貰う事になるじゃないかと不安だった。
朝食を食べ終えてアルシアとメロディアとオリヴィアと梨沙の四人は、アリアにサタンが来た時の事を報告しに行っている。ナナは壁の方で立っていて凛と唯の二人は、狐と絡新婦の姿になって俺のベッドに寝ていた。
「身体が動かせないと退屈で仕方ないな」
「お前が神器を三つも同時に解放したせいだろう、お前の自業自得じゃないか」
私のゼローグと言うわりには厳しい事を言うな。まぁルイーザの言っている事は正しいんだけど、もう少しオブラートに包んで言って欲しいものだ。
「なぁ。修行は何処でやるんだ?」
「王立フィリナ学園の地下闘技場でいいだろう、あそこはかなり広いからな」
「確かにあそこは広いけど三年間も使うわけにはいかないだろ」
学園長は何時でも貸してくれると言っていたが、他の生徒も地下闘技場を使うのだから修行をするのに、三年間借りるわけにはいかない。
「それもそうだな。それじゃあお前の屋敷の地下に王立フィリナ学園の、地下闘技場と同じくらい広い空間を作って、そこで修行するのはどうだ?」
「そうするか」
「それじゃあ修行の場所は決まりだな」
「それにしても、この二人は良くこんな昼間から寝れるな」
狐と絡新婦姿の凛と唯は俺を挟んで気持ちよさそうに眠っていた。ベッドに狐と絡新婦が居るというのは不思議な感じだった。
「二日も寝込んだお前の側から、離れなかった上に今の今まで、殆ど寝ていなかったからなこの二人」
「俺二日も寝込んでたの?」
「あぁ。神器の三つ同時解放に加えてサタンの一撃のダメージが大きかったんだろうな」
その後アリアへの報告を終えたアルシア達が帰ってきて、丁度昼時だったので皆でまたこの寝室で、昼食を食べる事になったのだが朝食を食べた時と同様に、皆から昼食を食べさせて貰う事になり、また俺は恥ずかしい思いをすることになった。なんだか俺の事をおもちゃにしてるみたいに思えた。