11 魔王サタンVSゼローグ
宿屋での生活を初めて、三週間がたった日の朝、俺はこの状況を理解出来ずにいた。
何故か凛と唯は全裸になって、俺を挟んで寝ていたのだ。
凛が全裸で寝ているのは分かるが、どうして唯も全裸になって、寝ているのか理解不能だった。
おまけに今は二人の大きな胸が、俺の腕に当たってそれどころではなかったのだ。
何時も通りナナは既に起きていたので、どうして唯が全裸で寝ているのかをナナに聞くと、ナナはこう言ってきた。
「唯様が裸なのは昨晩ご主人様がお酒に酔って、酔いつぶれたのを私がベッドに寝かせた後、凛様が何時も通り狐の姿になって寝ているのを見た唯様が、それを真似して唯様が絡新婦の姿になった結果こうなりました」
「本気で?」
「本気です」
俺はナナが言った事にとても驚いていた。
ナナの話を整理すると、つまり俺は狐と絡新婦と一緒に寝たって事になる。
おまけに未成年なのに、俺は酒を飲んでいたなんて……。
未成年なのに酒を飲んでも、良かったのかをナナに聞くと、この国では十七歳から、酒を飲んでもいいらしい。
十七歳から飲んでもいいって事は、梨沙もお酒を飲んだのかな? 起きたら聞いてみよ。
すると、何時も梨沙の次に起きていた凛が、目を覚してそれに続いて唯も、目を覚ます。
何時もなら二人の舌戦が始まるのに、今日は二人の舌戦は始まらなかった。
一体何が……。
「おはようお兄」
「おはよう旦那様」
「お……おはよう」
二人はベッドから降りると普段の服に着替えていた。
俺はナナに耳打ちして、二人に何かあったのかを、こっそり聞いた。
「昨晩、凛と唯に何かあったの?」
普段なら舌戦を朝から晩まで続けている二人が、今日はまだ一度もしていないのだ。
どうしてかと考えると、昨日俺が酔った時に、何かあったんじゃないかと思い、ナナにこっそり聞いてみたのだ。
「昨晩、凛様と唯様はご主人様の事を、誰よりも愛してると言う事で、意気投合したらしく昨晩から、言い争う事は無く二人で、仲良くお酒を飲みながら、ご主人様の好きな所を、交互に言っていましたよ」
「あぁ、なるほど……」
しかしまさかあの二人が意気投合して、仲良くなるとは思ってもいなかった。
凛が俺の事を好いてくれている事は、知っていたがまさか唯も、俺の事が好きだったとは、思わなかったな。
しかも、愛してるとまで言うとはね。
その後、梨沙が目を覚ますが梨沙は二人が仲良くしている事に、驚く事はなく普通に二人と接していた。
どうやら梨沙は既に、二人の仲が良くなった理由は、知っていたらしい。
梨沙が着替えを終えた後、俺は梨沙に昨日お酒を飲んだのかを聞くと、梨沙はこう言った。
「お酒は飲んでないよ。ゼロは酔いつぶれるくらい飲んでいたけど」
梨沙が凛と唯が急に、仲良くなったのを知っていたのは、その光景を見ていたからかな?
「そういえば酔いつぶれるくらい酒を飲んだのに、二日酔いになってないのは何故?」
「それは私がご主人様をベッドに寝かす前に、二日酔いにならなくなる薬を、飲ませたからです」
「そうだったのか。ありがとうなナナ」
「いえ、ご主人様のメイドとして、当然の事をしたまでです」
俺達はアルシア達と合流して、八人で朝食を食べに行く。
アルシア、メロディア、オリヴィア、梨沙の四人は、前に買った私服を貸し合ったりして、色んな服の組み合わせをして楽しんでいた。
たまにナナも一緒に私服を貸し合って、私服の組み合わせを変えて、楽しんでいた。
朝食の際も凛と唯は仲良く会話して、食事を楽しんでいた。
まぁ、殆どが俺に関する事だけど、それを見ていたアルシア、メロディア、オリヴィアは、何時も喧嘩ばかりしていた筈の、二人を見て驚いていた。
二人が仲良く会話している理由は、ナナが説明してくれて、驚く事もなく納得していた。
朝食を食べ終えた後、俺達八人は王都を散歩していると、突如王都の外から何かが爆発する音がしたので、行ってみるとそこに居たのは、何と魔王サタンだったのだ!
「よう、ゼローグ」
「サタン……お前らはここにいろ」
そう言って俺は皆を隔離空間の中に隔離して、一人でサタンの方に歩いて行く。
何時もなら「わっちも行く」って言ってた凛も、流石に今回は何も言わなかった。
「俺と戦えゼローグ」
「いいぜ。やってやろうじゃねぇか!」
今の俺が魔王と戦って、どれだけやれるか分かるしな。
俺は異空間から龍の手と変化する鎧と煉獄を取り出して、左腕に龍の手をつけて右腕に変化する鎧をつける。
そして煉獄を右手に持つ。
最初から全力でいかないと、こっちが殺られる。
「神器解放!龍の手、変化する鎧、装備! 防御の鎧、……そして、煉獄!」
俺は三つの神器を同時に解放させる。
防御の鎧は腕の部分に、大きさを変えられる盾がついている。
俺は背中から龍の手を無数に伸ばしつつ、煉獄でサタンに攻撃していくが、全く効いていない様だった。
「一万度を超えた煉獄の炎を喰らって、何で生きてんだよ」
「こんなぬるま湯が俺に効くかよ、俺に熱いと言わせてぇなら、三百万度は出せるようにならなきゃ無理だぜ」
一万度がぬるま湯だと!
……そんなはずは……普通ならこれで終わりの筈だ。
魔王との差はこんなにでかいのか。
「どうした。手が止まってるぞ」
「くそっ! 余裕振りやがって! 煉獄・業火一刀!」
「効かねぇな」
今の技でかすり傷ひとつ、与えられないなんて事があるのか……。
「今度は俺からだ」
そう言いサタンは俺の腹部に強烈な一撃を与える。
殴られた勢いで神器は解除されて、俺は王都の壁ギリギリまで飛ばされ、壁にもたれかかる。
拳一発でこれだけの威力があるのかよ。
今の一撃で俺は既に満身創痍だった、傷は呪いのおかげで治るが身体が全く動かない。
すると、突如、俺の中から黒いオーラが出てきて、人の姿になっていく。
「やっと出てきたか」
やっと出てきたってどう言う事なんだ。
黒いオーラは完全に人の姿になっている。
さっきまで黒いオーラだった物は、今は黒くて長い髪、黒いロングスカートに、白いシャツを着た綺麗な女性の姿になっている。
「私のゼローグ。可哀想にこんなに痛めつけられて、ゼローグよ私とサタンを隔離空間で、隔離してくれるか」
「君達はゼローグの仲間だろう? 少しの間ゼローグを頼めるかい」
そう言い彼女は、アルシア達に俺の事を頼んで、サタンの所に行った。
俺はサタンと彼女を隔離空間で、隔離する。
二人は戦う事なく何か話をしていた、何を話ているかは分からない。
すると話を終えたのかサタンは帰って行き、彼女は俺の方に歩いて来たが、そこで俺は視界が真っ暗になった――。




